139「バウソナの最後」
あとがき欄にYoutubeのURLを張ってみる事にしました。
文面からは音楽は聞こえません。
イメージ的として聞いてもらえばと思っています。
Youtubeからの無差別にチョイスしただけの紹介URLですから、
アフィリとは無関係です。
楽しんで頂ければ何よりです。
ニホバル一行は地底の街ホワピュルを出発し、クージルの街へ向かっていた。
クージルの街は、魔族領内で唯一の海辺の街だったりする。
海から吹き寄せる浜風が気持ち良い。
街道の向こうを見れば、砂浜が広がっていて波打ち際で遊べそうな雰囲気がある。
「遊ぶのも良いけど、先ずは街での仕事を片付けてからだな」
この街で公演を行っているのは、
①【妖精バンシーの歌】(ララレチト)
バックダンサー隊10名
② ザウィハー交響楽団
③ ウラークルによる花火
以上の4ユニットになる。
団員達への慰労訪問の前に、クージルの街のクォルラ街長に表敬訪問をする。
ここまでがこの街でのスケジュールだ。
クォルラ街長からは、月一の公演から年一で大々的に行う方向で話は付いた。
「おおー! 花火すげぇ」
ノルナ姫は始めて見るウラークルの花火に興奮している。
「でしょ? 全部の部署が集まったら、もっと凄くなるよ」
自慢げにルリア姫が説明する。
「そっかー、良いなーザウィハーって」
王都でいつでも音楽が聴けると思ったようだ。
団員への慰労訪問では、アマゾネスバックダンサー隊がいる所では、必ずノルナ姫は歓待を受けた。
ノルナ姫にしても、国の者たちが懸命に踊る姿が嬉しそうだ。
「兄ちゃん、仕事が終ったなら、ルリアたちは浜辺に行きたいです」
来た道を少し戻る事になるけど、時間的ロスは誤差の範囲だろうな。
砂浜は裸足で火傷するほど熱くはない。
ルリア姫・キスナエレア・ビエル・ノルナ姫は波打ち際ではしゃぎ出す。
寄せては引いていく波が珍しかったようだ。
人の少ない浜辺はプライベートビーチ状態になった。
「ミモは浜辺は苦手であります」
ひとしきり遊んだ一行は次の街に向かうため、馬車に戻って来た。
道の先を見ると、三人の冒険者が歩いて来るのが見える。
どうやら、一仕事終ってクージルの街へ帰る所のようだ。
「ん? 誰だと思えばニホバルか」
一人がニホバル王子に気が付いた様子。
しかし、見知らぬ一介の冒険者に名指しで呼ばれる謂れは無い。
「バウソナ兄様……」
得体の知れない冒険者の姿はタリエル姫の瞳に見えている。
心を閉ざしていたタリエル姫には、冒険者が誰なのか判る様子。
一言言葉を発した途端に、精神の拘束が外れたようにボロボロ涙を流し始めた。
「今だ」
タリマが能力『智の迷宮』を発動した。
「何故ここにタリエルがいる」
バウソナとヘンモレドスの顔は昔の面影を残さない程、粗野に変貌している。
かつての王子としての気品はもう無い。
冒険者の顔としても、異常なほど陰惨な雰囲気が漂っている。
そんなバウソナとヘンモレドスでも、タリエル姫には判った。
「ふん、丁度良いチャンスだ、積年の怨みを晴らさせてもらうぞ」
バウソナはジャリンと剣を抜いた。
「させません」
ツェベリ・キスナエレア・オーシアが武器を構え立ちはだかった。
「面倒臭せえ、全員皆殺しだ、おい、アルマデル」
「おう」
バウソナの命令で、アルマデルは5mあるだろう醜悪な悪魔マモンを召還した。
悪魔マモンはニホバル達一同を睥睨する。
マモンにとっては毎度の仕事に過ぎない筈だった。
「悪魔だって?」
マモンを一目見るなりピルアーナは加勢に走った。
脆弱なニホバル達では、だれも悪魔には敵わない事を知っている。
今この場で悪魔の相手を出来るのはジンニーヤのピルアーナだけだ。
ニホバルの腰に収めた水鉄砲から突然に霧が噴出する。
「こちらランウネル、ニホバル王子様に危険が迫った、精霊達集合して!」
悪魔の危険性を察知したのはピルアーナだけじゃない。
水の精霊ランウネルは本体を呼び寄せ、他の精霊達も呼び集める。
ポータルが開き、土の精霊ノーム『ラゴ』
風の精霊シルフ『ユネペイア』
光の精霊『カンデラ』『ルーメン』『ルクス』
火の精霊サラマンダー『ウラークル』
が同時に出現した。
「精霊だと? 厄介そうなのが多いな、こちらも呼ぶぞ」
悪魔マモンは、サタン・ルシファー・ベルゼブブ・アスモデウスや眷族達をを召還する。
どの悪魔も地獄では名の知れた悪魔王達だ、真っ黒い硫黄を含んだ煙と共にこの場にマモンの呼びかけに応え次々に出現し始める。
「何? 悪魔が悪魔を召還するだと……うぐ…」
一度に複数の悪魔を呼び出されたため、悪魔使いアルマデルは、
急激に大量のマナを強制的に奪われ、一瞬にして命をも奪われ失った。
大勢の強力な悪魔だから、召還士のマナが足りなかったのだ。
「マナが足りなすぎだぞ」
「仕方ない、足りない分は我らの魔力で補うしかない」
「ニホバル王子様を守ります、全精霊、武装合体!」
ランウネルの号令で精霊達はニホバルの体を包み、融合し武具に変容する。
