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転生したら魔王の放蕩息子な件 魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語  作者: ぽてち
魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語
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05「酒場にて」

あとがき欄にYoutubeのURLを張ってみる事にしました。

文面からは音楽は聞こえません。

イメージ的として聞いてもらえばと思っています。

Youtubeからの無差別にチョイスしただけの紹介URLですから、

アフィリとは無関係です。

結構重複もありますが楽しんで頂ければ何よりです。

今日はツェベリと一緒に酒場を訪れている。

さすがに八歳児じゃ酒を嗜む事は出来ない。


已む無く俺はホットミルクを頼まざるを得ない。

コーラとかアイスコーヒーが無い世界だから余計にしょうがないと言えばしょうがない。

ましてや酒場でジュースやミルクなんてそうそう用意なんかしていない。

店主のおやじさんは貴族姿の俺達の注文に渋々従ってくれる。


「ツェベリはエール飲めるでしょ?」


「いえ、私は任務中なのでエールはちょっと……」


横に座るツェベリはいつもお世話になっているからと、エールを勧めた。

護衛に支障が出るほどヘベレケじゃ問題だから、と一杯だけに止まり食べる方に専念している。

通常従者が横に座る事は無いが、ツェベリが後ろに立って世話をするという姿は、街中の酒場に似合わないし悪目立ちをする。

それじゃあ具合が悪い、むしろ一緒に横に座っていてくれる方が自然だ。




この世界には娯楽が少ない事に、ここ数日の社会見学で気がついていた。

あるのは精々バクチの類、吟遊詩人、大道演劇程度。

決して高い文化レベルとは少々言い難い。


欧州中世風の世界だから、酒場には呑む客以外に吟遊詩人が音楽を奏でている。

店内BGMともとれるけど、あれはアレだな、

カラオケが蔓延る以前の時代に居たというナガシという職業。

酔客の注文で料金をもらい、ギターを弾き歌を歌うというナガシ。


それがリュートを奏で歌う吟遊詩人。


悪くない雰囲気だけど、正直文明社会の記憶を持つ俺にしたら、

はっきり言って【ツマラン】の一言。

駅前で一人ギターを弾いて自作の歌を歌っているレベルか、それ以下。

演目は大概『騎士の冒険物語』か『恋物語』位しか無さそうだ。


生前の事を思い出していると、和楽器で洋楽を奏でるパフォーマンスがあったことを思い出した。

三味線でエレキギターの曲をやるのは面白かった。

同じ弦楽器のリュートで出来ないかな?


そう考えた俺は吟遊詩人に交渉する事にした。


「へい、いらっしゃい、何を弾き語りましょうか?」


「俺の思うものを奏って欲しいんだけど、吟遊詩人を後二人ほど集めて欲しいんだ。

 集まったら、俺が口三味線で曲を教えるから、それを三人で演奏して欲しい」


「へ?私の他に二人ですか? 一応話をつけてみるんで暫しお待ちいただけますか?」


集まるなら、それで十分だった。

もちろん料金だってきちんと払うつもりだ。


どうやら吟遊詩人の合奏というものは、この世界には無かったようだ。

しかも楽譜という物も無いから、曲は口三味線で伝えるしか方法が無い。

そして俺が目論む演目は『ベ○チャーズ』

リュート三つで何処まで挑戦出来るだろうか楽しみだ。



しばらくして先の吟遊詩人が同業者を他の酒場から引っ張って来た。


「若様、お待たせしました。同業の者を連れて参りました。私の名はフキアと申します」

「私はウェフトと申します」

「私はベミブックで御座います」


何となく良さそうなのが揃った。

三人揃った所で、店の片隅で木製のペラを渡して指示を開始する。


「良いか?お前達、今から口で曲を伝えるからリュートで同じ様に弾いてくれ」


ベンベンベンベベン ベ ベ ベベベベベン

ベンベンベンベベン ベ ベ ベベベベベン

ベンベベベベベ ベンベベベベベ ベンベベベベベ ベンベベベベベ

ベンベベベン ベベベ ベンベベベン ベベベベベベベベベベベベ


と、まあ、こんな曲だ。

肝心のテケテケテケテケとやるのが少々難しい所だろうか。


「ひー!早すぎやしませんかね」


早速音を上げるのがいるが、良い金額を提示すると詩人達はイヤとは言えなかった。

何だかんだで小一時間練習させて、酒場のステージで演奏を開始させた。



「ほおー? 何だ? この曲は」

「中々格好良いじゃないか」

「良いな、この曲は、俺は体が動きそうだ」

「おお、お前もか」


酒場の衆は皆、初めて聞く音律とテンポに感心し、盛り上がった。

格好の良い早いテンポの曲は、聞く人の気持ちを高揚させる。


「ニホバル様、たいへん面白い音楽で御座います。どこの音楽なのですか?」


「ん~、そうだねぇ、俺が考えたんだ」


こちらの世界のツェベリには言っても解らないだろうと思い、適当に答えておいた。




「教えて頂いた曲は評判が良いので、これからも続けようと決めました」


「貴族の若様、許可を頂けますでしょうか?」


酒場での評判に、三人の吟遊詩人たちは今後もこれを演奏する決意をしたと言う。


「ならば、俺がマネージャーを務めようじゃないか」


王族がバックについてマネージメントするのだから、三人には悪い話じゃないはずだ。


「ひっ! 若様は本当に王子様で御座いましたか!」


衝撃の事実と、王族の加護という条件に三楽師は仰天し、平伏した。

フリーの吟遊詩人が、王国お抱えの専属楽団に昇格したと思い込まれてしまったが。


グループ名は、そうだな、城下街ザウィハーのグループだから、ザウィハーズなんてどうだ?

安直過ぎかな。

それでも新たな娯楽(ニホバルの私設楽団)が誕生した瞬間だった。





ザウィハーズの目新しい音律は王都内で人気が上がる一方の様相を呈している。

実はこっそりと会場にチャームを掛けて、更に人気を盛り上げているのだが。



それからはザウィハーズには、街中にある演劇場で月一のペースでコンサートを開く事にした。

公演と公演の間は、彼等に練習をしてもらうのだ。

彼らは空いている期間、今まで通りやっていてもらうのも良いと思う。


演劇場は有料設定だが、庶民に払える程度に抑える事にした。

一回につき銅貨10枚の入場料でどうだろう。

コンサートの収益でザウィハーズに給料を払う体制をとる。


更に余剰金を他の楽器購入と奏者育成に充てるつもりだ。

資金に余裕が出たら、新たな音楽ユニットを育成するのも良い考えだろうな。


そんな活動を始めた俺は、やっている事が面白くなって来た。




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「父上、兄上が最近変な事を始めた様子で……」


「うむ。まぁ、んー、国政に関わる事じゃないから好きにさせて良いのかもしれぬ」


城内の重臣達も第一王子の放蕩事に過ぎないと結論を下した。

娯楽と造反が結び付かなかったからだ。

https://www.youtube.com/watch?v=96qa7Rh7bVc

リュート Nicolas Vallet (1583-after 1642) Lute Works, Paul O'Dette


https://www.youtube.com/watch?v=KnIsPxa8zD0

津軽三味線でベンチャーズのパイプラインを演奏してみた


https://www.youtube.com/watch?v=KWpEE-2QkQk

パイプ・ライン Pipeline'65 【Resize-HQ】 The Ventures

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