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第2話 2度あることは3度どころか4度、5度ある

2ページ書くだけでここまで疲れるとは…。

皆さんに楽しんでいただけるよう頑張ります!


2019.11.5 改稿

「にしても寒いな…もっと厚着してくるべきだったか?」


買ったばかりの本と記念品をコートの左ポケットへと突っ込み両手をズボンのポケットで温めながら俺は呟く。

顔にあたる街風が痛みとなって今の季節を感じさせる。

時間を確認してみれば今は19時を少し超えたというところ。

夏場ならばともかく冬のこの時間は既に日も完全に落ちており街灯以外に俺が歩く道を照らすものはない。

明るい時間ならば遊んでいる子供達も自宅へ帰り人の気配がしない閑散とした住宅街を白い息を吐きながら俺は歩く。

今通っている道は普段ならあまり通らない道だ。

これが女性の一人歩きとかならばもっと大通りを使うべきなのだろうがあいにくと俺は男。

ラノベの続巻が楽しみだからという理由で多少人気が少なかろうとも近道を選んだのである。

人の気配がしない住宅街は俺に多少の不気味さを感じさせそのせいか余計に風が冷たく感じてしまう。

俺はその冷たさから逃げるかのように歩きを早めていった。


「ん?」


ふと空を見上げると白い花びらのようなものが宙を舞っていることに俺は気付く。


「あ…雪だ。」


花びらのようにみえたものは雪だった。

道をほんのりと照らす街灯、その光が雪に反射してなんとも言えない幻想的な雰囲気を醸し出す。

雪というは不思議なものだ。

どれだけ達観したつもりでいても何故か心は童心にかえってしまう。


「積もるといいな。」


俺は柄にもなくそんなことを思うのだった。


☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆

なんて思ってた時が俺にもありました。


「積もるといいなとは言ったけどさ!だからってこんな急に吹雪くか!?ここ南極じゃないよ!?」


既に風景は幻想的を超えて殺伐に変わっている。

街灯と雪の幻想的な雰囲気を見ながら歩いてたそのすぐあと雪は急に勢いを増し吹雪といっても過言ではないほどに強くなっていた。

凄い勢いで積もる雪、前も後ろも右も左も全部雪。


「俺は早く帰りたいのに…。」


少し陰鬱な気分になりながら雪の中を俺は歩いて行く。


「うおっ!?」


そんな気分に意識が散漫していたからか雪に足を取られてか俺は転んでしまった。

しかもかなりの勢いで尻を打った…超いてぇ……。

転んでしまった恥ずかしさからか尻を打った痛みからすこし泣きそうな気持ちで立ち上がろうする…その時だった。



キキィィィィ キュルルル ガッシャーーーーンッ!!



目の前をトラックが横切り目の前の電柱へぶつかった。

超重量が生み出した破壊力にぶつかった電柱はぐらりと傾き、トラックの方も電柱をかたどるようにして円形の陥没がフロントに作られている。

一歩間違えばひき肉になるのは必然だっただろう。

実際には数秒程度のことだったのだろうが俺は突然のことすぎて時が止まったかのようにその意識をフリーズさせていた。


「……は?……え?今…トラック……少しズレてたら……俺……死んで……た?」


目の前の光景が信じられないという気持ちの方が強かったが現に起きている以上信じないわけにはいかない。

でも、もしここで自分が転んでいなかったら間違いなくトラックと電柱に挟まれて潰されていたという事実が脳の働きを阻害する。


「……うぅ……ゥゥ…」


どこからか呻き声のようなものが聞こえた。

そこで俺はようやく意識を正常に機能させる。


「やばい!運転手さん大丈夫ですか!?今すぐ救急車呼びますから!しっかりしてください!」


トラックの運転手は頭部から血を流していた。

俺は急いで病院へと連絡を入れる。

それから十数分後、駆けつけた救命員によって運転手は救助された。

救命員の話では血を流してはいたものの命に別状があるわけではないらしく事故の規模から考えれば誰一人死者が出なかった運のいい結果となった。

その後俺は一緒に来ていた警察の人に事故当初の話を聞かれたわけだが話すことなど目の前にトラックが突っ込んできた以外話せることなどないわけで…。

特になんの不都合もなくすぐさま俺は解放された。

未だ信じられないといった気持ちが強いが俺は所謂、九死に一生を得たんだと思う。


「車が突っ込んで来て動けないまま事故に遭うってドラマやアニメだけの話じゃないんだな…あれは誰だって思考停止するわ…。」


俺は事故現場を後にし真っ直ぐ自宅へと歩き始める。

とはいえこんな経験それこそ宝くじの高額当選に当たるくらいの確率だろう。

一生に一度あるかないかくらいの出来事だ。

ポジティブに考えれば今後の人生はほぼほぼ平和といわけだしそう悪いことでもないか。



なんて思ってた時が俺にもありました。(2回目)



「どうしてこうなった!?誰か助けてくださぁぁぁぁぁぁい!!!!」


現在俺は通り魔に追いかけられていた。

なんで?って思うだろ?そんなの俺が聞きてぇよ!!

