第33話 ギルドからの指名依頼
チート探求更新です!
次の話でやっと戦闘パートに移行できそうです!
目の前のギルドマスターと名乗る男、そしてその男が持つ恐らくは俺がとってきたものであろうヤスラギ草。
ふむふむ。何故だ、どうしてこうなった?
俺は今日何をしていた?
順番に整理してみよう。
朝から依頼を受けてヤスラギ草の採取に向かう
↓
ドクラセ草という罠があったがなんとかヤスラギ草の採取に成功する
↓
依頼の報告をするも結果は明日までお預けになる
↓
詐欺師から女の子を助けて一緒に食事をする
↓
ギルドマスターが出てくる←NEW
うーんダメだ、まったくわからん!
どう整理してもギルドマスターの登場というイレギュラーな事態に頭を抱えそうになる俺。
「さて、エレナ。この新人冒険者にはここに呼んだ理由を伝えてあるのか?」
「いえ、他の冒険者の方々の目もありましたので詳しい内容についてはまだお伝えしておりません。」
俺の困惑は意に介さないと言った具合に2人が会話を進める。
まぁ普通に考えれば理由なんて聞かなくても十中八九俺の取ってきたヤスラギ草が理由なんだということは分かる。
「ふむ、そうか。じゃあ後は俺の方から話しておくからエレナは通常の業務に戻ってくれ。ご苦労だった!」
「…はい、了解しました。」
ギルマスの命令ともとれる返事に少し申し訳なそうな感じで答えるエレナ。
は?ちょっと待て!それは今まで顔も知らなかったギルマスといきなり二人きりで話すってことか!?
待って!エレナさん待って!
だが俺の縋るような目線も虚しくそのまま彼女は退出してしまった。
「「………」」
ゴクリという俺の生唾を飲み込む音すら聞こえそうな静寂。
互いに無言のまま時が流れる。
き、気まずい…。
どうにも重いこの空気にじっと耐えること一分と言ったところだろうか。
周りから完全に人がいなくなるのを待っていたのかようやくギルドマスターが口を開いた。
「さて、まずはもう一度自己紹介といこうか。俺の名前はヒューズ。ヒューズ・ラグべルトだ。さっきも言った通りここ王都のギルドマスターをしている!まぁ、大概の奴が知っていることだから今更ではあるがよろしく頼む。」
い、言えねぇ…俺は知らなかったなんて言えねぇ…。
そういった俺の心の呟きは無視するとして意外にもというかフランクな挨拶に少し緊張がほぐれた俺。
どんな話があるのかは知らないが自分から心象を悪くする必要もない。
ましてや相手はギルドのお偉いさんである。
俺はしっかりと挨拶を返し、呼ばれた理由について訪ねた。
「新人冒険者のレオン・フォードベルクです。昨日冒険者ギルドの方に登録をしたばっかりなので失礼を承知で申し上げますが私がこちらに召集されるような理由が見つからないのですがどういった了見なのでしょうか?」
「ククク、ぎこちねぇ喋り方しやがって。慣れねぇ敬語なんて使うもんじゃねぇぞ?もっと楽にしろよ、その方が俺も楽だ。それにお前が昨日登録したばっかりだってのもちゃんと知ってるぜ?その上で俺はお前をここに呼んだ。その意味が分かるか?」
前半の口調とは一転、最後の一言に込められた本気の圧に冷や汗をかく俺。
そう言われても、そこまでの圧をかけられるような悪いことなんてしてないはずなんだが…。
ギルドマスターは言葉を続ける。
「俺はまどろっこしい腹の探り合いとかは面倒で嫌いなんだ。だから単刀直入に聞くぜ?お前、このヤスラギ草をどこで手に入れた?」
だがギルドマスターの問いかけはなんとも拍子抜けするものであった。
ヤスラギ草をどこで手に入れたか…?
別に正直に伝えたところでうしろめたいことなんて何もない。
俺は草原に生えていたものを摘み取ったというありのままの情報を伝えた。
「………それは本当のことか?」
しかしその返答にギルドマスターは納得がいっていないようだった。
それも納得がいっていないだけならまだしも何かを疑ってるかのような様子。
「本当のことっていうのはどういう意味ですか?」
その様子に俺は立場を忘れて少しイラつきながら怒気を孕んだ口調で問いかける。
「どういう意味かと言われてもな…。あまり気を悪くしないで欲しいが、つまりこのヤスラギ草は採取したものではなく商人などから奪いとったものではないのかってことだ。」
俺はその返答を聞いて呆気にとられてしまった。
そしてフツフツと怒りが湧いてくるのを感じる。
商人を襲った?誰が?まさかこの俺が?
