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74「セスァレナ脱出」

イベントは始まった。


【神殿にチャンディー・ヴィカラーラ様降臨す!女神様の救済が始まる】


そんなキャッチコピーを掲げて。

期間は一週間の予定だ。

結果次第では、来年もお願いしたいと頼まれてる。


信仰都市セスァレナはたちまち聖地として、近隣はもちろん遠方からも人々が押し寄せる。


……街興しとしては強力だね。


少ない人口は、この日から数倍に膨れ上がり、

目敏い商人達も殺到し、縁日屋台が所狭しと並び出す。

想像以上の混雑だ。普段人口が少ないのは、少ないなりの理由があったんだ。


神殿には膨大な参拝者が押し寄せ、長蛇の列が並んでいる。

大概の参拝者は女神を一目見て拝んで帰るだけなんだけど、

中には相談事や訴えを望む人もいる。

そういうのは全部神官達が対応し、解決策を語る。

ミモは奥で口を開かず、時折頷いてポーズを決めるだけ。

知らない人には、あれでも有り難いのかな。


元々女神があんな姿だけに、最初から魔族だと騒ぐ者はいない。


……みなさん単純で助かります。


そう安堵していたけれど、最終日にやっぱり扇動者が現れた。

危惧はしていたつもりなんだけどね、いよいよというタイミングでそれは始まった。


「神殿に降臨しているのは魔族だ!」


「この街に魔族が侵入した、魔王の尖兵に違いない」


「神殿の神官は魔族と通じている」


「魔族じゃなければ、あんな姿の人間はいない、そうだろう!」


マズイね。

人々のざわめきに恐怖の声や絶叫も上がり始める。

この人混みの中を、どうやって突破して逃げようか。


「タリマ、ミモを連れて何とか逃げ出そ?」


「ん、ダンジョン創る」


こういう時、タリマは凄く頼りになる。

ダンジョン空間を使って街から出られるんだから。


しばらくすると、人々の絶叫は無くなり、動きが止まる。

こんな光景は見た事が無い、一種異様な光景が目の前で展開している。

何? 何が始まった? ダンジョンは?


「智の迷宮」


智の迷宮?

そんなダンジョン在るの?


智の迷宮とは、人の思考に関与するとタリマは言う。

物質のダンジョンじゃなく、メンタルのダンジョン。


人は思考する。

考え、選択し、方向を悩み、焦燥したり、希望を見つけたり、

落ち込んだり、壁にぶつかったり、思考しながら紆余曲折を繰り返し進んでいる。

情報や感情で方向を選択、判断する。間違いながらも目標の場所に辿り着こうと足掻く。

言われてみれば、思考の世界はダンジョンでの出来事と重なっている事に気が付いた。


そんな思考のダンジョンこそ智の迷宮とも言えるだろう。

方向性を見失った人はどうなるか、結果として動けなくなる。

目の前の大衆はタリマのダンジョン操作によって、方向性を見失った状態に陥っている。

通常に意識は在るんだろうけど、思考の方向性を見失っている状態。


ダンマスの能力恐るべし。


「早急にミモを連れ出し、この街から脱出しよう」




「シレラ、待って」


タリマに呼び止められた。

妙案が浮んだと言う。


全部の人の思考を操作して、難民魔族の人達をこの街に呼ぶのはどうか、と言い出した。

そう言えば、この街って人口少ないって言ってたっけ。


考え様によっては、魔族と言っても異民族と言えるかも。

ミモもあの集団も人類の敵じゃないし。

そもそも敵対しなけりゃならない理由って何だろ?

考えてみれば、何にも無いよね。

流浪のトゥラザト一族は、この街で安住出来るかも知れない。


「うん、タリマ、最高の妙案だよ、それ、それ行こう!」


冒険者ルックに着替えたミモを連れ出し、改めて宿屋へ向かう。


三人、落ち着いたところで、思考操作を開始した。

これで街を統括する人に提案を願い出れば、すんなり通るだろう。

後は冒険者ギルドで難民魔族に伝言を届ける人を雇えば良い。


そして翌日私達は街を出発した。

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