20「行進曲」
あとがき欄にYoutubeのURLを張ってみる事にしました。
文面からは音楽は聞こえません。
イメージ的として聞いてもらえばと思っています。
Youtubeからの無差別にチョイスしただけの紹介URLですから、
アフィリとは無関係です。
結構重複もありますが楽しんで頂ければ何よりです。
「父上、やっと行進曲が出来上がりました」
本当は前世の記憶に頼った日米の行進曲なんだけど。
楽譜の無いこの世界で指導して来たのは、全部俺の口三味線による所が大きい。
それが交響曲楽団規模となると、一筋縄には行かず時間も掛かった。
素人なりにも楽器ごとのパートを口三味線で教えつつ、タイミングの指示もした。
それで何とか形にして、やっと今日父王の前で披露する。
場所は練兵場。
1個中隊を行進させ、各種楽器を携えた楽団による行進曲を演奏する。
まだ行進しながらのマーチングバンドには届かない。
それでも普通に行進しているより、行進曲というBGMが有ると無いとでは、はっきり違いが出る。
もちろん中隊には既に行進の仕方を叩き込んでいる。
「中隊、進め!」
隊長の号令と供に一個中隊の行進が演奏とともに始まる。
楽団の演奏で場の空気は引き締まり、行進する隊列は背筋が伸び足並が揃う。
行進の足音はリズムに合わせ、ザッザッザッザッと格好良く進んで行く。
「うむぅ、これが行進曲か……」
「左様、兵達の意識の高まりが、はっきりとこちらにも伝わりますぞ」
「街中で軍隊の行進にもすごく合いそうですな」
「他の兵士達にも、街の臣民達の戦意高揚にだって十分になりましょうぞ」
父王と重臣たちは口々に感想を語る。
傍らにいる王妃達や弟の第五王子ヘンモレドス、妹姫の第三王姫ルリア、第四王姫タリエル達も、
楽団の音楽や、兵達の規律整った行進の姿に見蕩れている。
出来れば、この世界の吟遊詩人たちに作曲を頼みたい所だが、
残念ながら、殆どの街中でソロで活躍する吟遊詩人は、自作フォークソングのレベル。
とても交響曲楽団の音楽を創作出来るレベルには無かった。
つくづくモーツアルトって天才だったんだと思い知ったよ。
「兄上様、行進曲の良さが体中で解る思いです」
ルリア姫がさっそく近寄ってくる。
ヘンモレドス王子とタリエル姫の鋭い視線とともに。
それだけでルリア姫がどういう立場で、どういう関係なのか察しがついた。
単なるお兄ちゃん子じゃなかったんだ。
少なくとも母上様と俺が味方をしてやらねば。
放蕩王子の保護じゃどうかと思うが、俺にはそれ位しか出来ないだろう。
「ニホバル、天晴れであった」
交響曲楽団は有用な軍楽隊として認められ、俺の音楽事務所の関係者たちは、
国から立場を認められ、俸禄も支払われる事に決まった。
各俸禄は事務所を通し、配給されるから、見た目は今まで通りだ。
演奏披露が一通り終った後、アビスナ母様とのお茶会に招かれた。
お茶会と言えば大げさだが、母と子での一休憩という所だろうか。
侍女達に囲まれた部屋で、アビスナ母様とルリア姫がお茶をしている。
そこへ招かれた俺とツェベリが同席する。
「ニホバル、今日は大儀でありましたね」
俺とツェベリにお茶を振舞われる。
「それにしてもニホバルの多才振りに驚いております。一体何処から、あれ程の知識を得たのでしょう」
「王妃アビスナ様、私もニホバル様の才能に驚きを隠せません。私にとっても未知の音楽であります」
ツェベリも追随する。
俺の導入した音律は、確かにこの世界には存在しない。
ましてや、この世界に無い楽器類は特注品ばかり。
彼女達や、事務所の団員達にとっても異世界の音楽なのだから。
「兄上様はそれくらい凄いのです。世界一に決まっているのです。本当の天才なのです」
ルリア姫が俺を持ち上げる。
「そうですね。天才だと考えなければ、説明がつきません。きっと新たな時代を切り拓く者だと考えますよ」
いや『前世の世界の記憶を持った転生者』という説明じゃなければ、間尺が合わないでしょうに。
まあ、言っても詮無い事と考え、その真実は語らなかった。
語ったところで、誰が何処まで理解出来よう。
仮に理解出来たとしても、誰にもどうにも出来ないのだ。
しかも改めて言えば、この王城での俺の立場は、『武術も魔術も至らない放蕩王子』なのだから。
https://www.youtube.com/watch?v=SpfFSkv4iko
Japanese Army March (陸軍分列行進曲)
https://www.youtube.com/watch?v=5O0FRBMkKjk
愛国行進曲 / Patriotic March (Aikoku Koshin-kyoku)
https://www.youtube.com/watch?v=YcXbZK_VB-U
アメリカ海軍 公式行進曲「錨を上げて」 / Anchors Aweigh
https://www.youtube.com/watch?v=GgfSujeFnyE
ジョニーが凱旋するとき




