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第25話 新人冒険者レオン

え?初めての依頼?

知らない子ですね…。


2018.10.7 一部誤字修正。

「おお…!」


本部とも言える場所だからなのかその建物のどこか荘厳とした印象に思わず感嘆の声が出る。

城の作りのような煉瓦積みの壁、その中央に構える木製で出来た門扉、その建物の天辺にはこの国とその建物を象徴する獅子の紋章に剣をクロスに合わせたエンブレムが刻まれた旗が風になびいている。

そう、ここは冒険者ギルド。

俺も長く待ち望んでいた男の子憧れの場所だ。


「よし!」


俺は門扉に両腕をつけ門扉を開けるとギルドの中へと入っていく。

ギルドの中はとても広く、様々な人達でごった返していた。

強そうなゴツゴツの鎧を着込んだ背の高い男性や中々に強面な獣人の男、踊り子のような軽装をしている女性にガントレットを装備した拳闘士風の女性など本当に色々な人がいる。

おっと、見渡してる場合じゃなかった!

俺は首をフルフルと横に振り好奇心を散らすとギルド登録の為の受付を探す。

広いと言っても俺が歩いて来た草原のような広さを持ってるわけじゃない。

すぐ近くに受付と見られるカウンターはあった。

カウンターは六つあり、そのうちの俺から見て端の右側二つに理由は分からないが沢山の冒険者が並んでおり、中央二つにはちらほらと左端二つには2〜3人が並んでいる程度だった。

俺は人の一番少ない左端へ並ぼうとするがそれを1人の人物が引き止めた。


「お前さんちょいと待ちな、そっち二つはCランク以上の冒険者専用窓口だぜ?中央二つがDランク以下及び依頼の貼り付け申し込みとかの窓口、右側二つが魔物から得た素材や魔石を買い取ってもらう場所だぞ?」


俺を引き止めたのは赤い髪の毛をもつ20代前半くらいの若い男性だった。

まじか!窓口に専用とかあったのか…!

俺は引き止めて教えてくれた男性にお礼を言う。


「あぁ、いいってことよ気にするな。ここにいてそれを知らなかったってことは、お前さんこれから冒険者になるのか?」


赤髪の男は気にするなと言うと俺へ質問を投げかける。


「はい、その通りです俺の名前はレオンと言います。16になったので冒険者になるためにここまできました。王都で活躍して有名な冒険者になりたいと思っています。お兄さんも冒険者なんですか?」


俺は赤髪の男の質問へと答え俺もまた質問をする。


「お兄さんはやめてくれ!なんかむず痒いから!

俺の名前はアレク。レオンの言う通り【荒野の牙】っていうパーティーのリーダーをやらせてもらってる。

他のメンバーは今あそこで素材の買い取りをしてもらっているんだ。ここであったのも何かの縁、俺たちもしばらく王都に滞在してるから冒険者になって分からないことがあったら何でもきいてくれ。ちなみに冒険者登録なら真ん中の受付で出来るぞ。ほら、丁度今なら人もいない行ってくるといい。」


そう言われ真ん中の受付を見るとさっきまでまだらにいた人たちはすでにいなくなっていて絶好のタイミングとなっていた。


「あ、ほんとですね!では登録に行ってきます。

色々とありがとうございました!何かあったら相談させていただきます!では!」


「あぁ、受付からも言われると思うが冒険者は危険な職業だ。気をつけるんだぞ?じゃあな!」


俺はアレクにもう一度お礼を言い別れを済ますと真ん中の受付へ向かい受付嬢に声をかけた。


「すみません、冒険者の登録を行いたいのですが…」


「はい、冒険者登録ですね。ではこちらの魔法紙に必要事項を記入していただいてもよろしいでしょうか?ご入り用でしたら代筆も承っております。」


「いえ、大丈夫です。自分で書けます。」


俺は受付嬢から羽ペンを受け取り必要事項を埋めていく。

名前はレオンっと。フォードベルクって家名もあるけど書いたら絶対騒ぎになるよな…。やめておこう。

歳は16、種族は人間、性別は男っと。

最後は…ん?取得スキル?これ全部書かないといけないのか…?

