第23話 王都ヴァンデルシア
なんかまた長くなっちゃいました!
すみません!
「これがカリジュの森か。」
初戦闘から歩くことしばらく。
俺は今、カリジュの森表層部入り口にたどり着いた。
入り口といっても、ここ以外からでも森の中には普通に入れるし草原からの道がここに繋がっているから入り口と称しただけなのだが、見る限り一面が木々に覆われており森のというより密林といったイメージのが強い。
行商人たちもこの道をよく使う為、国の業務で一本道が作られているからこの道に限っては視界良好と言えるがそれでも森を抜けた先が見えないあたりこの森の規模はかなりのものだと言える。
それにこうも木ばっかりだとどこに魔物が隠れ潜んでいるのか全く分からない。
俺は気配探知を最大限に高め森の中へと進み始めた。
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「ゲギャギャッ!」
「っ!!おっと!」
森を歩き始めて10分ほど歩いたくらいだろうか。
突然の襲撃だ、俺は茂みから突然飛び出してきたものを感知し、それが持つ武器を剣で受けると隙だらけの胴体に蹴りを入れ相手を吹き飛ばす。
咄嗟に構えた為、衝撃は完全に殺しきれず多少手首が痺れてしまったが仕方がない。
いつでも攻撃に対応できるよう俺は相手から距離を取り武器を構える。
吹き飛ばされた者が立ち上がり、醜悪な顔を苛立ちからかより醜い顔へと変化させる。
俺を仕留め損なったのがよほど腹立たしいのだろう。
緑の肌に人間でいう5歳児くらいの体躯を持ち、その容貌はまるで地獄の餓鬼を思わせる。
襲ってきた者の正体、それはスライムと同じく見習い冒険者に立ちはだかる最初の壁、ゴブリンだった。
「ゲギギギ!」
ゴブリンが誰かに命令するように鳴き声あげると先ほどゴブリンが飛び出してきた茂みから新たに最初のゴブリンとは少し容貌の違う二匹のゴブリンが現れる。
「最初の一匹と今出てきた二匹、あとは反対側の茂みに隠れてる奴も合わせて全部で四匹か。やれるか?」
俺は気配探知で把握していた為、新たに二匹増えたとしても焦ることはなかった。
もう一匹隠れ潜んでいることも把握しているし、そいつの奇襲で慌てふためくこともないと思う。
俺は現れた二匹と最初のゴブリン、そして見抜いていることをバレないように隠れ潜むゴブリンの鑑定を行う。
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ボブゴブリン
種族 ゴブリン
Lv.4
HP 341/367
MP 7/7
ATK 183
DEF 147
INT 21
DEX 31
AGI 83
LUK 28
スキル
【棍棒術 lv.3】【指揮 lv.2】【隠密 lv1】
ユニーク
なし
エクストラ
なし
パッシブ
なし
ゴブリン×2
種族 ゴブリン
Lv.2
HP 143/143 137/137
MP 4/4 3/3
ATK 83 86
DEF 58 57
INT 13 15
DEX 16 16
AGI 53 56
LUK 24 23
スキル
【棍棒術 lv.2】
ユニーク
なし
エクストラ
なし
パッシブ
なし
ゴブリン・ソーサラー
種族 ゴブリン
Lv.3
HP 103/103
MP 28/28
ATK 23
DEF 46
INT 48
DEX 43
AGI 67
LUK 32
スキル
【火魔法 lv.2】【水魔法 lv.1】【無属性魔法 lv.2】
ユニーク
なし
エクストラ
なし
パッシブ
なし
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うわ、隠れてた奴ただのゴブリンじゃなくて魔法使いだったのかよ!
