第7話 怒らないから言ってごらんは大体怒られる
エルフィーナは召喚したって言ってたよな?
異世界に行けるって聞いて死んでいてくれとは思ってたけど死にかけた経験は全部回避してしまったから召喚をしたんだよな?召喚なら生身の俺を呼び出してるわけだし俺はまだ死んでないんじゃないのか?
なぜ死んでもいないのに転生しないといけないのか分からない俺。
当然ながら俺は疑問をぶつける。
「いや、俺って召喚されたんだろ?まぁ、中途半端なところに召喚されたみたいだし、俺の運命力が手繰り寄せたのは死んで転生の未来だったのかもしれないけどそれは全部回避できたんだろ?だからここまで引きずってこられたわけだし…」
「そ、それは…確かに事故とかは回避したけど…」
痛いところをつかれたのか言葉に詰まるエルフィーナ。
やっぱり俺まだ生きていたのか。
なら転生はやっぱりおかしいよな、死んで魂だけって言うなら転生しかないだろうけど…。
というか転生にしたら折角の異世界なのに冒険するまでにめちゃくちゃ時間がかかるじゃないか!
その点、異世界転移なら肉体はこのままにチートを身につけてるわけだからすぐにだって冒険することができる!
気付いてしまうとなおさら転生を選ぶ気はしないのだが…。
「で、でもダメよ!あなたは転生するの!」
やけに転生にこだわるエルフィーナ。
なんでそんなに転生にこだわるのか全く分からん…。
なぜだろう…なぜだか無性に彼女を怪しく感じる…。
ちょっと強気に出てみるか…。
「いや、生身があるのに転生はおかしいだろ?とにかく俺は異世界転移がいいんだが?早く冒険してみたいし転移でいいって言うまで俺は行かんぞ!」
俺の強気な発言に見るからに焦り始める彼女。
やっぱりなんか怪しい。
まだなんか隠してることがあるんじゃないだろうな?
「わ、わがままばっかり言わないで!とにかく転生!転生以外は認めないわよ!?」
やはり転生にこだわる彼女。
間違いない。こいつ、絶対にまだ隠してることがある…!絶対に吐かせてやる!
「じゃあ行かない。元の世界だって運命力のことも教えてもらったし帰ろうと思えば帰れる気がするんだよなー?だって俺規格外らしいしー?」
「ダメよ!そんなこと!?」
実際帰りたいと言っただけで帰れる未来が手繰り寄せられるのかは分からないが、幸いにも運命力が桁違いだから俺はここにいる。
だから彼女だってもしかしてと疑い動揺してるのだ。
そこに少しでも疑いの気持ちさえ持ってくれればあとは簡単だ。
あとはこちらから優しく歩み寄るだけ…!
「エルフィーナさ、なんかまだ俺に隠してることあるじゃない?怒らないから言ってごらん?」
「それは…うぅ…ほんとに怒らない…?」
「うん、怒らないから言ってごらん?」
見たか!これぞ伝家の宝刀!!【怒らないから言ってごらん】!!
彼女が何かをまだ隠していることは想像がつく。
これが並みの運命力だったならエルフィーナの言うことを聞く以外道はなかったであろう。
だが俺は運命力170000の桁違い!
もしかしたら本当に帰っちゃうかもという彼女の疑心が俺をリードさせる!
そしてどうしようと焦る彼女に【怒らないから】という免罪符を用意することで隠してることを引き出すという未来を手繰り寄せたのだ!
「えっとね…実は…」
こうして聞き出すことに成功した隠し事は俺を怒らせるに相応しい内容だった…。
知ってるか?怒らないからというが実際に怒らないことなんてないんだぜ?つまり…。
「ふざけんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁー!!!!!」
本日4度目の雄叫びをあげることになった。
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「つまり俺は完全にお前の尻拭いをさせられるってことだよな!?」
エルフィーナから引き出した隠し事は要約するとこういうことだった。
・さっき何故か運命力の高い人がいないって言ったけど実は私が目を離してる隙に邪神にに盗られちゃったよ
・全部俺の運命力が導いたみたいな言い方をしたけど
半分くらいは偶然結びついただけでだけど丁度いいからそのまま通そうとしてたよ
・盗られちゃったことを創造神様に報告するとキツイ罰が待ってるからバレないうちになんとかしないきゃと思って見つけたのがあなただったよ
・でも地球から私の管理世界に転移させてしまうと創造神様の耳に情報がいっちゃうから殺して魂の転生先として私の管理世界に送るつもりだったよ
・何回殺して魂にしようとしても桁違いの運命力で回避するから直接こっちに引っ張ってきたよ
そして…
・神界に転移=魂の移動だから既に地球ではあなたの存在は消えてしまっているよ
「なんでだよ!?」
隠していたことが全部大事なことばかりで頭が痛い。
特に最後の!確かに未練はないとか言ったけど!
まさか死んでいるどころか消えているとは思わなかった…。
「なによ!怒らないって言ったじゃない!」
反省してる率0%な態度で文句を言ってくるエルフィーナ。こいつは…本当に…ッッッ!!!
「大体お前が地球を覗いた時点でその創造神様とやらにバレてるだろ!それに地球から無理矢理呼び出すとかやってること邪神と変わらないからな!?あと神様が干渉して地球になんかあったらどうすんだよ!!」
やることなすこと全部が無茶苦茶すぎる…!
理不尽な塊みたいなエルフィーナに俺は文句を一気にぶつける。
「ふんっ!地球だって私の管理世界よ!私が報告しなきゃ創造神様にそれが伝わることはないわ!!それに私が干渉したってあんたが居たんだからそれくらいはなんの問題もないわよ!ていうか誰が邪神と一緒よ!天罰与えるわよ!?」
こいつが地球の管理神…地球よ…強く生きてくれ…。
怒りを通り越してもはや地球への同情しか浮かばない俺。
しかしこいつマジで反省してないな…!
絶対に泣かせてやる!
新たな決意を胸に俺は彼女と口論を続けるのだった。
おかしい…予想では5話には異世界についてるはずだったのに!
異世界に行けるのは9話あたりになりそうです…




