122「イアーシュミ」
あとがき欄にYoutubeのURLを張ってみる事にしました。
文面からは音楽は聞こえません。
イメージ的として聞いてもらえばと思っています。
Youtubeからの無差別にチョイスしただけの紹介URLですから、
アフィリとは無関係です。
楽しんで頂ければ何よりです。
馬車はやっとドラゴンの国イアーシュミに着いた。
ニホバル王子の所にいたマネージャーのビエル達の出身地だ。
期待して来たのに、街は普通に人の街と変わらない風景が。
巨大なドラゴンの姿は一向に見えない。
「大怪獣の街ってイメージと違うのであります」
「騙された感じ」
強大なドラゴンでも、国になるほど人民が集まると、
土地がいくつあっても足りなくなるし、食糧問題にもなりかねない。
恐竜の時代とは違うのだから。
そういう切実な問題から、知性の高いドラゴン達は人化して、
人のような暮らしをしているのだった。
因みにリザードマンとドラゴンは親戚でも何でもないらしい。
「ドラゴン人の名物って何だろね? ドラゴンフルーツとか?」
先ずは宿の確保と酒場で情報収集と手順を踏んでいく。
「昼間の酒場は閑散としていますね」
「あ、一人飲んだくれのおじさんがいたのであります」
「ああ、旅のお客さん、アイツに関わらない方が良いですよ」
酒場の店主が言うに、彼はどうしようもない男だと言う。
呑んだくれては人に酒代を集るという、どうしようもないクズらしい。
呑んだくれては、自分をドラゴンの神ヴァハムートだと吹いてクダ巻いていると言う。
「ふーん、生物最強種のドラゴンにも神がいるんですね」
ピルアーナの頭の中では、威厳のある巨大なドラゴンが[我]とか[我輩]と厳かに言い放つイメージが湧いていた。
「お嬢さん方、酒を一杯儂に奢ってくれんかの」
「お客さん方、その爺さん相手しちゃ駄目ですって」
「ほう、誰かと思えば、チャンディーじゃないか、久しぶりだの」
……このバカドラゴン!正体ばらすんじゃないよ。
口には出せないけど、心の中で思いっきり叫びたい!
「マスター! 個室借りるね」
シレラ達はヨッパライオヤジを個室に連れ込んだ。
「え?え? 何ですか? 何が始まったんです?」
事情が判らないから、うろたえるピルアーナ。
「このおじさん本物」
「本物ってドラゴンの神ヴァハムート様って事ですか? まさか」
「そのまさかであります」
入った個室は入り口を封印され、別空間が展開された。
事態に驚くピルアーナ。
「泉の女神様もチャンディーって言ってましたよね? 確か」
「そうじゃよ。 このお嬢さん達はチャンディーじゃよ」
「ヴァハムート爺、いい加減にして!」
「いやー、すまんの、酒を呑むと頭がバカになるでの、ホッホッホッ」
「ピルアーナの試練の半分が種明かしされてしまったのであります」
シレラ達は光に包まれ、1柱の神に収束していく。
三面十臂の戦女神チャンディー・ヴィカラーラに。
「ホッホッホッ、やっと正体を現したの、チャンディー」
「え?え?え? そんな、シレラさん達が神だったなんて」
混乱しながらも拝礼の姿勢をとるピルアーナ。
「わ、私、ピルアーナは偉大なる女神チャンディー様に帰依します」
「こうなるから困るんだよね」
「ピルアーナに最後の試練を課すのであります」
「ピルアーナはチャンディーの僕か眷属になりたいの? シレラ達の仲間になりたいの?」
「ジンニーヤの私が女神チャンディー様のお仲間になんて恐れ多くて」
「その答えがファイナルアンサーでOK?」
「………」
「その答えを出すのがピルアーナの最後の試練にするよ」
ピルアーナはシレラ達三人と旅をして来たと思っていた。
言葉が正確かどうか判別しないけど、実は1柱の女神様と旅をして来た?
気持ちは仲が良かったシレラ達と、気軽に話せる友達になりたかった。
僕や眷属は対等の立場の友達ではない。
しかし単なる精霊が神様の友達なんて烏滸がましいというもの。
「こうなっちゃうのが私等嫌なんだよね」
「今はまだ答えを出さなくて良いのであります」
「これを渡すから、答えが出たらこれに言えば良い」
金色の腕輪をピルアーナに渡した。
「話がこじれているようだのホッホッホッ」
「煩いね、こののんだくれ」
シレラ達は個室から出てきた。
「マスター、このおじさんにお酒奢るから」
「お客さん、済まないが溜まったツケも頂ければ有り難いんだが…」
「集りばかりか、ツケでも呑んでたんかい、この親父は」
「あの…それで良いのでしょうか?」
「彼は彼なりに楽しんでいるからね……」
「お土産代わりなのであります」
四人は一端宿屋に戻る事にした。
「どうして神様があんな事に…」
ピルアーナは理解が出来ないようだ。
まるで喧嘩をしているような会話だったけど、ヴァハムートは笑っているだけだ。
実はヴァハムートは別に堕ちた神ではない。
神は神殿の中で、お飾りになっているばかりが仕事じゃない。
呑んだ暮れのオヤジを演じているのは、ドラゴン達神民の生活に触れているだけだ。
ドラゴン神ヴァハムートが、何を知り、何を考えているのか彼以外に知る者はいない。
彼が呑んだ暮れのオヤジを演じているのと同様に、チャンディーは冒険者を演じているし。
どちらも臣民の暮らしに溶け込み、臣民と共にあり、臣民と同じ喜怒哀楽を味わっている。
「ヴァハムートに挨拶も終ったから、この国は無事に観光が出来そう」
この国には二種類の人が住んでいるらしい。
一つはドラゴンが人化した者達、ドラゴノイド。
もう一つは龍化出来る人達、分類ではこちらをドラゴニュートと呼ばれるそうだ。
「違いがよく判らないのであります」
「車に例えるなら、4ドアクーペと4ドアセダンみたいな?」
「イタリアのピザとアメリカのピザの違いみたいな?」
この国にはドラゴン神殿というものがあるらしい。
「明日はそこへ行ってみようか」
https://www.youtube.com/watch?v=Lnvbf4JFKOU
酒が飲めるぞ音頭