だとしたらかなり面倒なことになりそうなんだが…。


「どうかしましたか?」


俺の難しい顔に受付嬢から声がかかる。


「あー、えっとこの取得スキルってやつなんですけど全部書かないとダメなのかなーと迷ってしまって。」


俺は偽ることなく受付嬢の問いかけに答える。


「あぁ、そちらは任意なので書いていなくても構いませんよ。ただ書いていただけているとこの人はこの作業ができるといった具合にアピールポイントとなるので明かせる範囲で記入される方がほとんどですね。」


なるほど、つまりは前世でいう資格みたいなものか。

俺は受付嬢からの助言を参考にし、エクストラスキルと隠蔽と魔物から奪ったスキル以外を記入し受付嬢へ提出した。


「ご確認いたしますね。お名前はレオン様。16歳の種族は人間、性別は男性。スキルは……っ!?」


受付嬢が俺にしか聞こえないぐらいの声で確認をし、取得スキルの確認で声を詰まらせる。

ちなみに受付嬢の名誉の為に言っておくが取得スキルの部分は流石に読み上げるわけではない。

これらのスキルでお間違いないですか?と確認を取るだけだ。

まぁ今回ばかりは書かれてるスキルがスキルだけに動揺があったみたいだが…。

うーん、やっぱりユニークスキルも記入しない方がよかっただろうか…。


「……失礼いたしました!本当にこちらの取得スキルにお間違いはございませんか?」


「はい、誤記入はないです。」


受付嬢の確認に俺は首縦にふる。


「ここで働き始めてからこれほどの新人さんは初めてです…。では書いていただいた魔法紙とギルドカードをリンクさせますので魔法紙とこちらのギルドカードに血を一滴ずついただけますか?」


そう言って差し出された小さな針を使い魔法紙と何も書かれていないギルドカードに言われた通り俺は血を一滴ずつ垂らす。

すると魔法紙が小さな光を放ち粒子となって何も書かれていないギルドカードへ流れるように消えていった。


「はい、これにて冒険者登録完了となります。こちらのギルドカードをご確認ください。」


俺は言われた通り先ほどまで何も書かれていなかったギルドカードを手にとる。

おお!これは!


「魔法紙に書いた内容がギルドカードに追加されてる!」


「その通りです。ギルドカードの内容に間違いはないですか?確認ができましたらギルドの説明をさせていただきます。」


俺は受付嬢の言葉に冷静さを取り戻し、すこしはしゃいでしまったことを恥ずかしく思いつつギルドカードの内容を確認する。

うん、なにも間違ってないね。

俺は間違っていない旨を伝え受付嬢の説明を聞く。


「まずそちらのギルドカードですが、魔法紙とカードに垂らした血によってレオン様の魔力を登録しています。二重の魔力登録をしているため偽装はほぼ確実に出来ないもの考えていただいて構いません。また、そういったセキュリティー能力の高いカードとなっていますので初回は無料となりますが万が一、カードを紛失などした場合、再発行をするとなると現在のレオン様のカードで10万イルお支払いしていただく必要があります。ここまではよろしいですか?」


ほほー、このギルドカードってそこまですごいセキュリティーが施されていたのか!

まぁ身分証明にもなるカードだからな。

それくらいのセキュリティーを施さないと大変なことになってしまう。

俺は納得し続く受付嬢の言葉を待つ。


「それでは続けさせていただきます。先程再発行の料金をお話しした際にレオン様のカードでと説明させていただきましたが、冒険者の皆様にはランクというものがございます。ランクはGから始まりF.E.D.C.B.A.S.SS.SSS.Xといった順番に上がっていきます。またそれらのランクにも区分というものがありG〜Eが駆け出し、D〜Cがベテラン、B〜Sがプロ、 SS〜SSSが英雄、そしてXが超越者と呼ばれるものとなります。そしてランクとカードの関係性ですが今説明した区分によって、実はカードの素材が変わります。駆け出し級が銅、ベテラン級が銀、プロ級が金、英雄級がミスリル、そして超越者級がオリハルコンという貴重な金属で作られたカードといった具合です。もちろん上の方に上がるほど再発行の値段は上がっていきますのでカードの管理には本当に気をつけてください。なお、ギルドカードはその素材一つで作られているわけではなく魔鉄というものも混ぜ合わせて作られており、尚且つ特殊な技法を用いて加工していますので強度については心配の必要はございません。」


