78「戦争消滅」
進軍して来る5000のオークの軍隊。
迎え撃つリザードマンの軍隊+傭兵部隊。
いよいよ接敵し、大群同士の戦闘。
にはならなかった。
「クリエイトダンジョン!」
普通なら魔法や矢等が飛び交い、白兵戦で混戦状態にもつれ込む筈だった。
広域全体攻撃魔法が有るとすれば、熱核攻撃とか考えられるかも知れない。
しかし、今目の前に起こっているのは、敵オークの軍勢は見えないダンジョンに呑み込まれ、
整っていた隊列は、迷路状に人の壁が連なっているだけ。
しかも誰も迷路の中から外へは脱出も攻撃も出来ないでいる。
リザードマン陣営は目の前で何が起こっているのかさえ理解出来ないでいる。
両軍の誰もがこんな魔法は知らなかった。
ユニークスキル故魔法じゃないのだけど。
そもそも、どんな魔法を使えりゃダンジョンなんて創れるんだ?
見た事も聞いた事も無い何かが目の前で起きている。
「戦争キライ。戦争する人許さない」
ダンジョンを発動したタリマは、ダンジョン指定区域から出る。
いつの間にあんな所まで行ったのやら。
タリマはダンジョンマスターであり、ダンジョン核である。
タリマががダンジョンから出るという意味。
それはダンジョンがコアを失う意味。
それは主を失ったダンジョンは消失するという事。
そして5000もの兵士を呑み込んだダンジョンは兵士ごと消失する。
リザードマン陣営は戦わずして、オーク軍消失という形で勝利した。
人智を超えた有り得ない勝利。
この現実を理解した人はシレラ・ミモを除いた他には居ない。
いざ戦いが始まるという瞬間に、未知の魔法で敵軍は消失した。
高まった緊張や興奮は一瞬で凍りついた。
人々は暫し思考が働かなかった。
この戦争の勝利を喜ぶ者は、ここには居なかった。
5000もの軍勢を消し去った謎の者がそこに居る。
思考が働き出した者から順に恐怖が支配し出す。
次に消されるのは自分達かも、そんな恐怖が広がり出した。
うわ、この雰囲気ヤバイ。
早く逃げなきゃ。
私達はタリマを連れ、この場から一目散に逃げ出した。
パニックした群集の中にいるのは危険だ。
もう、この街の美味しい肉料理食べられないのかも。
いや、智の迷宮をもう一度掛ければどうなんだろう?