思えば事故の後も散々だった。

()()かボールを持った男の子がボールを落として信号無視して飛び出したところを助けたら

()()()ボールが地面でバウンドして俺を反発で車のエリア外に弾いて助かったり

吹雪のせいか()()か千切れた電線が首元めがけて飛んで来たのを()()()靴紐が解けた拍子にしゃがむことで避けて助かったりと漫画かよ!って突っ込みたくなるような事故に巻き込まれまくっている。

そして遂には通り魔まで…。

ふざけんな!!俺がなにをした!?

俺一人で九死に一生スペシャル作れるようなドラマティックな展開なんて求めてないんですが!!

ていうか流石に意思を持った通り魔が殺そうとしてきたら助からないんじゃないの!?運でどうにかなるのかこれ!?いやだー!死にたくない!


「うぉっ!?」


あ…転んだ。え…?俺まじでここで死ぬの…?


「待ってくれ!話し合おう!俺なんか殺したところで意味なんてないだろ!?互いに利益がないはずだ!」


死にたくない一心で必死に説得を試みる。

九死に三生くらい得てるんだよこっちは!!!


「………」


無言で近づいてくる通り魔。

通り魔の手にはサバイバルナイフのようなものが握られている。


「頼むから考え直せって!今なら俺も警察とかに言わないから!な!?そのまま逃げろって!」


我ながらすごく小物臭のするセリフだが背に腹はかえられない。

こんなところで死んでたまるかと俺は必死に命ご……説得をする。


「……」


説得が通じたのは無言のまま距離を開ける通り魔。

よし!このまま逃げてくれ!

俺は警戒しながらゆっくりと立ち上がる。

もしかして助かるかも…。

だがしかし、そんな考えはもろく崩れ去った。


「………ヒヒッ」

通り魔が笑った。

次の瞬間通り魔は走り出したのだ。

()()()()


ドスッ


俺の腹部からはサバイバルナイフが生えていた。

あぁ、ちくしょう。

なんで今日に限ってこんなに死ぬようなことばっかり起きるんだ。

誰が刺してから逃げろって言ったよ。

刺さずに逃げろよ馬鹿野郎。

理不尽さを呪うように諦めることを認めた恨みつらみが脳裏へ浮かぶ。

狂人じみた笑み見せながら通り魔は吹雪の中へと姿をくらます。

そこには既に俺1人。

空からは未だ雪が降っている。

俺は寒空の下、雪に埋もれながら腹部から滴る(したた)熱を感じなかった。


………感じなかった?


「あれ?俺刺されたよな!?」


身体に積もった雪を払いながら飛び起きるようにしてその場に身体を起こす。

俺の周囲を見渡してもそこに血液らしきものは見当たらない。

腹部を見れば間違いなくナイフは刺さっている。

そして俺はあることに気が付いた。


「…?ハ…ハッハ…ハハ!ハハハ…ハハハハッ!」


あまりの出来事に壊れたように笑い出す俺。

それもそのはず、そのナイフは()()()()()が防いでいたのだから。

寒いからと何の気なしにしまった本と記念品。

その存在がナイフの進行を止めていた。


「九死に四生を得たってことか…。」


穴の空いたコートを見ながら俺は物憂げに呟く。

運がいいのか悪いのか。

これだけの不幸に遭いながら俺はその全てで生還してみせた。


「って、そんなこと考えてる場合じゃない!早く帰ろう!頼むからもう九死系はやめろよ!?」


俺は跳ね起きると同時に雪を気にせず走り出す。

途中何度も転びそうになったが走ることはやめない。

止まってしまえばまた死ぬような出来事に巻き込まれるかもしれないと思うと止まる気にはなれなかったからだ。


☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆


「やっと…ハァ…つい…た…。」


俺は息を切らせながら膝に手をつきその足を止める。

雪の中で全力ダッシュがこんなに疲れるとは…。

四生目からここまで約15分もの間俺は全力ダッシュノンストップで走り続けていた。

俺の選択は正しかったのかその後は何に巻き込まれるわけでもなく自宅まで辿り着くことができた。

これでやっと安息が訪れる。

安全ってなんて幸せなんだ。



なんて思ってた時が俺にもありました。(3回目)



「愛しのマイホーム!ただいっ…!?」

玄関に足を踏み入れた瞬間、目の前が真っ白い光に包まれる。

突然の光に俺は混乱し慌てる。


「この光なに!?また!?またなのか!?なんなんだよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


もし俺が俳優だったなら賞は確実と自負できるほどに本気の感情で吠える俺。

光は更に強さを増していく。

そしてこれが最後だ言わんばかりに一際強く光ると真っ白な光は収まり消えた。

そう、 俺と共に。


この日、地球から 柊 智哉 という存在はいなかったことになる。

親切にしてくれた周りの人達も学校の友人も誰からの記憶からも消えてしまった。

そのことを俺が知るのは光が収まったほんの少し後の事であった。



※次回更新は不定期です。

未完のまま終わることは絶対にないので気長にお待ちください。

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