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134「ロダザックの街」

宿に一泊した後、次の目的地『ロダザックの街』に向かう事にした。

距離にして、こちらも三日の距離だ。

御者のチャリルとキンガーは停泊の度に馬車の整備や修理点検を欠かさない。

ニホバル一行の馬車どころか、余力でシレラ達の大八車も整備してくれる。



「おおー! でっかい馬車だー」


さっそく馬車の大きさに驚くノルナ姫。


「ニホバル王子殿、王子・王姫様がこれだけいるのに、護衛の姿が見えませぬが……」


オーシアが訝しんでいる。


「オーシア、我等には多くの護衛は不要なのです」


ツェベリが説明した。


「なるほど、貴方達は戦闘侍女でしたね、納得です。私も戦力になりましょうぞ」


こちらの戦力の実態を知らないオーシアは誤解している。

二人は馬車に同乗するから、道中説明していけば良いか。




馬車はダンヴァンの街を出発した。

ルリア姫・ビエル・ノルナ姫達は馬車の窓から、身を乗り出してはしゃいでいる。

後ろにキスナエレアとオーシアが控えているから落ちる事は無いだろう。



「ニホバル王子様、山賊の襲撃です、数は20名ほど」


街道を行く途中、20名ほどの山賊が襲って来た。


「よし、それでは早速」


オーシアが臨戦態勢に入ろうとする。


しかし誰も馬車から出て戦う手間は掛からなかった、ニホバル王子が車中から水鉄砲で応戦した。

山賊が水の刃から逃げる速さより、ニホバル王子が手首を捻る方が早い。

一万気圧のウォーターカッターは、山賊達も後方の岩も木も無情に切り刻んでいく。

その様子にノルナ姫とオーシアは、目を見開いて驚いた。


「ニホバル王子様、その武器は一体……」



ノルナ姫とオーシアの驚きはそれだけに留まらず、野営に入った時にも驚きが来る。

タリマが創った五部屋のダンジョンに驚き、

再び創ってもらったダンジョンアトラクションにも驚嘆している。


今回はノルナ姫・オーシアも参加で、ルリア姫・キスナエレア・タリエル姫・チズシア・ビエルでダンジョンに入り、戦利品を持ち帰った。

多少増やした魔物も、ノルナ姫の敵にはならなかった様子。

またダンジョンを創ってもらえるなら、ルリア姫とノルナ姫だけでトライしたいと言い出す始末。


「ニホバル王子様、すごいっす、マジぱねえっす、タリマ様感謝しますです」


ノルナ姫の興奮は冷めそうに無かった。

ダンジョンの部屋に泊まる事も、皆で食事をする事も、ダンジョンを攻略する事も、

彼女にも十二分に新鮮な体験だったようだ。




馬車は三日の行程を経て、ロダザックの街に到着した。

この街は様々な物資の流通中継地点になっているから繁栄している街だ。

街の周りは長い壁に囲まれ、人々は街に四つ在る門から入らなければならない。

各門には門番が街に入る人達を、治安の目的で検問している。


ニホバル王子達の馬車は、他に類を見ないほど大きいが、辛うじて門を潜れそうだ。

街の大通りを行くには、十分な道幅はある。

しかし、ニホバル王子一行と珍しい馬車が通ると言う事で、沿道に見物人が溢れている。

中には、沿道の建物から花びらを蒔いてくれる人もいた。


街長宅へ着いて馬車を降りた一同は夜になったら、この場に集合と取り決め、

街を散策する予定。ニホバル王子とツェベリはモドー街長を表敬訪問する。


「ニホバル王子様、よく御出で下さいました」


人当たりの良さそうなモドー街長はニホバルを歓迎し、応接室で会談をする事になった、

今現在ロダザックの街で公演しているのは、


①【ザウィハーズ】リュート三重奏

②【セイレーン歌手】 (レウコシア・リゲイア)

バックダンサー隊10名

③【ザウィハー交響楽団】


の三つのユニットがコンサートを開いている。

月一に派遣しているから、街の人達は十分に楽しんでいるけど、

以前アビスナ王太后達と凱旋して開催した、大規模な公演をこの街でもお願いしたいと相談された。

そのためなら、月一のコンサートを取止め、年一のペースでも構わないという事だった。


「そうですか良いですよ、そういうスケジュールを組みましょう」


ニホバル王子はモドー街長の希望を受け入れた。

街長との会談は一時間ほどで終ったから、ニホバル王子達は公演の様子を見る事にした。


この街には、催し物用に広いホールが建てられていて、公演はそこで開催されている。

屋内でのコンサートだから、照明係りの光の精霊達も派遣されている。

1000席の客席は満席状態だったから、人気は上々といった所だろう。


ルリア姫・キスナエレア・タリエル姫・チズシア・ビエル・

シレラ・ミモ・タリマ・ピルアーナ・ノルナ姫・オーシアが会場の隅で観ているのが見つかった。

ノルナ姫は両手を握り締め、体の前でリズムに乗って動かしているから、のめり込んでいるんだな。

タリエ姫は僅かだけど、表情に変化が出て来ている様に見える。



コンサートが終了してから、一同集まって食事に出かける事にした。

話の中で、ノルナ姫はギルドレベルがB級5だと自慢をしていた。

ルリア姫もあちらの世界ではギルドレベルは4だけど、こちらの世界ではギルド登録はしていない。


「兄ちゃん、ルリアもギルド登録したいです」


王族が冒険者ギルドに登録ってのはおかしいと思うけど、

ルリア姫にしたら、実力評価の証明になるからと欲しがった。

しょうがないから、冒険者ギルドに出向く事にした。

初回登録だと、E級Lv.1からになるけど、試験を受ければ飛び級も可能だと説明があった。


「ルリアも試験受けますー」


ルリア姫・キスナエレア・ツェベリ・タリエル姫・チズシア・ビエル・ピルアーナが試験を受けた。

試験は実技だけが試される、腕に憶えのある試験管達が判定を下すという。


結果は

ルリア姫がB級Lv.3

キスナエレアがA級Lv.5

ツェベリがA級Lv.8

タリエル姫がC級Lv.3

チズシアがA級Lv.5

ビエルがS級Lv.20

ピルアーナがS級Lv.20

という結果になった。

馬車で

「ええー? ビエルさんとピルアーナさんがS級Lv.20だって?」驚くノルナ姫。


小柄なビエルは人化ドラゴンだから、元々身体能力は高い、人化を解けば上限を遥かに突破するけど。

ピルアーナは無属性の精霊ジンニーヤだから無理も無い、二人とも最後までストレート勝を修めた。

S級の上にはSS級というのも在るらしい、ギルドの貢献度も加味されるから、試験ではSS級は取れない。

C級の下はD級・E級とあって、普通初回登録するとE級から始まる事になる。


因みにオーシアはA級Lv.6の実力者だ。

レベルは20が上限で、超えると上のランクに昇るという話だった。


「なら、私も受ける!」


対抗心を燃やしたノル姫も試験を受けた。

結果はB級Lv.6に上がっただけに終る。

オーシアから、もっと修行しないととネジを巻かれていた。



翌日、用事の済んだニホバル王子一行はロダザックの街を出発した。

次の目的地『シータッドの街』へは馬車で五日の予定だ。

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