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コンビ二家族とAIの妖精  作者: 坂崎文明
コンビニ家族編
8/25

商品企画会議

「それでは第一回、商品企画会議を開催します!」


 村上春樹はやる気満々で高らかに宣言した。


「ガンるぞー!」


 と絆も小さく手を上げた。


「・・・・・・」


 だが、ベトナム人バイトリーダーの(グエン)・ザップさんの表情は冴えない。

 たぶん、時給問題がくすぶってると思われた。

 東京辺りにいけば、外国人と言えども950~1350円ぐらいの時給はもらえるが、村上一家のコンビニは困窮していたため、時給800円で雇用していた。

 島根県の最低賃金は764円なのでぎりぎりセーフだったのだが、今や日本のベトナム人は24万人にもなり、中国人を抜いてその数はトップレベルになっている。

 国際問題にならなければいいがと、いつも母親の村上妙子などは心配していた。


「じゃあ。私から提案しますね。商品企画会議ですが、今回はべトナム人バイトさんの時給を上げたいと思ってます」


「じぇじぇじぇじぇ――」


 (グエン)さんが何故か某朝ドラのヒロインのような叫び声を上げた。


「時給950円に値上げします! 今まで頑張ってくれてありがとう! (グエン)さん!」


 妙子の言葉に、(グエン)さんの目から大量の涙が流れ落ちていった。


「――ワタシ、ウレシイデス。オカアサン、ダイスキデス!」


 (グエン)さんが妙子に抱きついた。

 春樹は気が気でないが、絆が手で制した。

 この高時給戦略は、当然、AIの妖精ルナの指示である。

 村上家のコンビ二の利益率が改善してきたので、慢性的人手不足を解消するための思い切った施策であった。


 ベトナムではコンビ二時給は100円ぐらいで、(グエン)さんは留学生できてコンビニバイトで稼いで家に仕送りしていた。

 留学生のブローカーの渡航費は100万は超えるので、日本での生活は決して楽なものではなかった。

 村上家のコンビ二では、さらに月数万の住居費を補助してコンビニバイトを確保していた。


「良かったね。(グエン)さん」


 絆は心からそう思った。

 その後、商品企画会議は順調に進み、更なる商品アイテムの入替えが提案された。


 全てAIの妖精ルナのお陰であるが、そのコンビ二家族の救世主に全国屈指のSV(スーパーバイザー)の魔の手が迫りつつあった。


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