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138「ホワピュルの街」

ニホバル王子はシータッドの街での仕事を終え、ホワピュルの街に到着した。

この街は、今までのどの街とも様相が違っている。

晴天下に建っている街ではなく、地下で発展している地底の街。


大昔、ここは鉱山だったと言う。

坑道は複雑に掘り進められ、広大な地下空間にまで広がってしまった。

やがて産出される鉱石は枯渇してしまい、地下空間だけが残った。

産出される物が無くなれば、人々は四散するのはよくある話。


しかし、この街の住民達は事情が異なっている。

広大な地下空間の街は、街壁を造る必要が無い上に、

建物を建てなくても、多少の手入れですぐに住めるという利点があり、

季節による温度変化や気候変化にも無縁で街の保全が楽だった事もある。


鉱山業の代わりとなる産業さえ確立さえすれば、住み良い環境の街から、

誰も地底の街を捨てて、出て行く必要は無い事に気がついた。

その方針に成功したのが、このホワピュルの街だ。


山の麓、崖の部分に大きな街門が造られている。

ニホバル達の馬車でも余裕で出入り出来る大きさがある。

大昔、それほどの大きさの機械の搬入があったのかも。


ドワーフの街を思い起こさせられるけど、あちらのメイン部分は坑道の外にある。

坑道内の有効部分をホールに使ってた様だけど。


「兄ちゃん、ダンジョンの中に街があれば、こんな雰囲気かもね」


ルリアは目を輝かせながら街の様子に見入っている。


住民の居住区は、坑道の横穴が利用されているらしい。

当然、ダズナー街長の邸宅も、そういう構造になっているという話だった。

坑道の横穴を利用って聞いてたから、さぞや奥行きのある住居かと思ってた。

そういう住居もあるらしいけど、街長の邸宅にはいくつか部屋を造っているようだ。


ダズナー街長とはすぐに会えたから、さっそく公演について打ち合わせを開始した。

この街での予定は、


【鬼太鼓】オーガ和太鼓セッション


【妖精バンシーの歌】(テナモゼ・ニナヴィル)


 バックダンサー隊10名


とささやかな構成になっている。

やがてはフルメンバーでの、公演について是非にと要望も出た。

ニホバル王子とツェベリ以外の者たちは、さっそく街の観光に出かけている。

暴れん坊姫のノルナ姫がまた暴れてなければ良いけど。


ルリアが言うには、ルリア・タリエル・ノルナの親睦を深めたい目的もあるとか。


「あ、ここには公衆浴場なんてのがあるのであります」


街を散策していた一行、ミモが公衆浴場を見つけて皆で入ろうという事になった。

宿で桶にいれた水で体を拭く事はあるけど、入浴の文化は無い。

大量のお湯に入った事が無い皆は、公衆浴場に入ってみる事にした。


中は当然、男湯と女湯に分かれている。

ここに居る者は全員女だから、当然女湯に入る事になる。


「へー、石鹸とヘチマを売ってるんだ」


シレラが売店で入浴道具を見つけて感心している。


脱衣場で皆服を脱いで、大事な所を布で隠して浴槽に向かった。

戦闘服を着ていたノルナ姫は少々手間が掛かる。



浴槽の中では、キスナエレア・チズシア・オーシアが筋肉自慢で盛り上がっている。

洗い場にいるタリエル姫とルリア姫はヘチマの使い方が解らない様子。


「何だ? ルリアはヘチマ使った事無いのか?」


ノル姫達アマゾネスは泥の中での格闘訓練の経験がある。

全身が泥だらけになったら、ヘチマでガシガシ擦らないと汚れが落ちないから、

ヘチマは知らない道具ではなかった、訓練の仲間内で洗い合う事も珍しくない。

何せ背中に手が届きにくいから、仲間で輪になって洗い合う事がよくある。


遅れて入って来たノルナ姫はヘチマに石鹸を擦り付け、ルリア姫の背中を擦った。


「あ、ありがとノルナ」


「ついでだ、タリエルの背中も擦ってやる」


ヘチマを構えるノルナ姫に、タリエル姫は恐怖の目を向けて後ずさって行く。


「あ? 何だよ?」


普段は感情が無いタリエル姫に怯えの表情が出ている。


「乱暴はしないよ、ヘチマで背中を擦るだけだ」


「ヒ、い・イヤ…… おと…」


初めてタリエルの声を聞いたノルナ。


「バ、バッキャロー、私は女だぞ、わ!」


思わず立ち上がったノルナ姫の腰の布が落ちた。


「は、恥ずかしい事に……」


布の落ちたノルナ姫の股間を、目の前で見たタリエル姫は口をアングリ開けている。

無理も無いが、タリエル姫はノルナ姫を男と思ってたようだ。

姫と聞いていても、外見が外見だけに信じられなかったらしい。


「まあまあ、ノルナ、女同士だし…」慰めるルリア。


「そうですよ姫様、ルリア姫様の言う通りです」オーシアも追随する。


「そんな事言っても、恥ずかしいものは恥ずかしいの」


「姫様が恥ずかしいなら、私達も恥ずかしくなりましょう」


オーシアが提案する。

ノルナ姫の恥を有耶無耶にするために、全員スッポンポンで洗い合う事になった。

その光景を微笑ましく見守るシレラ達だった。


「スッポンポンになるのが恥ずかしいですか?」


ビエルが不思議そうだ。

ビエルは人化を解くと、巨大化する体で服が裂けてしまうという。

咄嗟の緊急事態はともかく、人化を解く時には服を脱ぐらしい。

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