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112「王都帰還」

「ニホバル殿、あちらはどうでしたか?」


「悪いけど、それは言えないんだ」


さっそくナサラトット氏が聞いてくる。

気持ちは解らない訳じゃないけど、秘密を明かさないという約束がある。

だから言うに言えない、言う事は出来ない。

ナサラトット氏は残念そうな顔をしているけど諦めてもらうしかない。


チャンディー様からのお土産は、小さな赤い宝石の付いた指輪だった。

青みがかった小石に何やら模様が描かれているタリズマン。

青緑色の勾玉と三種の神のアイテムまで揃ったか。

どういう物か想像付くけど。


公演の都合上、タリズマンのお世話にはなるけど、

あとの二つは大事に保管しておかなきゃ。


タマキ様の世界には招かれなかった。

誰だって散らかった部屋に、人を呼びたいと思わないだろう。

理由はそれと同じだと言う。


……世界が散らかっているのか。



セスァレナの街の祭りも公演も終わった事だし、

この世界も少しだけ冒険が出来た。

シレラ・ミモ・タリマ達は、風の噂に聞く賢者を探す旅に出るそうだ。


そろそろ元の世界へ帰らないと、仕事が溜まってそうだな。

そういう事でニホバル達はザウィハーへ帰る事にした。


「師匠~ぜひ私達も……」


こうなるだろうと思ったから、最初から連れて行くつもりは無かったんだよ。

無情かも知れないけど、彼らは彼等の世界で暮らして欲しい。

だから、彼らは絶対にポータルを潜らせない。


「ニホバル様、彼等をこの世界の広報員にしてみては?」


ツェベリが良いアイデアを出してきた。

また神殿がオファーを出した時、こちらに伝える人がいれば、オファーを受けられるかもしれない。


しかし、彼等を雇うとなると、給料の問題があると思うんだよね。

元の世界の通貨は、この世界では使えない。

彼等がこの世界にいる限り、こちらの世界の通貨で給料を出さなくちゃならないだろうな。

それをするには無理がある、かといって彼等をハユバムで雇う訳にもいかないし。


両方を両立するには、彼等が神殿の神官に雇われればベターかな。

彼らはそれに納得するかな? 神官も彼等を雇うかな?


「確かに難しいですね」


「私が引き受けましょうか?」


大人なナサラトット氏が言う。


ジロクアント王国に連れて行って、研究所で何かしらの仕事に就けさせれば……

ケワレグたちの意見はどうなんだろう?

ポトラとベセアは研究員に押せそうだけど。


「ケワレグ、ポトラ、ベセアは冒険者として、ニホバル様達の力に憧れているのでは?」


キスナエレアが分析する。

ケワレグ、ポトラ、ベセアが頷いている。


ニホバル達は便宜上、冒険者の格好をしているけど、正体は冒険者ではないし、

こちらの世界の者でも無い、一仕事終って元の世界に帰らなければならない。

やはり彼等とニホバル達では、立場が違うのだと納得してもらうしか無さそうだ。


「解りました、ニホバル王子様」ケワレグが納得してくれた。


「もし、またこちらの世界に御出でになった時には、私達も力にならせてください」ポトラが言う。


「ニホバル王子様たちの秘密は守ります」ベセアが宣言した。


異世界間に係わる事情もあるから、事は簡単に運べない。

そういう事情を彼らは汲んでくれた。



「じゃあ、納得してくれたようなので、皆さんお元気で。馬車は差し上げますので」


ニホバル達一行はポータルを潜り元の世界へ戻って行った。



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「あ、お帰りなさいませ」


真っ先に事務所のナーユゼが出迎えてくれた。


こちらの方は問題らしい問題は起きていないとの事だった。

帰還の報告を父上、母上様にもしなくちゃな。


「兄ちゃん、ルリアは母様に報告に行ってきますー」


「こらこら、ルリア口調が直ってないぞ」







父王ロンオロスとアビスナ王太后は、ルリア姫から異世界での出来事を聞いていた。


酷い政治と治安で国から逃げ出して、流浪の難民になった魔族たち。

彼等はミモたちの尽力で信仰都市に迎え入れてもらい、街の住人になれた事。

そんな魔族たちの姿を見て話して接して、王様はどうあれば良いのか考えさせられた話。


冒険者の経験をした話。

信仰都市でのコンサートの成功の話。

女神様たちに会った話。

世界の真実の一つを聞いた話。

ルリアは悲しんだり、憂いたり、喜んだり、驚いたり色々経験をして来た事を話した。


「ルリアは経験を通して、精神的にも成長して来たのですね」


「ルリアは精神的に逞しくなったのだな。余は嬉しいぞ」


「どれもこれも、兄上様のお陰です」


「ニホバルも国を支えてくれたなら、安泰しそうだな」

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