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73「神官の陰謀」

「ヤバイ」

「ヤバイ」

「ヤバイ」


ミモの秘密が人に漏れそうになってしまった。

人の街に魔族が入ったと問題にならない訳が無い。

ミモが悪い事なんて何も無いんだけど、知らない人には魔族は恐いに違いない。

すぐにでも街を脱出しなければ。


私達は宿屋に急いだ。


荷物をまとめてチェックアウトしたかったけれど、出来なかった。


「お客さん、ごめんねぇ、何でも広場の方で神様に悪ふざけした人がいたらしいのよぉ、事が収まるまで誰も街を出れない事になってねぇ」


うわ、最悪だ、ここの宗教がどんなか知らないけど、

狂信者相手にするのは危険すぎる。

最悪でも奥の手があると信じよう。

取り敢えずは宿の部屋で大人しくしているしかない。


やがて神殿から神官達がやって来て人改めが始まった。

次第に順番が私達の方に来る。


「そこの人、ポンチョを脱いで」


致命的なことを言われる。

仕方ないから、オズオズとミモはポンチョを脱いだ。

ミモが持つ六本の腕が露わになる。



終ったか。



知らない人は魔族恐いだろうし。

何としてでも助けるけど。


神官達は目を見開いて動けずにいる。


「チャンディー・ヴィカラーラ様」


神官の誰かが口にする。


え?誰だ?チャンディー・ヴィカラーラって。




私達は神殿へ連れて行かれた。


連れて行かれた先は牢屋じゃなく、立派な応接室。

そこでしばらく待たされた。



【神殿派会議】


「司祭様方、いかが致しましょう」


「あの方はたまたま似た容姿をしているのであって、悪気は無いと申されるが」


「いや、問題はそこに無く、目の前に生きたチャンディー・ヴィカラーラ様が降臨されたのです」


「と言う事は、教義派の連中を押さえ込めるかも知れませぬなぁ」


「左様、少なくとも教義派の連中を押さえ込むまで、チャンディー・ヴィカラーラ様になって頂ければ」


「その名案、重畳やも知れぬ」


そんな会議が司祭たちの間で行われていた。


同じ頃、対立勢力側でも会議が行われている。

権力が生じる所には権益も生じる。

それを狙う勢力が分裂することもよくある話。

世の中は綺麗事だけで成り立っていないのはどこでも同じだった。


【教義派会議】


「皆様方、困った事になり申した」


「左様、チャンディー・ヴィカラーラ様が降臨なさっては我等の負けが確定する」


「あの方が本物のチャンディー・ヴィカラーラ様でなくとも、本物として擁立される事間違いない」


「我等は如何にしたら宜しいか?」


「やはり、女神を魔族だと喧伝するのは?」


「それは下手をすれば双刃の剣になり、我等の立場も危うくなる危険性が」










「ミモはキャンディー何とかって人じゃないのであります~」


「まあ、そう仰られず、こちらのお着物にお着替えを」


ミモは神殿の別室で、女官から着替えを促されている。



シレラ達は豪華な応接室で神官の一人から説明を受けていた。


この神殿で祀られているチャンディー・ヴィカラーラという女神様は、

大いなる大地の母神にして、遍く衆生を救うために多くの手を持っているのだという事だった。


そしてこの街に人口減少の問題があるらしい。

女神チャンディー・ヴィカラーラ様が降臨したとなれば、近隣からも移住者が増えるかも知れない。

そのためにイベント協力をして貰いたいという提案も持ち出される。

神殿から依頼報酬だって出してもらえるらしい。


「どうしたものかねぇ……」



着替えの終ったミモが部屋に入ってくる。

うーん、あの服装はギリシャっぽいのかな、キトンって言うんだっけ。

それぞれの上腕には金色の腕輪が嵌り。頭には飾り物が載って角は隠れている。

神様像に良く似たコスチュームが決まっている。

後ろにいる女官の人がコーディネーターなのか。


私としてはコスプレしてるミモを見たいと思ったりするな、うん。

イベントが終ったら衣装もらえないかな。


「そんな~、助けてほしいのであります~」


情けない声で困惑するミモを一人置いておくのは心配になってきた。

警護として近くに居れれば、助けるに容易だろう。


説明で聞かされたミモの仕事は神様像の前に座って、神官のサインで頷いていれば良いらしい。

難しい事は無さそうだ。

何とか説得してみるか。

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