「俺が人を襲って奪い取ってきたって言うんですか?俺の報告は偽の報告だったと疑うんですか?冗談にしても笑えない。俺は人を傷つけてまで評価を得ようとするほど落ちたつもりはない!!馬鹿にしないでくれ!!」
つい声を荒げて反論してしまう俺。
しまった…やっちまった…。
怒鳴るように反論したことを少し後悔するがやってしまったものは仕方がない。
それに謂れもない罪を問われ疑われたのだ。
身の潔白という意味では怒るのが当然だと思う。
俺の態度にどういう対応を取るのか、俺はギルドマスターの返事待つ。
「たくっ、いきなり怒鳴るんじゃねぇよ。気を悪くするなって言っただろうが。これは立場上聞かねぇといけなかったから聞いただけで、元よりこのヤスラギ草がたかだか一商人から奪えるはずもねぇしお前がそんなことするはずがねぇことは百も承知だ!強盗なんてことは最初から疑ってなんかねぇよ。」
イラつき気味に待ったギルドマスターの返事はさっきとは全く逆と言えるほどに俺を全肯定するかのような返事だった。
突然の肯定に毒気を抜かれて困惑する俺。
というか急にそんな手のひら返しされたら怒鳴った俺の立場が…。
その態度を見てギルドマスターはさらに言葉を続ける。
「フォードベルク。お前、アインズさんの息子なんだろ?あの人の息子が人を襲うなんざ外道なことをするわけねぇだろうが。」
当初の威厳ある喋りはすでに崩れているように感じるがヒューズの力強い断言は有無を言わさないの説得力があった。
「父さんを…知ってるんですか?」
ギルドマスターの言ったアインズという名前。
それは俺の父親の名前で間違いない。
と、いうことは二人は少なからず知り合いということなんだろうか?
「あのなぁ…。七天の騎士を知らない奴がいると思うのか?七天七家の名前なんて今時子供でも知ってることだぞ?もちろん俺の場合は有名だから知っているって訳じゃないが俺でなくてもお前の名前を見れば七天の騎士の子供だってことは誰でも分かるぞ?」
「ぐっ…。」
どうやら俺の認識以上に七天っていうのは誰でも知っているもののようだ。
父さんのことは強いってイメージだけで、実際どれくらいの知名度なのかなんてことは常に身近にいた俺には実感がないのである。
「まぁ、それは置いといてだ。もう一度確認するがこのヤスラギ草はレオン、お前が採取したもので間違いないんだな?」
再度確認をするヒューズ。
俺はバツの悪さを感じながらも返事を返す。
「間違いな…いえ、嘘偽りなく真実です。」
「だぁー!めんどくせぇな!さっきの怒鳴りはなんとも思っちゃいねぇからうじうじすんじゃねぇ!その気持ち悪い敬語もやめろ!」
「……間違いない。」
おかしい、怒られるポイントが違うと思う…。
なんかほとんどの人に敬語をやめろと言われてる気がする。
そんなに俺の敬語は変なんだろうか…?
というか咄嗟にタメ口で答えてしまったが立場上そんなことしてもいいのか…?
「あの…立場上敬語使わないとまずくないですか?」
「あぁ?立場?そう思うなら今度俺と冒険者共の会話を盗み聞きでもしておけ。そんな気遣いほとんどの奴らがしてないからな!立場つっても俺だって元冒険者なんだ、そこに上も下もねぇだろ?」
どうやら俺の気遣いは杞憂のようだった。
なるほど、そういうことならお言葉に甘えさせてもらうとしよう。
「話が逸れたな。それでだ、このヤスラギ草を採取してきたのがレオン、お前だというなら一つ問題が発生することになる。」
「その問題とは?」
俺は普通に依頼を受けて依頼品を届けた。
その結果にどんな問題があるというのだろうか。
「レオン、お前の受けた依頼だが内容を覚えているか?」
俺の疑問に質問を返すヒューズ。
依頼の内容?えっと確か。
「10本集めて1000イル、だったっけ?」
「そうだ、さらに品質によって報酬が上下するとも書いてあったはずだな?」
「あぁ、そういえば…」
しかしそれがなんだというのだろうか?
