第24話 串焼きで出来た繋がり
かなりまったりとしてます。
「いらっしゃーい!いらっしゃーい!焼きたてホヤホヤ!今日はトビウサギの串焼きだー!一串150イルだ!買った!買ったー!」
「王都と言ったらやっぱりうちのグレータカウの串焼きだろ!脂も乗ってて美味しいよー!一串240イルだ!さぁ買った買ったー!」
あちこちで屋台が開かれ辺りはその匂いにつられるようやってきた観光客や王都の住人で溢れかえっているる。
時刻は日没までもう少しと言ったところ。
俺は王都に入る前から聞こえていた喧騒の出どころである中央通りへと来ていた。
正確には匂いにつられてやってきてしまったが正しい訳だがこれには深い深〜い理由があるんだよ、うん。
本来ならこのまま俺は冒険者ギルドに向かってギルドカードを発行してもらうのが正しい行動だと思うわけだが考えてもみてほしい。
最後に食事をしたのは昼の刻を告げる鐘がなる前のわけで今の時刻はギリギリで夕方だ。
だから時間にして大体6時間以上が食事間で経ってしまっているわけだ。
そこで元の世界の学生生活を思い出してほしい。
朝7時に朝食を食べて、昼休憩13時頃に昼食を食べて、日没午後19〜20時くらいに夕食を食べているのが一般的だったはずだな?
つまりだ!食事間に必要な時間はおおよそ6時間くらいというわけで、既に6時間以上経過してる俺みたいに程よい空腹具合で屋台から美味しそうな匂いが流れてくるとなったらそりゃ来ても仕方がないというわけだ!
あれだ!部活帰りにコンビニで肉まんとか買い食いしちゃうみたいなそんな感じだ!
食べたら冒険者ギルド行くから問題ないし!
ここまで事情があるんじゃ仕方ないな!うん!
と、いうわけで俺は食欲に負けた自分を言い聞かせ屋台の食事を楽しむことにした。
「いらっしゃーい!」
俺が最初に買いに来たのは王都で一番最初に聞こえてきたトビウサギの串焼きを売っているところだ。
ちなみにトビウサギの串焼きを買った後は横のグレータカウの串焼きも買って肉の食べ比べをするつもりである。
「串焼き二本ください。」
「あいよー!まいどありー!すぐに焼くからちょっと待っててくれ!」
屋台の店主がそういうと二本の肉串にタレを塗り金網の上へと乗せると焼き鳥にも似た香ばしい香りが辺り一面に広がる。
表裏を満遍なく焼いていく店主。
店主の見た目はスキンヘッドの強面40代といった感じなのだが気さくな態度だからなのか見た目ほど怖さというものを感じない。
というか屋台という場所に似合いすぎていて、それだけで美味さの期待度2割り増しくらいの効果があるな。
肉から油が滴ら落ち、ジューッという音が響く。
な、なんて破壊力なんだ…!!
ゴブリン達より強敵だぜ…!!
匂いと音の両方に攻められ俺のHPはもう瀕死状態だ。
実際の焼き上がりまで数十秒も経っていないわけだが
空腹状態の俺には何十分にも感じられるくらいの反則的な強さだった。
「はいお待ち!串焼き二本で300イルだ!」
無限にも思えた匂いと音の拷問が店主の手によってやっと終わってくれる。
俺はポケットから急いで銅貨を3枚出すと商品とお金を交換する。
「がははっ!そんなに急がなくても肉は逃げねぇぞ!
にしても兄ちゃんこの辺じゃ見ない顔だな?ここに来るのは初めてか?観光にでも来たのか?」
店主が世間話と言った具合に俺へ質問を投げかける。
「いえ、初めて来たのは確かですけど観光ではなくしばらくはこちらに滞在しようと思っています。王都には冒険者になりたくて来たんです。」
俺は店主の質問へと答えると串焼きを一口かじる。
こ、これは…!?
俺は串焼きを口に含んだ瞬間に目を見開いた。
なんだこの串焼き!?美味い…美味すぎる…っ!!
噛むほどに溢れ出す肉の旨味!
焼き加減も絶妙で肉が硬くならないギリギリの時間まで焼かれているせいか無駄な脂が一切なく、ほんのりと黒く焦げた部分がこれまた串焼きとしていいアクセントになっていて全く苦にならない!
極め付けはこのタレだ!
この串焼きの凄いところはタレがメインになっていないということだ!
ほんのりとした甘さと香ばしい風味が肉全体をコーティングし肉本来の味を最大限に引き出している!
つまりこれは肉の味がメインの串焼き!
にもかかわらずタレ串としてのインパクトが全く薄れることがない!
これがトビウサギの肉だと…!?
「お、おい兄ちゃん!一心不乱に食べてくれるのは嬉しいが流石に串は食えないぜ!?」
店主の慌てるような発言に我にかえる俺。
店主の指摘通り俺は串をガジガジと噛んでいた。
はっ!?バカな!俺の串焼きを食べたやつは誰だ!
「俺の串焼きが消えた!おじさん!俺の串焼きは誰に食べられたんですか!?」
「いや、兄ちゃんが全部食ったんだぞ!?」
なんだと!?自分で食べたことすら気付かないほどに夢中で食べていたというのか!?
信じられないといった風に驚愕をする俺。
それを見て屋台の店主が笑い出す。
「がっはっは!自分で食ったことを覚えてないくらい夢中で食べてた客は兄ちゃんが初めてだよ!そうか、兄ちゃん冒険者になるつもりなのか。だったらうちの肉調達依頼を受けてもらうこともあるかもしれねぇな!」
「ははは!そうかもしれませんね!俺のとってきた肉があれだけ美味しくなるならやりがいもあるってもんです!」
店主の言葉に俺も笑いながら答える。
「おう!兄ちゃんが受けに来るの待ってるぜ!
あとこれは兄ちゃんが美味そうに串焼きを食ってくれたお礼と先行投資だ、これもらっとけ!」
そう言って店主は焼きたての串焼きを四本俺に渡してきた。
せ、先行投資…?俺は意味がよく分からず店主へ尋ねる。
「あ、ありがとうございます!それにしても先行投資とは?」
「いや、なんとなく兄ちゃんはビッグになりそうな気がしてな!未来の大冒険者様が認める串焼き、ほら売れそうだろ?」
ガハハと笑いながら答える店主。
なんだそういうことか!
ならありがたくもらっておこう。
「なるほど!たしかに俺は名をあげますからね!
おじさんナイス目利きですよ?」
俺もまたおどけたように返事を返す。
「期待してるぜ?兄ちゃんとは長い付き合いになりそうだ!ガハハ!」
「期待しててくださいよ!それじゃあ俺は冒険者ギルドの方に登録しに行くんでそろそろ失礼しますね。串焼きありがとうございました!」
俺はお礼を言うと王都で初めて知り合いと言えるような人が増えたことに少し安心しつつ冒険者ギルドへと向かうのであった。
ちなみに四本の串焼きは立ち去る前にいつのまにか無くなっていた。
おのれ串焼きおそるべし…!
戦闘描写が楽しすぎて日常を上手く書けない現象に…。
次回はギルド登録、初クエストのお話となります。
これからもよろしくお願いします、