ちゃんと確認しといてよかった…。
知らなかったら負けはしないだろうけど魔法の一発や二発くらい受けてたかもしれない。
それにしても…。
「魔法使いのゴブリンですらスライム以下の知恵しかないとかそれでいいのかゴブリンよ…。」
スライム以下のINTをもつゴブリン達に憐れみさえ覚えてしまう俺。
「ゲギギ!」
そして俺のそんな感情に怒りを抱いたのかゴブリン達がこちらへ向かってきた。
「まったく、策もなくまっすぐ突っ込んでくるだけとかステータス通りすぎて呆れるよ!」
とはいえ格下の相手だとしても数で囲まれるのはよろしくない。
俺はおそらくこのゴブリン達のボスである最初のゴブリンは無視をして先に援軍の二体を片付けることにした。
「水の球!!」
ボブゴブリンに水魔法を打ち込み牽制をする。
[水の球]は魔法そのものに殺傷能力こそないが発動から展開までのスピードが早く、何かに触れた瞬間大きく爆ぜる為相手を吹き飛ばすことができる。
その上、MPの効率も殺傷能力がない分悪くない。
複数の敵に牽制する際にはあまり向かないが単独の敵への牽制としてなら中々に有効的な魔法だと思う。
「ゲギィッ!?」
案の定バカ正直に突っ込んできたボブゴブリンはそのまま[水の球]へと触れ後方へ大きく吹き飛んだ。
リーダー格が吹き飛んだところを見て隙を見せる二匹のゴブリン。
その隙を逃すわけにはいかない。
俺は[身体強化]を使い、ゴブリン達との距離を一気に詰める。
「ゲギャギャッ!?」
「はっ!!」
目前となってゴブリン達が俺の接近に気付くがもう遅い。
身体強化のおかげで腕力も上がっている為、俺はゴブリンの首を一刀の元切り落とす。
「ゲギャ!!?」
隣にいたゴブリンの首が落ちたことでやっと命の危険を感じ取ったのだろう。
もう一匹のゴブリンが無茶苦茶に棍棒を振るう。
だから今更遅いんだって。
「次は…っ!お前だぁぁー!」
俺は棍棒が振り切られた瞬間を狙い、真上から剣で叩き棍棒をはたき落とす。
武器を失い自衛の術を失ったゴブリンを屠るのは簡単だ。
無防備となった胴体を下から上へ斜めに切り上げその命を絶つ。
あとはリーダーと隠れてる奴だけか。
リーダー格と戦闘してるときに後方支援をされてもめんどくさい、先にソーサラーの方を片付けよう。
「土の礫弾!!」
気配探知で把握していたゴブリン・ソーサラーの位置に向かって魔法を撃ち込む。
[土の礫弾]とは簡単に言ってしまえばいくつもの細かい石の塊が弾丸のように飛んでいくといったものだ。
これも殺傷能力こそ高くはないが広範囲にそれなりの威力で着弾する為、多数の敵を相手取る際に有効的な魔法だと思うが今回はそういった意図で使ったわけではない。
「グ…ゲギギギ…ッ」
撃ち込んだ茂みから気配探知にあったゴブリン・ソーサラーがヨタヨタと歩き出てくる。
よし、狙い通りだ!
俺の狙い、それは隠れ潜んだゴブリン・ソーサラーの位置の特定にあった。
気配探知で大体の位置というは把握できるが今の俺では確実な位置を把握することはできない。
曖昧な位置把握のもと近付いてゴブリン・ソーサラーを倒そうとすれば見つかるまでの時間が大きな隙となってしまう可能性が大いにあった。
だからこそ、数撃ちゃ当たる作戦で[土の礫弾]を撃ち込話だというわけだ!
「炎の矢!!」
「グゲギィッ!?」
姿を現したゴブリン・ソーサラーに攻撃を当てることは容易い。
ましてや相手は俺の魔法で瀕死状態だったのだ。
俺は魔法でゴブリン・ソーサラーにとどめをさす。
よし、あとはボブゴブリンだけだ!
俺はアクアボールで吹き飛んだボブゴブリンの位置を気配探知で確認すると武器を構える。
ボブゴブリンはさっき俺のが仕留めた二体のゴブリン達が倒れている場所に移動していた。
「ゲギャギャ!ゲギ!ギャギギ!」
おお、随分とご立腹みたいだ。
まぁ仲間がやられたんだ、その気持ちは分からなくもないけどね。
ボブゴブリンが怒りに満ちたと言った様子で棍棒を振り上げこちらに突っ込んできた。
俺もボブゴブリンと同じように武器を構え走り出す。
「ゲギギギギギィ!!」
「はぁぁぁっ!!」
ガンッ!
ボブゴブリンの棍棒と俺の剣がつばぜり合うようにぶつかる。
ガッ!カンッ!ドッ!ガンッ!
己の武器と武器を何度をぶつけ合う。
そしてついに決着の時はきた。
俺とボブゴブリンとのステータス差。
こうなってしまうのは仕方がないことだ。
バキッ
ボブゴブリンの棍棒は俺の剣撃に耐えきれずついに真ん中から折れてしまった。
「ゲギャッ!?」
折れてしまった棍棒を見て、ボブゴブリンが驚愕といった声を上げる。
「今だ!」
ボブゴブリンの見せたその隙を俺は水の激流の如く一気に攻め貫く。
一撃、二撃、三撃、四撃、五撃…っ!!!
