118「ファナード」
あとがき欄にYoutubeのURLを張ってみる事にしました。
文面からは音楽は聞こえません。
イメージ的として聞いてもらえばと思っています。
Youtubeからの無差別にチョイスしただけの紹介URLですから、
アフィリとは無関係です。
楽しんで頂ければ何よりです。
「えっと…次はエルフの国かぁ」
シレラ達にはエルフに良い思いが無かった。
……訪ねた事はあっても、森にすら入れずに追い返されたっけ。
唯一話をしてくれたのが、長老の一人ズンナ翁だけだった。
エルフと言えば、ファンタジーの定番、森の種族、興味はある。
恐る恐る注意しながら、馬車を進めるシレラ一行。
いつ矢が飛んできても、対処できるように気を張り巡らせながら。
やがて大樹の根元に宿屋を見つけて馬車を止めた。
意外にも攻撃は一切無かったし、敵対する者もいなかった。
「随分雰囲気が違うのであります」
「ん、そう」
「あっちのエルフってレイシストだったけど、こっちは違うみたい」
取敢えず宿をキープして情報を集めてみる事にした。
宿のエルフのオバチャンが言うには、この国も昔は排他的な風潮があったらしい。
最近になって魔族の王子が広めた、音楽や踊りが若い娘達に人気になって、
王子の下で働いている娘達が続出したという。
それ以来エルフの国ファナードは、魔族の国ハユバムと交流を始めたと語った。
「へー。やっぱり、あの娘達ってエルフだったんだ」
「ニホバルさんって、働き者なのであります」
「ん」
「え?シレラさん達はコンサート観た事あるんですか?」
「セスァレナの街で観たのでありますよ」
シレラ達はエルフの国を散策してみる事にした。
どのみち馬車で通れる道は無いのだから。
どの家も大樹に寄生するような形で造られている。
あちこちに張り巡っている太過ぎる枝が、道になっていて人々が行き交っていた。
結構上下水道も普及しているという、生活排水はそのまま世界樹の肥料になるしい。
凄い大樹になると、幹の直径は数kmにも及ぶ木々が聳え立っている。
世界樹の森の都は複雑で、立体的な都市になっている様子。
世界樹の葉の隙間から降り注ぐ木漏れ日が良い雰囲気だ。
一口に森の民と言い切るには、難しそうに思えた。
単に森の民と言えば、ジャングルで暮らしてそうなイメージが付き纏う。
世界樹の都市は、ジャングルのイメージとは違いすぎる。
「雰囲気は良いけど、毎日が昇り降りの生活って考え物かな」
「自然と体が鍛えられそう」
「高い場所に暮らしてる人は、どうするんでしょうね」
見回すと、エレベーターを使っているのが見える。
エレベーターはゴーレムが動力源のようだ。
「へー。エレベーターで天辺まで行くと何が見えるんでしょうね」
「面白そうであります」
「行ってみようか」
エレベーターは天辺の終着地まで、かなりの時間がかかった。
それぐらい樹が巨大な証拠でもある。
太い樹の枝の股に水が溜まって、直径数十mの泉になっているのが見える。
向こうには祈祷所があり、休憩所と食堂を兼ねた売店がある。
「キレイでありますー」
「あそこに説明看板が建ってる」
説明看板を読むと、この泉には女神様がいるらしい。
『森の女神ニュンペーのアルセイスの泉』
守護している樹木と共に生き、
大樹が枯れると女神もに死んでしまうと言われているとか。
庭園や牧場に花を咲かせ、家畜を見張り、狩りの獲物を提供し、
守護する泉の水を飲む者に予言の力を授けたり、病を治すなど、
ニュンペーのおられる泉には、人々の感謝の供物が捧げらる。
「ほー、この地にも女神様が居られるんですね」
ピルアーナが感心している。
「アルセイス様にお参りの方ですか?」
神官らしき姿をしたエルフの女性が尋ねてきた。
「え? そう、そうなんですよ」
嬉しそうな顔でコクコクと首を振りピルアーナが答えた。
彼女は森の女神ニュンペーのアルセイスの神官であり、泉の管理者でもあると言う。
「では、こちらに、アルセイス様の御前で祈祷を捧げましょう」
神官の女性に連れられて祈祷所に案内された。
石造りの小規模な礼拝所だ。
礼拝所の祭壇の向こうには、泉がよく見えるように大きな窓が開けられている。
祭壇の前では、既に何人かが礼拝を行っている。
……お参りかな?
女神様に好かれた者には、お姿を現してくれるらしい。
先に礼拝をしている人が居るから、列に並んで待たなければならない。
並びながら泉を眺めていると、泉の中央辺りが光りだした。
何の異変かと驚く神官達と参拝にいる礼拝者たち。
輝く光りの中からアルセイス様が出現した。
神官の女性エルフが歓喜の声を上げる。
「おお、アルセイス様がお姿を……、皆さん女神様から気に入られたようですね」
どうやらアルセイス様は滅多に姿を現さないようだ。
困った顔で言葉を告げるアルセイス様。
「違うのですシスエーリン。 私アルセイスが上位の神にご挨拶に参上したのです」
アルセイス様の言葉に、え?と驚く神官のシスエーリン。
アルセイス様が姿を現す事はあっても、言葉を交した事が無い、こんな事は始めてだ。
シレラ達は目線を合わせない。
またしてもオタオタキョロキョロするピルアーナ。
「え?え? 泉の女神様より偉い神様がいるんですか? 私には見えません、どこに?」
アルセイス様が拝礼の姿勢を執って嘆願をする。
「チャンディー様、どうぞ私めにお言葉を」
こっそり手を振って、シレラ達はその場を離れていった。
神の目からは真実は筒抜けらしい。
愚鈍な女神が口を滑らす前に急いでファナードを脱出しなければ。
「ああ、参拝の方々が驚いて逃げてしまったようですね」
神官のシスエーリン、いろんな意味で残念そうだ。
「チャンディー・ヴィカラーラ様……、私に何か落ち度があったのでしょうか」
チャンディーから言葉を貰えなかったアルセイスは、悲しげに泉に消えて行く。
https://www.youtube.com/watch?v=IGQRkyUD-fo
聖なる泉 ザ・ピーナッツ




