79「手掛かりを求めて」
タリマは何者なんだろう?
ダンジョンマスターだという事は知っている。
ダンジョン核だという事も。
ダンジョンマスターは何処にでもダンジョンを創れる。
土、水、空、地上、そしてメンタルというフィールドに創れる。
そのダンジョンに罠を仕掛け、ダンジョンの中の冒険者を罠に掛ける。
基本的にはそういう能力だろう。
その能力に比肩できる魔法は存在しない。
従来の魔法という概念の外の能力。
便利な能力で、今までにも散々お世話になった。
お陰で旅は宿要らずで、私達は危険からも守られた。
狩りだって苦労無しに獲物が手に入った。
だから、そういう能力だと思い、気楽に能力を行使して貰っていた。
でも、それは能力のほんの一角に過ぎなかったことを今日認識した。
ダンジョンマスターとは、領域を支配する能力と認識しなければならないのかも知れない。
誰がそんな能力をタリマに与えた?
誰がそれほどまでの力を持つタリマを創った?
こういう疑問は人間って何?というのと同じなのかも知れないけど。
それでも色々と釈然としない何かが心に残る。
いつかは、これらの疑問を解き明かせる時も来るのかな。
もし、こういう事を知っている人がいるなら、その人は賢者かもね。
そんな事を考えていたら、答えが出たような気がする。
【賢者】かどうかは解らないけど会ってみなきゃ尚解らん。
賢者のイメージから考えて、取り敢えずはの長命な人かもしれない。
長命で連想されるのが、長命な種族のエルフ族かな。
そんな思いつきでエルフ族の住まう森林へ旅をする事に決めた。
問題はエルフ族って排他的と聞いている。
大丈夫かな。
何とかなるかな。
手掛かりが無いから、行くだけ行ってみないとね。
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そんな思いを抱え、私達は二ヶ月の旅をした。
途中寄れるような街は無い。
宿要らずの私達だけど、水や食料の補給が出来ないのはキツイものがある。
前の街でたくさん買い込んで、タリマの異空間倉庫に収納してるけど、
新鮮な野菜を保存しておくのは難しい。
必然的に保存食がメインになる。
保存食ばかりの食事じゃ、すぐに新鮮な物が食べたくなるよね。
やがて大森林の近くを通る事になる。
この頃ロシナンテの調子が悪そうだ。
買った時から、老齢のロバだったから長旅は堪えるんだろうね。
どこかの街で馬を買えれば良いんだけど、資金的にだいぶ厳しい。
「そこの者、止まれ! 森に近づく事を禁止する」
樹上から制止の声が掛かった。
噂に聞く例の奴、エルフだね?
想像通りの様式的な対応だ。
「私達はエルフの知識者と話がしたいんだけど」
そう言うと
「ならん、エルフは他族と交わる事は無い。
ましてやそこの者は魔族じゃないのか? なおさら駄目だ」
むー。
人種差別するか?
エルフってレイシストだろ。
「誇り高い民族と言ってもらいたいね」
そう返された。
誇り高いとレイシズムに走るんか?
こういう場合、下っ端じゃ役に立たん、社長を出せ、社長を。と怒りたくもなる。
エルフの場合、社長じゃなく族長だろうけど。
しばらく下っ端君と押し問答を繰り返した。
やがて弓矢を持ったのが現れ出したから、立ち退くしかない。
しょうがない出ようか、とした時ロシナンテがヘタリ込んでしまった。
「どうした!」
「年寄りのロバが倒れた、しばらく休まなきゃ、どうにもならんよ」
そう告げると、
「仕方ない、様子が戻ったら立ち退くのだぞ」
そう告げてエルフ達は姿を消していった。
寿命を延ばす魔法って無いのかな。
聞いた事が無いから、存在しないんだろうね。
ロシナンテの具合が持ち直すよう労りつつこの場で一泊する事になった。
もちろん二部屋のダンジョンで休む事になる。




