77「戦争前夜」
リザードマンの街ヒオグゲグには戦士が多い。
なぜ解るのかと言えば、武装しているから。
普通なら、平和な街の中で武装のは警備兵なら必要だと思う。
そんな武装している人達が警備兵だとするには多過ぎる。
むしろ軍隊が街中に常駐しているかのような。
実際に彼等は軍人だった。
街中に軍人が溢れているという事は、戦争が近いという事。
ヒオグゲグの街は、何処と戦争になりかけているんだろう?
街の広場では、街長と思しき人が演説を行っている。
傭兵を募集しているらしい。
そうだよね、戦争が起こるとなれば、早急に戦力が必要になる。
後ろに居た軍人と思しき男から声が掛かる。
「姉さん、良い体格してるねぇ、どうだい?応募してみれば」
ポンチョを着て腕を隠しているミモは尚更大きく見える。
実際、声を掛けてきたリザードマンの男より背が大きい。
本当は一番小さいタリマの方が、戦力的に一番大きかったりする。
そして私達は戦争が嫌いだ。
私達を案内したゴヴァンさんは、この街の人だ。
この街のために戦争に出るんだろうな。
リザードマンの戦士は守る者あれば、護るべく一命を賭してでも勇敢に戦うのだそうだ。
そして戦争を仕掛けて来るのは、隣のオークの領主の軍隊。
出た!悪の領主。
悪の領主のイメージは、
でっぷりと太り、強欲で己の利益のためには他者の命は軽視する。
だから侵略戦争を仕掛けて来るような悪人と言うのがベターな設定かな。
そのイメージも外れる事無く、領民は重税に喘いでいるらしい。
絵に描いたような悪領主だね。
成敗しても心は痛まなそう。
そして迎え撃つリザードマン軍団と傭兵の混成軍団。
親切なゴヴァンさんがいる分、こちらを応援したくなっちゃうね。
街境より3kmほど向こうに柵を作って防衛するらしい。
私達や街を訪れている人達、女子供や老人の非戦闘員達は家や宿屋に立て篭もる事になる。
そんな具合で街全体だんだんキナ臭い雰囲気が充満し緊張が増していく。
最前線では、軍隊が戦勝気分を盛り上げ始めている。
気勢を揚げておかないと力負けしかねない。
軍団は三つに分け、正面と両翼に陣を張る。
見方によっては鶴翼の陣に近いかな。
敵が正面を攻めて来た時、両横から敵の陣形を崩す作戦が取られているからだ。
そして斥候からの報告を待っている。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前」
と言う九字護身法ってのがあるけど、正に今の状態。
闘いに臨む兵者が皆、陣の前に烈をなして在り!ってね。
戦いが心配で戦闘の成り行きを見る人も居るには居る。
私達も、そういう人達に混ざり、小高い丘の上で戦争を見守る事にした。
街の中で建物に閉じ篭るより、逃げ易いという利点だってある。
場合によっては敗残兵狩りという事も有り得る。
やがて街道の向こうから軍靴の音が近づいて来る。
敵の軍勢は5000人もいるという情報が斥候から齎された。