少なくとも俺が提出したのはヤスラギ草であるのは間違いないし、品質もそれほど酷いものではないと思うんだが…
「まず前提としてヤスラギ草ってのは非常に魔素の影響を受けやすい植物だ。咲きたてのヤスラギ草であろうと多かれ少なかれ魔素の影響を受けて少量の毒素を含んじまう。あまりに影響を受けすぎるとドクラセ草っていう別物になっちまう。その毒素を薄めてヤスラギ草に戻す作業に抽出ってやつがあるんだが…その反応からしてそのことも知らねぇみたいだな。毒素を抜くには薬品につけたり煮込んだりして抽出していくんだが…まぁ要するにだ、本来Gランクの依頼なんかで要求されるヤスラギ草ってのはドクラセ草を抽出した結果できる繊維とかが傷ついた品質の悪い物がほとんどなんだよ。」
ふむふむ。なるほど、依頼がGランクに該当していた理由が分かった。
つまりは最初からドクラセ草で採取することが前提だったのか…。
そして、その後に煮込んだりして毒素を抜いて提出って流れだったようだ。
あれ…?俺の苦労って一体…。
だがしかし、ヤスラギ草の相場というかどの程度で認められるのかっていうのは分かったけどそれと俺がここに呼ばれた理由がやはり結びつかない。
「そして高品質のヤスラギ草ともなれば間違いなくAランク相当の依頼になるし、手に入れるにも宮廷魔術師クラスの人間が一日中抽出作業に集中するか、それこそ冒険者が運良く咲きたてを見つけてくるか未踏の地でひっそりと生えてるのを見つけてくるかくらいしかないわけだ。運良く見つけても傷つけないように掘り出すスキルも必要となってくる。」
「…それで?」
ダメだ、いまいち要領を得ない。
「まだ分からねぇのか?問題なのはお前の提出したヤスラギ草の品質なんだよ。」
「品質が問題…?いや、自分で言うのもなんだけど品質はそんなに悪くないと思うんだけど…。」
品質が問題と言われても根ごと掘り返したうえで持ってきている以上、あとはその抽出とかいう作業でしか劣化はないと思うが俺の方法は一般的な抽出とは違う。
だからこそ品質にはそれなりの自信があった。
「あぁ、お前の言うとおり品質は悪くなんてねぇよ。そう、悪くなんてねぇ。俺の言う品質の問題ってのはお前の提出したヤスラギ草の品質が良すぎることなんだよ!」
ギルドマスターの叫びはまさに目から鱗であった。
まさか品質の良さが仇になるとは…。
そこまで言われれば流石の俺も察する。
ヒューズは今、品質が良すぎると言った。
つまりは文字通りの意味なんだと思う。
高品質と言われるものが依頼換算でAランク相当、少なくとも文字通りの品質だというのなら最低限そのAランク相当の依頼に提出できるだけの品質であったということだ。
「あー…つまり俺の提出したヤスラギ草はさっき言ってたAランク相当の依頼とかで提出するレベルだったということ?」
俺は確認の意味もこめてヒューズに問いかける。
なるほど、確かにAランクの依頼達成ができるものを新人冒険者が提出したとなれば色々と勘繰ることもあるだろう。
俺は納得しかけるが返ってきたギルドマスターの言葉に思考を止められた。
「はっ!Aランク?馬鹿を言うな!お前の提出したヤスラギ草はそのほとんどが毒素も傷も0のこれ以上ないくらいの最高品質だ!こんなもんこの国が出来てから数度しか確認されてねぇんだ!王宮に渡すしかねぇだろ!?」
お、王宮?あの王様が住んでる城のこと…?
