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転生したら魔王の放蕩息子な件 魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語  作者: ぽてち
魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語
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38「山賊」

「お頭、ヌバムの村の制圧は終りましたぜ」


テアヌソン山地にある洞窟の一つをアジトに暗躍する魔族の山賊団がいる。

総数160名と大人数で麓の村を、いくつか支配下に置いていた。

山賊団は食料や金品を支配下に置いた村々から奪っていく。


お頭と呼ぶ若い男の所へ報告に来た男の名はヘルデーヴァ。

都落ちして山賊稼業で食い繋ぐ身の上で、

自らを王子と呼ばれる事を恥じたバウソナはお頭と呼ばせている。


逃避行中は200名いた配下の者は粛清され160名に減っている。

元教師のマクガナ・ヘルデーヴァ・ユノギッド・ハルワック達の部下達で、

逃避行中や山賊稼業に身を窶した時に、王の下へ帰りたがった者達が粛清されてた。

王都でバウソナ達の情報が漏れたら、討伐隊が追って来るだろう、そのためだ。


「王子だった俺が山賊に身を窶したのは、ニホバルのせいだ。もうあいつを兄とは呼ばぬ。

 いずれ勢力を高めて王都に返り咲いてやる。その時こそニホバルの最後だ」


「兄貴」


「ん? 何だ副頭領ヘンモレドス」


「山暮らしで部下共がフラストレーションが溜まってる。村に下りて呑んで来たいが」


「ああ、そうだな。そうしろ」


バウソナ達が山賊に身を窶した理由、都でレジスタンスを組織出来るほどの人望は無い。

ハユバムからの討伐隊に見つからず、他国で166名が武力で出来る事。

そんな考えで出来る事が、山賊稼業しかなかったのが現状だ。


バウソナは思っている。

惨めだ、どうしてこうなった、この元凶は何もかも俺から奪ったニホバルのせいだ。

魔族の王子で父王にも、厚い信頼を俺は寄せられていたんだ。

それをニホバルが。俺はニホバルが憎い。この手で奴を殺してやりたい。

洞窟のアジト奥深い場所で、ニホバルを呪い続ける日々を送るバウソナだった。




「兄貴、大変だ。 麓のヌック村で反乱が起こった」


ヘンモレドスが慌てた様子で戻って来た。

ヌック村の住民達が度重なる略奪に耐え切れず、とうとう反乱を起こしたと言う。


「ちっ、しょうがねーな、全員で攻撃だ」


バウソナ・ヘンモレドス以下の部下達は、元々ザウィハーの兵ばかり。

兵士としての訓練を受けているから、他の山賊よりも精強だ。


「畜生、山賊どもが。儂等の村に何しやがる、出て行けー!」


「ああ~家が、家に火が、家には子供がいるのに…。誰か、誰か助けて…」


戦闘訓練などした事も無く、碌な武器も持たない村人達では、

襲い掛かるバウソナ達に、抵抗虚しく蹂躙されるしかなかった。


家々は焼かれ、男・子供は凶刃の下、無慈悲に殺され、

若い女達は強姦され、慰み者にされた挙句殺害される。

阿鼻叫喚の叫び声が響く村は、やがて火に包まれて行く。

村のあちこちには、夥しい血の跡、泥と煤で判別し難い死体が多数転がっている。


「へっ俺たちに抵抗するからこうなるんだ」


「そんな事言っても、もう後悔できる奴も残っていないけどな」


バウソナ達の襲撃で、生き残れた村人はいなかった。

焼け残った家の跡が、此処にかつて村があった事を物語る。


「俺たち魔族は、元々こういう種族なんだからよ、へ、思い知ったか」


「酒を呑むのに近場で良かったのに、もうこの村は駄目だ」


もはやバウソナ達には、王族や貴族の矜持も気品も残っていない。

むしろ勇猛なる魔族の姿だと、自ら酔いしれている。

それは言い伝えられる残虐な魔族の姿そのものだった。


ギルドから盗賊退治の以来を受けて、時々やって来る少人数の冒険者たちは、

160名も元兵士のいるバウソナ達に返り討ちにされるばかり。

ギルドの懸賞金も、討伐依頼を出す毎に上がって行く。







「うむぅ~……」


アルパリヤ領の領主トリザパッツは頭を痛めていた。


領地周辺の村々が魔族の山賊団に襲われたり、壊滅したり被害が拡大している。

人族領にあるアルパリヤ領は、人族と獣人が混在する八万人規模の貴族領だ。

周辺の村々から運び込まれる農作物は、領民の食糧事情に直結する。

山族被害で農作物の流入に影響が出る事は、食材費用の高騰にも繋がる。


壊滅したヌック村は、辺境にある村で結構遠い距離にあった。

アルパリヤ領から山賊退治に軍隊が進軍しても、二週間掛かる距離にある。

いくつかの村からは、既に農作物や収入が途絶えている。


しかし軍隊を出すにも、費用がかなり必要だ。

その費用を捻出するにも、領民に負担が掛かる。

かと言って、軍隊を派遣しなければ、山賊被害でジリ貧になって行く。

軍隊を派遣するか、しないか、領主トリザパッツは判断を迫られている。


「領主様、最近魔族は評判が良い様子、魔族の山賊団を退治しても、魔族の国ハユバムとは戦争にはならないかと」


「そうですよ。何時までも手をこまねいていては被害が増すばかり」


「こちらにはイフリートを使役できる召還士だっております」


「そうだな。兵士2000名、魔術師500名、イフリートを使役する召還士で山狩りを決行するか」


山は広大だが、兵士2000名、魔術師500名と召還士の人海戦術で山狩りすれば対処出来るかも知れない。

領主トリザパッツは街長や役員達の意見で、山賊退治を決断したのだった。

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