ふむふむ。つまり俺は冒険者になったばっかりだから銅のカードで再発行の値段も素材というよりセキュリティーと強度加工の技術料の値段ということみたいだ。


「次にランクの上げ方についてですがCランクまでは基本的にポイント制となっております。それ以降のランクアップについてはランクCにたどり着いた際にお話しさせていただいてます。またそのポイントはあちらの掲示板に貼られている依頼を達成していただくことで上昇していきます。なお、依頼失敗となった場合はもちろんポイントの方も減少いたしますのでお気をつけください。依頼についてですがこちらにもランクというものがあり、基本的には冒険者ランクから±1ランクまでの依頼を受けることが可能となっております。ちなみにですが常に1ランク下のクエストをクリアしていてもポイントは入りませんのでご注意ください。これは例えですがDランクの冒険者がEランクの依頼を達成した際に入るポイントは0、Dランクの依頼を達成した際に入るポイントは1、Cランクの依頼を達成した際に入るポイントは2といった具合にランクが高い依頼を達成した方がランクアップに繋がりますが、その分危険な依頼となっていることを忘れないでいただきたいと思います。長々と説明させていただきましたがご理解いただけたでしょうか?」


「はい、大変わかりやすくてとても助かりました!」


俺のランクは一番下のGランク。

つまり今の俺はGランクとFランクのしか受けられないということだな。

俺は受付嬢の言葉に頷く。


「ありがとうございます。では最後に冒険者としての知識を2つ、簡単にお話しさせていただきたいと思います。一つは魔物のランクについてです。こちらはご存知かもしれませんが魔物にも危険度に応じてランク分けがされております。魔物のランクがSSを超える場合、その魔物には二つ名が付きます。有名なのが、ここ王都の城に保管されている国宝を体内に宿していた【終炎龍】などですね。最後は冒険者同士の直接的な対立の禁止です。冒険者の方は一括りには言えませんが血の気が多い方も多いです。なのでよく言い争いなどが発生するのですがその延長線で殺し合いに発展することも少なくはありません。なのでそういったことが起きないようにギルドとしては禁止しているのですがあまり効果がないというのが現実です…。ですがギルドとしては禁止しているということを覚えておいてください。」


「はい、わかりました。役立つ情報をたくさん教えていただきありがとうございます!」


俺は仕事とは言えたくさんの情報を教えてくれたことに感謝して頭を下げる。


「いえいえ!新人冒険者の方は私達受付の話を全く聞かない方も多いのにレオン様はしっかりと聞いてくださってくれていて、私としても話した甲斐があったというものです!では、これにて説明は以上となります!なにか分からないことがございましたら受付まで来ていただければいつでもこのお答えしますのでお気軽にご利用ください。また本日は既に夜となっておりますので依頼を受けるのでしたら明日以降にすることをオススメいたします。宿が決まっていないのでしたらこの付近ですと【黄昏の穂波亭】がオススメですね。それではあなたの冒険者ライフに創造神様の加護があらんことを!」


受付嬢の言っていた話を聞かない新人冒険者が多くいるという事実に驚く俺。

結構重要な話が多かったがそれすら聞かないとかそれでやっていけるのかよ…。

もはや死にたがりなんじゃないのかとある意味心配になる。

そして俺は受付嬢の助言通り今日はその宿で休むことに決めた。

門扉を開きギルドを出る。

外はすでに月が昇り完全な夜となっていた。

ギルドについてからそれなりの時間が経っていたらしい。

まずい!早くしないと宿が取れなくなる!

【黄昏の穂波亭】を目指して俺は夜の王都を走り出した。


☆ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー☆


走り回った甲斐もあり俺はなんとか部屋を確保することができた。

黄昏の穂波亭は値段の割に設備もしっかりしていて驚いた。

これは当たり宿みたいだ!

明日出て行くときに数日分まとめて払ってここを拠点にしようと計画をたてる。

綺麗に整頓されたベッドに寝転がり俺は今日一日を振り返った。

成人の儀を受けて、父さん達に激励されながら家を出て、スライムと初めての戦闘して、ゴブリン達とも戦って、めちゃくちゃ美味い串焼きを食べて、冒険者になって…。

相当身体が疲れていたのだろう、記憶の整理と共に抗えないくらいの眠気が襲ってくる。

あー、だめだ。これねむ………。

気付かない間に俺は寝落ちしてしまった。

部屋の格子窓からは月明かりが明るく、そして優しく照らす。

まるで俺が冒険者になったことを祝福するように。

あ、あと受付嬢さん!

俺、創造神の加護持ってます!

こうして王都で過ごす初めての夜は穏やかにすぎていくのであった。

今回はセリフの方が多かったのでいつも以上に誤字脱字があるかもしれませんが報告にあがりしだい修正しますのでよろしくお願いします。

前回の後書き詐欺になってしまってすみません…!!

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