表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
85/397

85「ズンナ翁」

ズンナは先に出会ったシレラ達の事を考えていた。


ポンチョとターバンで姿を隠しているミモという女性、

赤い髪から察するに、彼女は間違いなく魔族であろう。


昔から魔族は人族・亜人族の敵だった。

魔界から流れて来た魔族に襲われた歴史がある。


魔族は総じて強力な者が多い。

姿形も異形であり、存在からして恐怖を撒き散らす。

故に何処でも魔族は恐れられ、嫌われる。

今でも時折魔族に襲撃された街があると噂を聞く。

魔族とはそういう存だ


にも係わらず、彼女達の様子は違った。

魔族に支配されている事も無く、単なる仲の良い三人組に見えた。

そう、まるで何処にでもいる娘達のように。


もしかしたら、世界に儂の知らない何かが起こっているのでは?


ここエルフの里は排他的で外部の者を嫌う。

はるか昔に人族がエルフ狩りを行ったり、亜人種族との軋轢があったりした歴史がある。

その結果、エルフ族は森に閉じ篭るようになってしまったのじゃ。


森に閉じ篭って数百年。

世界の動向の情報もあまり入って来ていない。

世界は常に移り変わっているはずなのに。


そうか、儂もこの里の中で慣れきって、すっかり世情に疎くなっていたんじゃ。

何という事か……。

ここは一つ長老会議にかけて里の外を見聞する者を集めないとな。



長老会議は開かれた。

しかし誰も外の世界を見て来ようという者はいなかった。


「ならば、再び儂が外の世界を見聞してやるわい」


ズンナが決意を固めると、心配する若者がいた。


「ズンナ様、外は危険で御座います。お一人で行かれませぬようお願いします」


エメスナがズンナ翁の身を心配している。


「エメスナか、よし、お前も儂に同行せい、新たな価値観というものを見せてやる」


「ええ~、そんなぁ~ズンナ様~」


渋るエメスナを強引に同行させる事にした。




二人は里から出て旅を始めた。

徒歩の旅だが、ズンナ翁は以外にも健脚だった。


「フォフォフォ、エメスナは若い割りにだらしが無いのぅ」


「ズンナ様がおかしいんですよぅ」


二人はいくつかの街を見て廻った。

永らくぶりの景色は昔の面影をあまり残していなかった。

ズンナ翁は随分変わったものだと、しみじみする。



そんな二人はセスァレナの街にもやって来た。

その街では魔族が人に混じっている事に驚いた。


「む。この街があの娘達の来た街なのか?」


人の集まる所で街人に話を聞いてみる事にした。


「あんたら、何処から来たか知んねえが、あの人達を魔族と呼んではならねぇ」


「そうだ、彼らミモの衆はセスァレナの住人だからな、俺たちと同じだぁ」


皆口々に魔族じゃないと否定する。

何故だ、これをどう考えれば良い。


ズンナ翁達は更に街中に立ち入り話を聞いてみた。

彼らは元難民として、この街に来たと言う。

彼らは街の一員になろうと努力した。

そして【和合を以って尊し】という神託まで降ったと言う。


神託が降る?


これも初めて聞く事だった。

二人は更に情報収集をする。

やがて疲れた二人はカフェテラスで休憩する事にした。


「どうじゃエメスナ、世の中は驚きに満ちておるじゃろ?」


「ええ、全くでした、目から鱗が落ちるとはこういうのを言うのですね」


この後もしばらくズンナとエメスナはこの街に滞在する事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