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閑話:チャンディー ヴィカラーラの憂鬱

神代の昔、人々、亜人種、魔族達それぞれを統治する神がいた時代があった。

魔族を統治するアスラ神族。

人族を統治する天人神族。

亜人種を統治する獣神族。

当時はそれぞれの領分を守り、共存をしていた。

やがて時は流れ、統治は神々から現地の住人へ移り、代表者たる王が臣民の統治者になる。


      挿絵(By みてみん)


何時の頃から人々がそう言い出したのか不明だが、

チャンディー・ヴィカラーラという女神の本質は、大いなる大地の母神にして、

遍く衆生を救うために多くの手を持っている訳じゃないし、優しいだけの女神じゃない。


神代の昔ディーヴァ神族と、アスラ神族との間で大きな戦争があった。

劣勢だったディーヴァ神族の神々の祈りで、願いの光が集まり、1柱の神が誕生した。

三面十臂の異形の女神。それぞれの手に各種神々の武器を持って縦横無尽の戦いを展開する。

その女神こそが、アスラ神族を1柱で討ち滅ぼした戦女神ドゥルガー。

別名をチャンディーとも称する。


彼女にはアテナやアルテミスのように軍の先陣を切って軍団を鼓舞し、勝利に導くような気高さは無い。

破壊神シヴァをも上回る戦闘力を抑えられる神はいない。

冥界の主、閻魔大王(夜摩天)ですらチャンディーの足元に屈した事がある。




神々が多く存在し、人々を統治していた時代が過ぎ去った今の時代、神々は一体何処へ行ったのか。

答えは既に出ている。

地球が神々の手を離れ、自立したなら、次の世界を創りに出て行った。

吾が子を成長させるように、神々がそれぞれが自分の世界を創り、再び自分の世界を統治する。


戦争の無い時代に戦神は何をしているだろう?

悪魔じゃないから、わざわざ人の世界に戦争を起こそうという気にはなれない。

むしろ調和の世界を破壊しようとする者と戦う立場の女神だ。

アスラ神族を殲滅した以来、既に魔族に神はいない。


不可能の無い全能の者にとって、世界は取るに足りない物だった。

不可能、力不足、未熟であるが故に成長というマージンがある。

全知全能と言うのは、成長出来る先の無い到達者の事でもあるようだ。




神界でチャンディー・ヴィカラーラは退屈しきっていた。


「あ~あ。暇! 何か楽しき事は無いかなぁ」


統治と言う仕事が現地人に移行して以来、神々の仕事は無いに等しい。

かと言って、強力過ぎる神が人の中に居るには無理が有り過ぎる。

平々凡々に人々から崇め奉られているだけと言うのも戦女神には退屈すぎる。

それどころか、毎日何十万ともいえる人々の願いを聞き続けるのも苦痛になって来る。


人々に恵みのエネルギーを届けるために、ダンジョンシステムを考え出した。

不埒な冒険者の命をエネルギーに変えて、安寧の為の恵みのエネルギーに変える。

このシステムのお陰で神殿で人々の願いを聞き続ける仕事から解放された。

しかし開放されたは良いけど、余裕が出来すぎて暇が出来てしまった。


【小人閑居して不善を為す】という諺が有るが、それは神々にしても同じだった。

我世の春を謳歌していたオリンポスの神々はどうだったか?そんなものである。

他の神々はどうしているのか此処では取り上げないが、もっと解り易く言うならば、

RPGをクリアーし終わった者が自分的に難易度を上げ、縛りプレイに挑むのに似ているかもしれない。



従者の虎神獣ドゥンがチャンディー・ヴィカラーラ様にアイデアを注進してみた。

虎神獣ドゥンは大型の虎より二倍ほど体が大きい。

昔はチャンディー・ヴィカラーラ様を背に乗せて各地を走り回った時期がある。

今では従者という立場を得てから、乗り物役を退き、執事を務めるようにしている。


「チャンディー様、今世は人が統治する時代であります。人の中で遊ばれたら如何なものかと」


「あ、それ良いね。でも神が人の世界で遊び廻るのは考え物じゃない?」


女神が放浪したり、買い食いしたり、問題起こすなんて示しが付かない。


「ならば、力を封印するとか、御身を分けて一度に何人分かの人生を楽しむとか」


我が身を分けるねぇ。


例えば、

主人格で一人。

副人格で能力担当を一人。

副人格で体担当を一人。

記憶を封印しておけば、人として同じ目線で交流する事が出来るかも。


「そうなったら、自分が何者なのか、自分探しの旅しちゃったりしてね、キャハハハ」


何か危険があった場合、ドゥンが助けに来てくれるかな。


「何を仰りますか、冥府の夜摩天(閻魔大王)すら足元に平伏す貴女様が」


「あいつ、私から逃げ回って会ってくれないんだよね」



この時点では出されたアイデアに思い付きを話してみただけだった。

何気ない日常の会話の一つ程度のもの。


退屈はやがて思い付きのアイデアを浮上させ、実行に移るに十分だった。

女神の計画に虎神獣ドゥンは静かに見守るのみに徹するだけだ。


記憶の宝珠を守護に最強のダンマスを任命し、

己の身を三つに分け、それぞれの親の元で産まれ、人族・魔族として人生が始まる。

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