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107「明かされる過去」

ポリュヒュムニア様のGodジョークによる、マインドブローは強烈だ。

さすが人智を超えた神の攻撃は絶大だぜ。


「あのー、タマキ様とスズヒコ様は、どういう世界にお住まいで?」


ルリアが興味深げに二人に質問を始めた。


「うむ、私共は新たに創った世界に移住しておったのだ」


「その世界の名前はまだ有りませんが、スズヒコはその世界で付喪神になりました」


宮司のタマキと巫女長のスズヒコが答える。


……新たに創った世界? この方達は世界創造まで出来るのか!


「移住前には何処にお住まいだったんでしょう?」


「地球の日本である」


……ああ、姿形から察してそうじゃないかと思った。


「ニホバル殿、お主は日本からの転生者であるな」


タマキの一言で場が凍りついた。



「兄上様が神様の世界から来た人だなんて」


ルリアの口調が元に戻っている。


「それがニホバルの天才性の秘密だったんですか」


ツェベリの口調の少しおかしい。


「それがニホバル殿の魔術の秘密、いや真実だったのですか」


理解していないが、ナサラトット氏は合点がいった様子。


「あの…。皆さん口調が高貴な人のような」


ポトラが困惑する。


キスナエレア、ビエル、ケワレグ、ベセア達には言葉が無い。


「皆、案ずるでない。人は皆、輪廻転生でこの世に、産まれ出でておるのだぞ」


何でもない事のようにタマキ様が言う。


「正確にはニホバル様は神様の世界の者ではありませんよ」


スズヒコがフォローを入れる。


「神様の世界の者ではないと言うのは?」


混乱しながらもルリアが訪ねてみた。


「ニホバル様の前世は、地球の日本という国に生きていたという事です」


スズヒコが答える。


「では、私達も転生していると?」


キスナエレアがやっと口を開く。


「勿論そうじゃよ。大概はその世界で重力に引かれ、世界と混じり合い、還元し転生をしておる」


微妙に論点がずれるが、タマキ様は輪廻転生の理をさも当然と答える。


「あの…皆さん、この世界の者じゃないと言っている様な」


恐々とベセアが言う。


「そうじゃ、ニホバル殿達は別の世界から界渡りをして、此方にやって来た者達じゃ」


彼等の雰囲気が自分達と違う事に気が付いていたけど、確信出来なかった。

それが今『別の世界』と聞いて思いが至ったケワレグ達。

ケワレグ、ポトラ、ベセアは電光石火の動きで椅子から立ち上がり騎士風の礼をとった。


「そうとは知らず、我等ニホバル殿に無礼な振る舞いを…」


「口調から察して、ニホバル様方は貴族様なのでは?」


……タマキ様は場の空気を読まないで、爆弾発言の連発だなぁ。


ポリュヒュムニア様の方が、よほど配慮してたのが解るくらいに。

しょうがないから、この際ケワレグ、ポトラ、ベセアに正体を明かしておくか。


魔族の国ハユバムの第一王子ニホバル。

ニホバル付きの戦闘侍女ツェベリ、戦闘侍女隊隊長。

魔族の国ハユバムの第三王姫ルリア。

ルリア付きの戦闘侍女キスナエレア。

ジロクアント王国の魔道研究所長ナサラトット。

ニホバル一行お目付け役の人化ドラゴンのビエル。


「き、貴族どころか、王族様でしたか…」


青褪める三人。


そこまで引かれると、これからやり難いんだよね。

もっとも王族と言っても、こちらの世界じゃ意味が無いし。


それにしても、酒場に人がいなくて良かったよ。

いるのは宿屋のオヤジ一人、話の意味は解らなくても、

皆が驚いているから、一緒になって驚いているって感じ。


皆等しくメンタルにGodブローの連打を浴びた感じになった。


「あの……ニホバル王子様、それほど身分の高いお方と存ぜずに」


宿のオヤジの態度が変わった。


「ああ、もうそういうのは良いから」


「宜しければ、今後も私共の『槍の穂先亭』をどうぞご贔屓に」


「はいはい、秘密の共有者として懇意にさせてもらいますよ」


この世界、この街にいる限りは。


剣士のケワレグ、女の魔術師ポトラ、女の治療術士ベセア達は

相変わらず金魚の糞を続ける様子だけど。

ポトラとベセアが魔術に興味が有りそうだ。



「して、ニホバル殿、私共は何処で舞えば良いのかの?」


「あのー。タマキ様達はどういうダンスをされるので?」


神に対して不敬にならないように恐々ルリアが質問をする。


「うむ。そうよの、先ずはそなた方に私共の舞を披露して進ぜよう」


タマキは意外にも軽く了承してくれた。

直後、右側にポータルが開き、スズヒコの呼びかけで中から五人の巫女さん達がやって来た。


「これが界渡り…」


ベセアが驚きで目を見開いている。


宿の酒場の舞台で、六人の巫女さん達の神楽舞が始まった。


「なかなか幽玄な巫女舞だ」


雅楽も何処からか聞こえてくる。


……つくづく思うけど、神の力ってスゲー。


絶対に逆らっちゃいけない連中だ。


「何となく解るけど、これは確かにニホバルの世界のダンスだ」


混乱しながらツェベリの理解が行ったようだ。


「巫女というのは、神官の事だった様ですね」


呆然とキスナエレアが言う。


確かに神様に奉納する踊りが、巫女舞だから間違ってはいないな。

しかし、肝心のシレラさん達がこの街に帰って来るまでは、コンサートは開けない。

それまではタマキ様達には自由にしていて貰うしか無いな。


ん? タマキ様は神様のはず、何故に神に仕える宮司をしてるんだ?

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