66「レベリング」
冒険者ギルドがあるエカサの街に辿り着いた時、私は懐具合の心配しか、していなかった。
薬草や食料、消耗品など買わなきゃ暮らしていけないし、宿に泊まったり、食事をするにしてもお金は要る。
ましてやロバや荷車を預けるのも料金は掛かる。
街で起点を定めて、毎日狩りに出かければ、それなりに稼げるだろう。
タリマがいれば、一人でやってた頃となんか比較にならないほど稼げるようになった。
私はギルドでも中堅の実力が認められているし、タリマはチート野朗だから心配は無いと思ってた。
ミモが来るまでは。
ミモは人のステータスが見える。
ゲームの世界じゃないんだから、そんなの普通は有り得ない。
だからそんなの考えもしなかった。
でも、やっぱり在る所には在ったのね。
興味が出たので見てもらった。
シレラ LV/23、ST/80、VT/120、MP/40
ヒーリングの魔法。LV/20
タリマ LV/7、ST/8、VT/20、MP/30(魔法を習っていない)
スキル/ダンジョンマスター(スキルレベルは不明)
ミ モ LV/3、ST/6、VT/12、MP/10
ファイアボールの魔法。LV/1
ヒーリングの魔法。LV/2
スキル/魔眼(ステータスが見れる)
という結果が出た。
因みにLVはレベル、STは力、VT/はバイタリティ・スタミナ、MPは魔法量。
ステータスの基準はミモの自分基準らしいけど。
その基準ってどうなの?
世界の基準って言うなら凄いよ?
でもミモの場合、自称自分基準だから意味があるような無いような。
たぶん、皆強くなったら見なくなるかも。
で、タリマは冒険者として少々心許ない。
ミモは完全に力不足。
非力だとは思ってたけど、これほどとは……。
私一人で冒険初心者を二人連れてる事になる。
実際、二人は最近ギルド登録したばかりなんだけど。
パーティーとしてはバランス悪すぎじゃないの?これ。
という訳で、二人にはレベルを上げてもらう事にする。
せめて私と並ぶ程度には。
冒険初心者には、やっぱり最初にはスライムとか弱っちいのからトライしてもらう。
でもスライムじゃ換金出来る物は無いんだよね。
そこが悩ましい所。
ホントは理想は稼ぎながらレベリング。
しばらくはそれが出来ない以上、稼ぐパートとレベリングパートに分けてジワジワやっていくしか無いのかな。
そんな訳で、今日から街の周辺、森の中の沼地辺りを狩場に決めた。
ロバと大八車や道具類はタリマが創った一部屋だけのダンジョンに収納。
スライムは沼地とか、ジメジメした所に湧き易い。
二人には剣を使って、ここでレベリングをしてもらおう。
幸いスライムは沼の深い所には出ない。
狩りに行っても俊敏に逃げる事も無い。
ただノロノロと動いているだけだ。
そんな獲物だから、子供や初心者の経験積みにうってつけの魔物でもある。
ジェル状のスライムは切刻んでも死ぬ事が無い。
放って置くとくっついて元通りに復元する。
不死身の魔物かと言えば、そうでも無かったりする。
第一、火に弱い。
乾燥すると、半透明の固形物になって割れたり砕けたりして死んでしまう。
水のように半透明で見つけ難いけど、体の中にある核を破壊されても死ぬ。
そんなスライムだけど、人畜無害ともいえない。
水の中に潜み、下手にスライム入りの水を飲んだりすると、体の中から食い破られる。
それさえ気をつけていれば、過剰に恐がらなくて良い魔物でもある。
しかし沼地って所は、時々水溜りに足を突っ込んだり、虫に悩まされたりするんだよね。
靴の中に水が入れば気持ち悪いし、乾くまで時間もかかる。
足元がグチャグチャしてるから、転んだら泥で処置無しになる。
「ひ~ん。もうダメであります~」
ミモはすぐに音を上げる。
魔族って頑強なイメージなんだけどな。
普段から口数の少ないタリマは何も言わないけど、乗り気にも見えない。
水溜りに足を突っ込んで気持ち悪そうにしている。
だけど、まだまだ、これからだ。
だからガンバレ二人とも。
傷薬だけは沢山買ってある。
一日頑張った結果は
タリマ LV/9、ST/10、VT/40、MP/50
ミ モ LV/9、ST/25、VT/40、MP/35
になった。
お、ミモはもうタリマと並んでる。
魔族って成長早いのかな。
明日はスライムより、もう少し強いのが出る所まで行っても大丈夫かな?