あまりの事態に脳の処理が追いつかない。
「え、いや、だって、えぇ…」
なんとか声を絞り出す。
なぜほとんどなのか、それはおそらく大精霊が関与したものが最高品質になっているからと考える。
俺の処理したヤスラギ草も決して悪い品質ではないだろうがスキルレベルがmaxでない以上それを超えるパフォーマンスがあるということになる。
つまり、今より上の熟練度があるのに成長途中で最高評価とはいかないはずだ。
それに大精霊が手伝ってくれたと漠然と考えていたがどのような手段を持って手伝ってくれたのかは一切不明な時点でそこにどんな奇跡が起こされていてもおかしくはない。
「……あぁ、そうだ。一部除く他全てが最高品質だ。」
否定することもなく告げるギルドマスター。
「「………。」」
再び静寂がこの部屋を包む。
「お、俺はどうすれば…?」
「とりあえず今回の件は確実に王宮が絡むことになる。ずっと黙っておくことも出来んからな…。それに王宮が絡んでくるとなると否が応でも格、つまりはランクが必要になってくる。これはお前の為でもありギルドの為でもある。別に今回のこれを実績として無理矢理ランク上げってのも出来なくはないんだが…。」
少し歯切れ悪そうにするヒューズ。
あぁ、そういうことか…。
「そうなると俺の名前が問題になると?」
「あぁ、そういうことだ。冒険者ってのはその大半が血気盛んな奴らだろう?そいつらにヤスラギ草集めてランクをショートカットしたなんて話が伝わってみろ。やれ親の七光りだ、やれ権力乱用だのとバカ騒ぎしやがるのは目に見えてるだろ?」
ヒューズの予想通りの言葉に苦笑する俺。
「そこでだ!ランクの上がる大義名分もたって、上がるランクもCまで上げれて、更に実力も示せるとっておきの話があるんだが!?」
この時を待っていたと言わんばかりに声を張り上げるヒューズ。
び、びっくりした…急に大声で話すなよ…。
「どちらにしろランクは上げていきたいから取り敢えず話は聞くけど…ランクってそんな急激に上げれるものなの?」
リーナもかなりのランクアップスピードだと思うがそれでもDランクまでに一月かかっている。
そう考えると一気にランクアップなんていう美味しい話がそうそうあるとは思えないのだが…。
「あぁ、実はお前がここに来る少し前に周辺探索を仕事とする職員からある連絡があってな、その連絡というのもカリジュの森近辺でこの辺では見ないガルト山脈に生息する中型の魔物が何故かカリジュの森浅瀬を徘徊しているというものなんだ。その魔物というのがウォー・アトラスという昆虫型の魔物なんだが本来こいつらは群れというか小さな羽虫みたいに集団で行動しているはずなんだ。だが報告に上がっている個体数は一体のみ。幸い単体ならCランク程度の魔物だ。そこで俺はアインズさんの息子であるお前を信じてウォー・アトラスの討伐をギルド直接の指名依頼として受けてもらおうと考えているんだがどうだ?」
「指名依頼?」
確か依頼主が直接依頼を受ける人を決めて依頼するやつだったっけ?
でもアレクの話だとベテランになってからみたいな話だった気がするが…。
「受ける受けないはともかくランク制限とかそういうのは大丈夫なのか?」
「あぁ、依頼ランクで表してもCまたはBといったところか?そのレベルの依頼を新人に依頼するなんてことは前代未聞だがそこは俺の力でなんとかするから安心しろ!レオンが見事依頼達成となればその功績を利用してまずは一気にCまたはBまでランクを引き上げる。しかし魔物討伐の依頼ともなれば当然命の危険だってあるが…どうする?」
肝心なところは権力のゴリ押しであった…。
しかしなるほどギルド直接のっていうのが大事なことで、ある程度緊急性の高い依頼をこなしたという実績を利用するわけか。
ランク上げショートカットのチャンスとしては最大のものだと思う。
命の危険もあるけど自分がどこまで戦えるのか試してみたいという気持ちも強い。
「わかった。やれるだけやってみようと思う。」
俺はヒューズの問いに力強く答える。
「そうか!現状報告にあるのは一体のみだがまだどこかに仲間が隠れているということもないことじゃない。何か異変に気付いたらすぐに戦線から離脱して報告にきてくれ。」
「あぁ、ありがとう。父さんの教えに恥じないよう頑張らせてもらうよ。」
俺の言葉にヒューズはニヤリと笑う。
「あぁ、期待してるぞ!では、カリジュの森近辺、ウォー・アトラスの討伐依頼をここに受領する!」
こうして俺はギルドを後にし、カリジュの森へと足を踏み入れるのであった。
もっと日常パートは簡潔にしていきたいのですが書き始めるといつのまにか文字数が…!
そんな感じでやっていますが今後ともチート探求をよろしくお願いします!
ブックマーク、レビュー、感想、どしどしお待ちしておりますのでよろしくお願いします!
また誤字脱字等も教えていただき気付き次第直していきますので教えていただきますと幸いです!
(面白いと思っていただけたらブクマだけでもしていってくださいね…!)ボソリッ




