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75「後日談」

流浪のトゥラザト一族の元へ、一人の冒険者が伝言を持ち訪れた。

セスァレナの街の冒険者ギルドで金貨二枚で仕事を引き受けた男の一人だ。


伝言を届けるだけの依頼で、金貨二枚というのは実に美味しい仕事だった。

何せ危険な荒事なんか無いのだから。

特定の場所が掴めないから、数人に依頼が出されており、彼はその一人。



「われらに手紙だと? ふむ、ふむ・・・・・・・ううう」


男から伝言を受け取り、団長のゾルックは涙を流した。


「団長、どうしたんだ」


「これを」


「なんと! ミモが」


手紙を読んで理由を知った旅団の者たちも男泣きに泣く。

ミモの母も嬉しさで泣き崩れる。


虚弱な体で、一族の旅に付いて来れなかったミモが、一族の旅を終らせてくれたのだ。

いつとも終るとも知れぬトゥラザト一族の流浪の苦しい旅は終了する。

定住する街が出来たのだから。







トゥラザト一族の旅団はセスァレナの街へ到着した。

信じられない思いだったが、本当に街の誰もが彼等を恐れない。

信仰都市だからなのか、誰もが温かく迎え入れてくれる。


人口減少の街には、住める家は余るほど在った。

好きな家を選べば良いと街長が言う。

旅団の各々はそれぞれ家族で暮らせる具合の良さそうな家を選んでいく。

もう雨風の心配も要らないのだ。


望めば、どんな仕事にも就く事が出来る。

魔族には力の強い者が多い。

土木工事だろうが、建物の修理だろうが、何かとお役に立てるはず。

迎え入れてくれた住民達の気持ちを裏切ってはいけない。


仕事熱心な彼らは街の人達から頼られ、信頼を得るようになっていった。

揉め事の仲裁でも、彼らを非難する者は少ない。

今では警備の仕事に就けた者もいるくらいだ。

中には神殿の警備を願われた者までいる。


一族は無事に移住を果たせた。

セスァレナの街の一員になれたのだ。

いや、まだ街に受け容れてもらえたと言うべきだろうか。


魔族であるトゥラザト一族は、この街の住民に相応しいと思ってもらわなければ。

我らが護るべき鉄の掟を作ろう。

魔族団長のゾルックは固く心に決める。





落ち着きを取り戻した頃、ゾルックは神殿に参拝し驚愕した。


「女神チャンディー・ヴィカラーラ様の神像だと聞いていたが、この姿はまさしくミモじゃないか」


一族を救ってくれたミモに良く似た神像がそこにある。

神像の足元では、一族の者もミモの母も嬉しさに泣きながら感謝の祈りを上げている。

トゥラザト一族には、そう思えるほどの辛い旅だった。


そうだ、我一族はミモに感謝以外の何物をも捧げる事が出来ない。

ゾルックは堅く心に誓ったのであった。


神官の話によれば、来年のイベントにこの街を訪れる約束があると聞いた。

その時はミモもシレラもタリマも囲んで祝おう。

彼女達はトゥラザト一族から讃えられる資格があるのだから。

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