精霊武装はニホバル王子の筋肉となり身体能力を高め、精霊鎧は『ラゴ』の能力で硬さを増す。
『ランウネル』の水の刃『ユネペイア』の風の刃『カンデラ』『ルーメン』『ルクス』の光の矢
『ウラークル』の炎の鞭、矛で悪魔を迎撃迎撃にかかった。
精霊達の変異した武器は、精霊の意識で動き、悪魔達の攻撃を防ぎ、反撃に移る。
悪魔の眷族には十分すぎるほどの戦力になった。
右の手に水の刃、左の手に風の刃を握り剣戟に挑むニホバル王子。
鎧のあらゆる部位から死角は無いとばかりに光の矢が飛び悪魔達を穿つ。
鎧の背にあるウラークルの炎の腕が持つ炎の鞭、炎の矛も縦横無尽に悪魔達を切り裂いていく。
「おお! 武器化した精霊達、すげー!」
しかし悪魔王達は被弾しても斬り裂かれても、血の流れない傷口は簡単に跡形も無く塞がってしまう。
悪魔王に対し、ほぼ互角の戦力と思っていたが憶測に反し、どの悪魔王もレベルは尚高い。
数で優位に立つ悪魔達は、精霊武装を纏ったニホバル王子とピルアーナに攻撃を集中する。
強力な武装や能力があっても、多数の悪魔の眷族たちの力は逼迫している。
次第に数で押し切られ始めた。
どんどん旗色が悪くなり始めた。
「くっ、こりゃ拙いぞ」
「ニホバル王子様、ここで負けちゃ駄目! 頑張って!」
劣勢気味のピルアーナから、悲鳴のような叱咤が飛ぶ。
二人対多数の乱戦状態で、互いを庇い合う余裕も既に無い。
果敢に立ち向かうニホバル王子だったが、精霊武装は悪魔の剣で次第に切り裂かれ始めた。
さすがのピルアーナでも、力強い悪魔王にあしらわれる一方だ。
魔法戦でも敵わず、一方的に防戦に回される。しかも分が悪い。
その様子を見るバウソナとヘンモレドスは口元を歪め陰惨に笑っていた。
精霊とて、もはや脅威にはならない。
憎きニホバル王子は、これで終るのだと。
ツェベリ達では悪魔に攻撃が効かない、攻撃目標を即座にバウソナとヘンモレドスに切り替え対峙する。
ビエルとチズシア、ノルナ姫は悪魔王の眷族達の攻撃から、ルリア姫とタリエル姫を守る。
「マズイね、互角に達してないよ、私達も加勢しようか」
シレラも判断を下した。
強い光の中で融合するシレラ・ミモ・タリマ。
カッと散る強い光の中から、三面十臂の女神チャンディー・ヴィカラーラが出現する。
「え? ミモ師匠!」
突然の異変に驚くノルナ姫。
「げぇ! 何だと、なぜここにドゥルガーが」
驚愕する悪魔王達。
神にも匹敵する悪魔王達であっても、尚敵う相手じゃ無い事が解る。
恐怖と絶望の旋律が悪魔王達やその眷族たちに広がって行く。
かつてディーヴァ神族と敵対した魔神アスラ神族を、たった1柱で殲滅した戦女神がいた。
数多いる魔神達の王、如何なる神でも殺せない不死身のマヒシャースラをも討ち取った女神、
その戦女神の名はドゥルガー、別名をチャンディー・ヴィカラーラと言う。
ニホバル王子たちの前に進み出たチャンディーの十本の手に、神剣が握られている。
「お前達を殲滅する。命乞いも要らぬ」
十振りの神剣は複雑極まる太刀筋を描き、音も次元空間も切り裂いていく。
悪魔達どころか、遠くにある海も大地も丘も時間すらもチャンディーの剣で斬刻まれる。
時空間ごと斬り裂かれるから、悪魔王達も眷族達も逃げ場は無く、
力も戦い方も魔法も攻撃も防御も回避も全てがまったく意味を成さない。
強大で醜悪な名の知れた悪魔王達でも、
凶暴な戦女神に声も出せずに恐怖した。
斬り裂かれ、断裂した空間の向こうには、混沌の無色の空間が広がっている。
如何なる法則も形も持たない豊穣なるカオスの空間は、原初の宇宙そのものかも知れない。
斬り裂かれた悪魔達は、原初の宇宙に飲み込まれ、姿を保てずに塵になって消えていく。
チャンディーの神剣から逃れる事は出来なかった、生き残れた悪魔はいない。
チャンディーが悪魔王達を相手にしている頃、ツェベリ達は薙刀を振るい、
バウソナとヘンモレドスを追い詰めていた、ニホバル王子達に敵対する者を許さない。
薙刀の刃を剣で受けられたら、すかさず回転させて受け流し、石突で相手を打ち、突く、
ツェベリ達の薙刀は、相手の体のどこだろうと選ばず刃を通し斬る。
剣よりも薙刀の方が長いリーチで戦いを有利に進められる。
ツェベリが、キスナエレアが、攻撃を封じ込め、
オーシアが剣を振るい、相手を斬りつけ攻撃力を削っていった。
深い斬り傷で、バウソナとヘンモレドスの抵抗力はどんどん奪われていく。
十数合の打ち合いで、動きの鈍ったバウソナとヘンモレドスは遂に討ち取られた。
「バウソナ兄様……」
悪魔を使い、タリエルをも犠牲にしようとしたバウソナに、
タリエルは何の思いを抱いているのだろう。
もはや彼女に流れる涙は無かった。
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Videogame Published :: KnightMare Remake
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