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63「冒険2日目」

次の冒険は隣の街周辺へ行ってみたいけど、

距離があると歩くだけでも大変だ。

馬か馬車を買うには資金が足りない。

資金を貯めるには、もう少し街の近辺で稼がなければならない。


そんな訳で本日は冒険者ギルドで討伐依頼票を見ている。

シレラは冒険者としては中級レベルの腕前だ。

15ランクの7番目。


タリマは昨日登録したばかりだから、ランクは1。

1ランクのタリマでも、7ランクのシレラとパーティーを組んでいるから、中級の討伐依頼をシレラ名義で受けられる。


しかし。


昨日の戦果をギルド中の男達が目撃している。

ランク的にはシレラとドッコイの者ばかり。

何人もシレラと同行したいと様子を伺っている。

あわよくば自分も大量の獲物の分け前にあずかりたいという思惑が透けて見える。


ギルドで何回か顔を見た程度の男達で、一緒にパーティーを組みたいというほどの深い付き合いは無い。

近寄られると貞操の危機すら感じてしまう。

そんなのと一緒に討伐に行きたいとは思わない。


昨日のことを思えばメンバーはタリマ一人いれば十分過ぎるほど十分だ。

男達のラブコールを撒くのに苦労する。


中級程度の冒険者が出来る依頼は多くない。

上級者が出なければならない程の依頼も無いけど。

それくらいこの街は稼げそうな依頼も獲物も乏しい。



昨日は狼など狩り尽くしたから、今日はそれほど狩れないだろうと予想は付く。

となると薬草用の草採取くらいしか依頼は無い。

これじゃあ馬や馬車を買えるほど稼げない。


そこで閃いた。


パーティーが全滅したダンジョンの再アタックなら?

二人メンバーなら浅い所だけでやってれば、もしかすれば。


「ううん。あのダンジョンは閉めちゃったから、もう無いの」


え?

ダンジョンが無くなった?

ダンジョンの入り口は只の崖になっていると言う。

という事は、タリマが居る所にしかダンジョンは創れないらしい。

ダンジョンから離れると初期化して消えてしまうと言う。


じゃあ森の中で草探しするしかないのか。


依頼クエストが草探しと聞いて、着いて来ようと考える男はいなかった。

草探しは労力や掛かる時間に対して報酬が安いのだ。

フン! これだから男は…。



じゃあ、行こうか。

タリマを引きつれシレラは街を出発した。

目指すはちょっと遠くの森の中。










目的は草探しだったんだけどねー。



森はタリマの能力でダンジョンになり、

熊や狐や鹿などの野獣の捕り放題になった。

もちろん毒ガス落し穴で。

昨日より多いじゃないの。


全部異空間に収納し、街で換金。

唖然とする男達を横目に銀貨三枚に換金した。




冒険者ってのは、その日暮らしでいる者は多い。

依頼を受けたり、狩をしたりしていても、それほど稼げないのが現状だ。

一つ所に居を構えるなんて、まず居ない。

お金が入れば、酔い越しの銭は残らない。


冒険者なんて、そんな連中ばかりだ。

もう少し稼ぎたいなら、別の街で冒険するのも良い。

もっと換金率の良い魔物だって狩れるだろうし、

どこかに稼げそうなダンジョンだって有るかもしれないし。


そんな訳で私は街を移動しようかと考えた。


この懐具合なら、小さい馬車は買えるかな。

馬屋に行き、交渉してみた。

残念ながら、二人とも操車経験が無い。


私は馬車の旅を憧れてたのに~。

かと言って御者を雇うほどゆとりも無い。


「おっちゃん、今はこれだけしかお金が無いけど何とかならない?」


「これだけじゃなあ。 馬車じゃなく中古の大八車なら売っても良いが」


「人力用の荷車かぁ。 馬は駄目? 後払いで良いとか」


「駄目だな。 うん、年老いたロバなら売ってもいいか」


「ロバかあ」


……年老いたロバでもいないよりマシか。


「よし決めた、そのロバと大八車のセットでお願い」


「しょうがねえなぁ、これでも家は利益無しだよ」


馬屋の店主と妥協に妥協を重ねて、

年老いたヨボヨボなロバに中古の大八車を繋いで売ってもらった。


まあ、これも馬車っちゃ馬車だよね。



年老いたロバに引かせた大八車に荷物と二人が乗車して

トコトコと隣の町を目指して出発する。

年老いたヨボヨボなロバの歩みは、私が歩くのと大差が無い。



隣の町の名はエカサ。


ロバの足で四日はかかる距離だろう。

それでも荷物担いで徒歩で行くよりマシってもんだ。

キャンプ道具ってかさ張るし重いからね。

荷車が有るのと無いとじゃ大違いだ。

うん、ロバだろうと大八車だろうと有るだけでも大助かりだね。


旅の途中は夜も寝ずの番しなきゃ、

火も消えるし、獣にも注意しなくちゃならない。

一人ならともかく、二人なら何とかなりそうだ。


と、考えてたけど……。

ダンマスの力を舐めてました。


「二部屋のダンジョン創った」


街道から少し逸れた小山の裾に小さな崖がある。

そこに荷車が通れるくらい拡げたポータルから、

奥行きがそれほど無いダンジョンが。


最初の部屋にロバと荷車を入れ、私達は奥の部屋で寝泊りが出来る。

空気が篭ってロバの臭いがするけど、外で野営するより安全そうだ。

『蚤虱馬が尿する枕もと』なんて誰かが俳句作ったけど、ここには蚤も虱も馬もいないけどさ。ロバはいるけど。

ポータルの扉を閉じれば、獣や盗賊の心配はしないで済んでしまう。

寝ずの番すら必要ない。


タリマ、あんたはなんと優秀な相棒だろ。

見た目少女だけど、素晴らしいよ。うん。

こんな宿屋要らずの旅は初めてだよ。

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