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80「エルフの長老」

二部屋ダンジョンで休憩を取りつつ、ロシナンテの介抱をしている頃、

ポータルから入って来た者がいた。


見張りの者から、街道の横にポータルが現れたと聞き、調査にやって来たと言う。

異変があれば調査する。

至極真っ当な理由だ。


その上シレラ達が、中に入って行ったという情報もある。

だが、エルフは部外者と接する事を嫌う。

そのため長老の内、外の世界を旅した経験のあるズンナが調査に赴いて来た。




彼は中に入って驚いた。

ダンジョンにしては凄く狭い。

部屋が二つあり、手前の一部屋が馬屋になっている。

洞窟とかダンジョンとか言うより、防空壕(シェルター)のような空間がここに在る。


馬屋には三人の女性がロバを介抱している最中。

内一人は報告にあった魔族なのだろう。

人族の二人は魔族に支配されているという様子ではない。

むしろ仲の良い仲間といった雰囲気を醸している。

もしかして警戒をしなくても良いのか?


恐る恐る声を掛けてみる。


「もし、娘さん方」


「あ、こんばんは」





ああ、驚いた。

エルフは排他的だったけど、来てくれる人も居るんだ。

ひょっとして下っ端君の無礼を謝りに来た上司の人かな?


明かりを灯したカンテラを前に差し出すフードを被った老人。

年老いたエルフ。

彼はエルダーエルフのズンナと名乗った。


この人をズンナ翁と呼べば良いのかな。


彼の問いにそれぞれ自己紹介をする。


人族のシレラ。

ダンマスのタリマ。

魔族出身のミモ。


今回の訪問の目的はダンマスについて、情報があれば伺いたいという趣旨を語った。


「ふむぅ、ダンマスのぅ……。

 各地にダンジョンが存在し、ダンジョンには主がいるという位しか儂は知らぬ」


ダンジョンの主について、シレラは考察を語った。


ダンジョンの主、ダンジョンマスターはダンジョンを管理・操作する権能があり、

もう少し広い意味合いは、領域を支配する能力を得た者ではないか?

ならば、誰がそんな能力を主に与えたか、それは何者で目的は何なのか。


それがシレラが考察した末に辿り着いた疑問だった。

残念ながらズンナ翁には答えられる情報は無かった。

他のエルフより永く生きて来たが、そういう事例よ遭遇したのは今回が初めての事だった。


「ふむぅ、世の中にはまだまだ儂の知らない事が在るんだのぅ」


ズンナ翁は一頻り何か手掛かりになる知識は無いかと考え込んでいた。、


「そうだの、今ある者の噂を思い出した」


「ある者の噂?」


アンデッドで賢者のイモータルワイズマンという者の噂。

未だに会った事は無いが、若い頃旅路の最中に噂を聞いた。

アンデッドという位だから、死ぬ事がない賢者がどこかに居るのだろう。


他にはダンジョン繋がりで、天空に光のダンジョンの伝説があるらしい。

それは

天空の光のダンジョンは上空のどこかに存在する。

太陽と山頂が交わる所にポータルが現れる。

と言う伝説。


詳しい事は誰も知らないが、イモータルワイズマンなら、

何か知っているかもしれないとズンナ翁は言う。


次なる目標はイモータルワイズマン捜しか。


「一番の問題は、ロシナンテがもう旅にもちそうに無いって事だね」


「それなら、今回の情報料として馬を1頭都合やろうかの」


落胆していると、ズンナ翁が提案する。

冒険が終ったら、また色々と話を聞かせて欲しいとも願われた。


渡りに船とはこの事だね。


「はい、是非にも」


私達はすぐに了解した。

弱ったロシナンテは倉庫用の小ダンジョンで持ち運ぶ事にする。



大八車を引いてもらうのが目的だから、

元気が良すぎる馬だと具合が悪い。

華奢な大八車が壊れちゃうからね。


そういう事情も加味してズンナ翁が都合してくれたのは、白い子馬だった。

おい、おい、あいつ等に馬をくれて良いのかよってな顔でエルフ達は送ってくれた。

エルフそのものに良い気は無いけど、ズンナ翁のためにまた来ようと思う。



私達は子馬に引かれ旅に出た。

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