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転生したら魔王の放蕩息子な件 魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語  作者: ぽてち
魔族の国の駄目な放蕩王子だから好きにさせてもらおう物語
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29「ヘンモレドス」

「父上、兄上には、もう我慢が出来ません!」


バウソナは王の執務室でロンオロスに噛み付いている。


「兄上なんか私にすら勝てない負け犬ではありませんか」


「お前は負け犬と言うニホバルに負けているのだぞ」


「う、そ、それは……だが放蕩の道楽者が、この国をおかしくし始めているのですよ。私は絶対に看過出来ません」


「ニホバルは楽しそうにやっているだけだと思うぞ」


「魔王たる父上も、兄上に誑かされているのです」


「まあ、そう言うでない」


「いや、言います。今の父上の姿は魔王に相応しくありません」


「ならば、余をどうするつもりだ?」


「父上は王座を降りるが宜しい」


「戯け者めが、お前のような奴に任せる王位は無い。失せよ」


「見ておいでなさい、父上は必ず後悔する事になる」


「バウソナ、国を割る事は許さん。 お前には謹慎を申し付ける」


もはやバウソナに政事に関わらせる気は失せた。

それよりも先ずはバウソナ王子を自由にしておく事は、良くない事に繋がりそうな気がしている。

已む無くロンオロス王は、バウソナ王子を自室に謹慎を申し入れた。


「衛兵! この莫迦者を自室に閉じ込めよ」


「は!」


バウソナ王子は衛兵に囲まれ強制的に自室に連行される。

閉じられたドアには閂が掛けられ、室内からは出る事が不可能になった。






「兄上…」


「ヘンモレドスか」


バウソナ王子にドアの向こうからヘンモレドス王子が声を掛ける。

自室謹慎のバウソナ王子には、ドアを開ける事は許されない。


バウソナ王子がニホバル王子より評価が高かった時以来、

第四王姫タリエル・第五王子ヘンモレドスは、バウソナ王子を尊敬し慕っている。

バウソナ王子としても、慕ってくる妹や弟を大事にしていた。

その慕っている兄が事もあろうか、父王から自室謹慎を申し付けられた。



「兄上、何とお労しい…。きっと父上は何か勘違いをしているに決まっています。

 そうだ、私と一緒に直訴に行きましょう。うん、それが良い」


「ヘンモレドス、私はこの部屋を出たら叛意有りと判断されるだろう。だから、それは出来んのだよ」


「いいえ、私は兄上を助けたいのです。兄上が動けないのなら、私が父上に直訴します。待っていて下さい」


「ヘンモレドス!」


ヘンモレドス王子はロンオロス王の元へ歩を急いだ。



階下の廊下では、バウソナ王子付きの教師の剣術教師:マクガナ、魔術教師:ヘルデーヴァ、

ヘンモレドス王子付きの教師の剣術教師:ユノギッド、魔術教師:ハルワックがバウソナ王子の身を案じていた。


「バウソナ王子様もニホバル王子様と和解してくれれば良いのだが……」


「バウソナ王子様はプライドが高くて、それが出来ないでいらっしゃる」


「我等の教育が至らなかったと結論が出てしまったようですな」


「我等教師としても何かしらの責任は逃れられないでしょうね」


指導して来た王子の評価次第では、連座制で各教師達は一蓮托生の責任を負わせられる。

現にニホバル王子が若隠居に封じられた時、かの王子の教育係の教師達は降格処分を申し付けられた程だった。

幸いにもその処分はニホバル王子の最近の評価により、撤回されている。

自分達もその様な処分は、受けたくないと内心思い悩んでいる。

出来れば王子様達は互いを支え合う関係になって欲しいとも願っている。


「あ、先生方」


廊下の向こうからやって来たヘンモレドス王子は、自分達の教師達を見つけた。


「先生、私はこれから父王様に直訴に行く所です。出来れば先生方は私に加勢して頂きたいのですが」


教師達は、正直藪を突くような事はしたくなかった。

それでも王子直属の指導者という立場が、それを許さない。

王子が危険な事になるようなら、身を挺してでも守らなければならない立場でもある。

最悪の場合、調停が出来るように、側にいたほうが良いだろうと判断した。



「父上様、バウソナ兄様があれではあんまりじゃありませんか」


ロンオロス王の前に駆けつけたヘンモレドス王子は開口一番にバウソナ王子を擁護した。

だが、ロンオロス王は冷ややかな目でヘンモレドス王子を見据える。


……「父上は王座を降りるが宜しい」と宣言をしたバウソナにヘンモレドスは組するか。


「ならぬ。決定事項である。何故ヘンモレドスは王たる余に意見する。バウソナに頼まれでもしたか?」


「違います父上。私はバウソナ兄様を慕っているだけなのです」


「ならば、お前の物言う相手はバウソナであろう」


「いいえ。兄様に謹慎を申し付けたのは父上です。だから私は父上に申すのです」


「それは筋違いと言うもの」


執務中だったロンオロス王は、ヘンモレドス王子を諌めようと立ち上がった。


「父上!」


立ち上がったロンオロス王に恐怖したヘンモレドス王子は思わず剣を抜いてしまった。

その姿を見た教師たちも反射的に剣を抜く。


「お前達、誰に剣を抜いた。叛意有りと看做して良いのだな?」


「ヘンモレドス!」


不安を覚えたバウソナ王子がヘンモレドス王子を追って来た。


「バウソナ、お前には謹慎を申し付けたはず。何ゆえここに来た」


剣を構えたヘンモレドス王子と、二人の教師達、そして謹慎を破ったバウソナ王子を相手に

魔王ロンオロスの怒りと気勢が膨れ上がる。


「「「ひ、ひいいぃぃ」」」


その場にいた者たちは皆恐怖した。

本当は誰も最初から叛意など無かった。

残念ながら現実は、事の流れで全員の咄嗟の抜剣行動が叛意有りと語ってしまっている。

あまりな出来事に、ヘンモレドス王子もバウソナ王子も正常な判断力を失った。

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