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なにもかんがえずよみましょう。

神龍暦702年 紅月 15日

団名 地龍の咆哮

主記入者 タウロ 鋼級

今日はボブゴブリンの巣を殲滅しに行った。

新人のマルクが1人で突っ走るから前衛の意識が全部あいつに向くことになり、後衛の俺たちしか動けてなかった気がする。まあ、オルクス団長の拳を貰ったのか帰り際にでっかいタンコブを頭にくっつけてたから良しとしよう。皆死なずに済んで良かった。

それよりもゴブリン達だ。いつの間にあんな巣をつくったのだろうか。街道の近く、しかも普段新人冒険者を連れて薬草をよく取りに行く人の目が行き渡っているはずの場所なのに。あそこは安全だという先入観(?)が皆の目を眩ませていたのかもしれない。

ともあれ、団長曰く汚物は消毒を完遂出来たことでまた街の安全に貢献出来たかなと思う。明日は休養日だ。しっかり休みたい。


自由記入欄

記入者 マルク 石級

(字が雑で読みにくい)たうろさんそしてだんのみな、すみませんでした。ぜんせんのほうがい?がおきるととてもきけんなことをまなびました。 いちれつにならぶさくせんのいみがわかたきがします。


記入者 オルクス 金級

タウロば周りをよく見ている。この調子なら鋼級から銀級への昇格も近いだろう。皆も周囲への気配りを忘れずに。

そしてマルク、早く字を覚えろ。お前の記入は非常に読みにくい。あと、ほうがいじゃなくて崩壊だ。わかたってなんだ。味噌スープに入ってる具か。


↑それワカメっすわwww

(誰かの落書きだ。字的にお調子者ハンスだろう。)





この街の冒険者ギルドは他とは一風変わっている。

まず、冒険者の練度が粒ぞろいである。

上下関係もあまり厳しくないのに皆上の者の言うことをよく聞く。

何より識字率が非常に高いのだ。

当たり前のように思うかもしれないが、これは荒くれ者の溜まり場である冒険者ギルドにおいては異常なのである。


通常、冒険者ギルドが依頼を貼り出す依頼表はタイトルとランク、そして報酬しか書かれていない。受付嬢に依頼表を持っていき、その内容を耳から入れるのだ。だから、皆自分のランク帯で報酬の数字が大きい依頼表を奪い合うように剥ぎ取っては競うようにお気に入りの受付嬢の所へ駆け、順番で喧嘩する。ようやく内容を聞けたら、それはあんまり良くないものだった、あちゃー 的なことが普通なのだ。

しかし、この街の依頼表は異常に大きい。タイトル、報酬、ランクの他に、場所や依頼の詳細、更に注意事項までが事細かに記載されている。


さらに、様々な情報が掲示板に貼り出されてある。これも、絵ばかりのものではなく沢山字が書いてある一般的な冒険者では見向きもされないものだ。

依頼表が貼り出される前に、多くのものが掲示板の前で立ち止まっては内容を確認する光景は王都ギルド監査官がショックで寝込むほどである。


何より特徴的なのが日記の記入が義務付けられていることだろう。各団1名当番のものが主記入者としてその日のことを記入し、提出する。日記番の許可が降りたら達成完遂の証書とともに報酬がわたされる。不達成の場合も日記の記入が確認できるまで次の依頼は受け付けてもらえないのだ。

その日記は受付カウンター横の巨大な本棚に保管されてあり、日記番の貸出許可を得れば誰でも自由に読んだり書き込んだりできる。冒険者ギルドに隣接する酒場で新人がその日の日記を大声で読まされるのも見慣れた光景だ。


当然、こんな制度がはじめから受け入れられていたわけが無い。字を知らない者達からすれば全く得することがないどころか大きな負担である。では、どのようにしてこんな驚天動地な制度がこの街で浸透していったのだろうか。



…冒険者の地位向上を目指していた若いギルドマスター、現日記番ハルが貴族相手にブチ切れて議会で大見得切ったことがきっかけだとはほとんどのものが知らないだろう。

この物語は己の発言から冒険者に日記を書かせることになったある意味自業自得な哀れ者、ハルの奮闘記である。

続きを書いてくれませんか笑

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