どんぶらこ
どんぶらこ僕は舟を漕ぐ
海の向こうにあるという
風の始まる場所へ行く
どんぶらこ僕は海を行く
海とは名ばかり波のない
果てなく続く湖のよう
波のない海などあるはずがないので
これはきっと夢なのだろうと分かってはいたが
それでも構わないと思った
どんぶらこ夜は小宇宙
水面と空に月ふたつ
昼とは異なる風が吹く
どんぶらこ果ては大宇宙
そこにあるのは月ひとつ
僕に見えるのはそれぐらい
僕に分かるのはそれぐらい
どんぶらこ僕は舟を漕ぐ
僕の知らない世界まで
太陽の昇るところまで
どんぶらこ今日も舟を漕ぐ
覚めない夢が覚めた後
僕はまだずっと舟を漕ぐ
僕はまだずっと夢の中
なんだこれ