「ゲ…ギッ!!」
ボブゴブリンが苦しげに鳴き声をあげその場に倒れる。
まだ微かに意識はあるようだが俺の攻撃を5回もまともに受けているのだ、その命は風前の灯火だろう。
俺に相手が苦しむのを見て喜ぶような趣味はない。
もう楽にしてやろう。
俺は武器を両手で握るとボブゴブリンの心臓めがけて真っ直ぐに振り下ろす。
「ギッ…………」
剣を振り下ろしとどめを刺した瞬間、またしても力がみなぎるような感覚がする。
「お、レベルアップしたのか。」
ステータスの確認は王都についてからでいいだろう。
それより魔石回収しないと!
俺はスライムの時と同様に剣で魔石をほじくり出し、その死体を土魔法で作った穴に埋める。
フレイムアローと違って魔物の肉まで焼いてしまうとその匂いで奥地の魔物を呼び寄せてしまうかもしれないと思い火葬はやめておいた。
ゴブリン達の魔石もスライムと同じように濁った灰色をしているがスライムに比べれば一回り大きくなっている。
ゴブリン・ソーサラーの魔石も他と変わらず濁った灰色だ。
なるほど…魔法が使える=その属性をもつ魔物というわけではないということか…。
ゴブリン・ソーサラーは属性魔法をスキルとして持っていたがその属性を表す色が魔石に入っていないということはそういうことだろう。
俺はそう解釈して魔石をポケットにしまうとスライム戦同様、水魔法でゴブリンの血を洗い流し再び歩き始める。
ゴブリンとの戦闘以降、突然襲いかかってこられるようなことはなく、それから30分ほどで俺は森を抜けた。
森から王都までの草原でも魔物に出くわすようなことはなく俺の旅路は順調に進んでいく。
森から歩くこと体感で2時間半といったところだろうか、日はすでに傾き始めていて草原を薄いオレンジの夕焼けが照らし出す。
そして俺の短いようで長かった旅路も終わりを迎えた。
少し離れたこの道からでも人々の賑わいの声が聞こえてくる。
俺はその声を聞きたまらず駆け出し、列となって並んでいる行商人と見られる人の後ろへと並ぶ。
1人、また1人と並ぶ人たちは門の中へと消えていく。
そして前にいた行商人も門へと消えていき、いよいよ俺の番となる。
「止まってください。なにか身分を証明できるものはお持ちですか?」
「いえ、持っていません。ここには冒険者となるために来ましたのでそちらで発行する予定です。」
俺は門番の質問に答える。
身分を証明できるものというのはいわゆるギルドカードのようなものだ。
さっきの行商人も商人ギルドに入っていたようで商人ギルドのギルドカードで入門していた。
「なるほど、冒険者希望の方ですね。では仮通行証を発行するので発行料として500イルお預かりしますがよろしいですか?なお、身分証明のできるものが発行された際にこちらまで来ていただいて確認させていただければ500イルは返還させていただきます。」
「はい、構いません!ありがとうございます。」
イルというのはこの世界で流通している通貨の名前だ。
価値としてはほぼ日本円と同じで1イル=1円の価値で間違っていない。
俺は旅支度として両親から受け取ったお金の中から銅貨を5枚取り出し門番へ渡す。
「……4、5。はい、確かにお預かりしました。仮通行証を発行してきますのでしばらくお待ちください。」
そう言って門番が入り口横に設置されている大きめのテントのような建物に入っていった。
やっと冒険者になれるのか…!
まぁ冒険者になる前から魔物とは戦ってたけどそれでもやっぱ冒険者って肩書きは夢があるよな!
俺は長年の夢が叶う瞬間がすぐそこにあることに思わず小躍りしたいくらいの衝動に駆られる。
あ、ちなみにだがもし俺が観光目的や移住目的で来たとしてその際に証明できるものがなかったとしてもギルドカードとは別に国民許可証というものが発行できるため何の問題もないから安心してほしい。
「お待たせしました。こちらが仮通行証となります。」
「ありがとうございます!」
俺が妄想にふけている間に仮通行証は発行されたみたいだ。
門番から仮通行証を受け取りお礼を言い、そのまま入門の手続きを取ってもらう。
「ようこそ!王都ヴァンデルシアへ!」
こうして俺の冒険は幕を開けたのだった。
なんでゴブリンとの戦闘をこんなに描写してるんでしょうね…。
備考の方に貨幣の価値についてざっくりと載せますので見ておくと銅貨とか金貨とかの意味がわかりやすいかもしれません。




