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初作品です!作品と呼べるか怪しいですが是非見守ってください…
日が暮れてきた。
「早くしないとまた仕事が増えるわ…」
最近の口癖になりつつある独り言が今日も、というかさっきも口から出た気がする。
森の中なので聞かれてはいないだろうが、一人だと思って油断していたら後ろにいたお師匠様にこっ酷く怒られ、そして仕事も増えたこともあり痛い目にあったので、反省はしているがどうも出てしまうものは出てしまうのだ。
お師匠様に言われてた薬草も採取し終わり、しゃがみ続けて凝り固まった腰をほぐしつつ、急ぎ足で帰って難癖付けられないように頑張ろう。
「遅い!待ち草臥れたよ!ロザリー!どうしてアンタはそんなに遅いのさね!」
ソファにもたれ私が朝焼いたクッキーを食べながら怒る、この人こそ私のお師匠様である。あぁ…私のクッキーが…
噂では齢が50を超えているらしいが、衰えを感じさせない迫力と美しさがあり、甘いものに弱い。とことん弱い。
「申し訳ありません、なかなか見つからなくて…数を揃えるのに時間がかかってしまいました」
「そうさね、罰としてこのクッキーは貰ったよ!」
食べたかっただけなんだろうなぁ、と思いつつ今日採取した薬草の処理を始める。
葉や実だけのものや、根のついたままのものもあるので、とりあえず採取したものが間違っていないか確認しながら洗う。
一見雑草にしか見えないものもあるが、立派な薬に変身するから教えてもらったときは心底驚いた。
ここは魔女様の家と呼ばれている、森の中にある木造の小さな家。
魔術師であり薬師であるお師匠様は、近くの村の人から魔女様と呼ばれていて、本人も気に入っているらしい。
じゃあお師匠様は怠惰の魔女ですね!なんて言ったら追い出されそうなので心の内に仕舞っておく。
私、ロザリーは去年に魔女様の家に転がり込んだ、いわゆる魔女様の弟子である。
薬師に憧れて、魔女様に頭を下げまくって料理の腕で許しを貰った。
曰くお師匠様は料理が人並みより少しだけ劣るらしく、料理には苦手意識があるようだ。
薬師を目指すにつれて魔法もできて損はない、と言われ魔法学と薬学を同時進行で教えてもらっている。
っと危ない危ない…処理に集中しないと薬草がダメになっちゃう。
今日採ってきたものは火傷用と切り傷用の軟膏に変身し、村に持っていくのでまあまあな量になっている。最近薬草の擦りすぎで腕が痛い。
晩ご飯が遅くならないよう急いで軟膏を詰めてお師匠様に晩ご飯のリクエストを聞きに行った。