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異世界生活魔法で建国物語~精霊と作ろうチート開拓記  作者: AZ
第1章 『初めての村造り編』
7/25

6話 道中②野宿と武士

よければ、ブックマークと評価をお願いします。

精進して執筆します。

「そろそろ野宿の用意をしよう。3人は枯れ木と枯葉を集めてきてくれるかな?」

「任せろって!」

「頑張って集めてきます」

「行ってくる…」


 3人が勢いよく駆け出していく。

 それを見送り、俺は『野宿』の用意に取り掛かる。

 

「まずは、寝床だよな…」


 テントで良いか…。

 鉄材に厚手の布に紐を総合生産で出す。

 それを、素材合成錬金すると…。


「テントができた…」


 出来上がったキャンプ用テントがそこにあった。

 かなりの広さがあるテントだ。

 こうなる内装も凝りたい。


「寝具は欲しいな…」


 シティボーイ(死語)の俺はフカフカ布団と枕じゃないと寝られない。

 そこで、羽毛と布と綿を出す。そして素材合成すると寝具一式が4組出来上がる。

 ランタンは…さすがに無理かぁ…。こっちに電池は無いし作り方も分からない。

 あとは…これは忘れちゃいけないよな。簡易トイレ…と。

 地面に天地創造で深めの穴を掘り、穴の上に総合生産で出した粘土と地面の土で洋式トイレを作って設置する。

 出来上がったところでテントの材料で、トイレを囲う。

 え?トイレットペーパーはどうしたかって?木材を材料に素材合成錬金で作成したよ。

 ただし、一昔前の紙タイプのものだが…。拭けりゃあ良いんだよ、拭けりゃあ…。


「無い物は無いと諦めるとして…余った鉄材で…素材合成錬金」


 包丁にフライパンに鍋を作る。

 ついでに余った木材でまな板も作る。


「こうなると水が欲しいよなぁ…」

「クンクン…川が近くにあるよ」

「さすがは木のじゃ。水には目がないのう」

「案内を頼む…」

「よろしくね、ユニコーン」

「よし!任せてよ。こっちだよぉ…」


 ユニコーンの後を追う。

 5分も歩くと川を発見した。


「水だ…。なんでだろう…水を見ただけでこんなに嬉しくなるなんて…」

「水は生命の象徴とも言われとるからのう~…」

「ボクには分るよ。水は大切なモノだよ」

「そうなると…やはり次はリヴァイアサンか…」

「リヴァイアサン?水の精霊王ってこと」

「そうだぜ、ぎゃははは」


 思っていたとはいえ、確かに水の精霊王に会うのは急務かもね…。


「とりあえず、水を大量に確保したい。まずは土はここにあるから…粘土がいるな。もう一度、総合生産…粘土」

「何を作るの?」

「水瓶さ、しかも大きいのをね。素材合成錬金…大水瓶」


 土と粘土が混ざり合い、大水瓶が出来上がる。

 ついでだ…あれも作っておこう。


「総合生産…竹」


 1本の長い竹が生まれる。

 よし。これがあれば後は…。


「総合生産…紐。そしてこの2つを…素材合成錬金、水筒」


 そう俺が作ったのは『竹の水筒』だ。

 時代劇なので見たことのある知識程度だが、ちゃんと作れた。

 あとは水を汲んでいくだけだ。

 俺は鍋を使って水を大亀に入れていく。満タンになったところで次は5つ出来た水筒に水を入れいく、最後は鍋に水を入れた。


清潔浄化(クリーン)!」


 俺は水瓶や水筒、鍋の中の水が輝く。

 これで浄化完了だ。


「なんで水を浄化したの?これは飲めるよ」

「生水が体に合わない人もいるからね。特に子供はそういうのに敏感だから…」

「なるほどのう。これまで見守ってきたが…タカアキの能力の使い方…実に感服したぞ」

「限られた能力で、可能な限りのことを尽くす…言葉にすれば簡単に聞こえるが、それができると言うのは別の話しだ。どうやら、我も本格的にタカアキについて行こうぞ」

「ボクも契約だけのつもりだったけど、面白そうだから一緒に行くよ」

「オレも楽しいから良いぜ、ぎゃははは」

「まあ…悪くはないな」


 ふわふわと浮かびながら言う、キリンとケルベロスとユニコーン。

 なんとなく笑みをこぼすタカアキだった。


「美味しいご飯を作らないと…みんなも食べる?」

「うむ。馳走になろうかのう」

「美味いもん頼むぜ。肉だな肉、ぎゃははは」

「我は辛い物を好む…」

「我は温かい物が良い」

「ボクはね~…キノコ。キノコが入ってるもの」

「肉に辛くて暖かくてキノコ入り…『カレーライス』にするかな。でも問題はカレールーか…」


 まあ、どうしてもダメならスパイスを出せばいいか…。

 そうなると米がいる。

 そして、ご飯を炊くには…。


「総合生産…鉄材。で、素材合成錬金…飯盒(ハンゴウ)


 俺が作ったのはキャンプでお馴染みの『飯盒』…またの名は、『飯盒炊爨(ハンゴウスイハン)』である。

 野外でご飯を炊くならこれだろう。


「それじゃあ、総合生産…お米」


 飯盒の中にお米が入る。

 しかし…飯盒4つは多かっただろうか?

 まあいい…。

 俺は清潔浄化(クリーン)で米を研ぎ鍋の水を入れる。

 入れ終わったところでもう一度鍋に水を汲みなおし、清潔浄化(クリーン)をしてから全てをアイテムボックスに仕舞った。


「さて、戻ろうか…」


 テントのある場所に戻ると、子供たちも帰ってきていた。

 ……『オマケ』を連れて……。


「あ、お兄ちゃん」

「どこ行ってたんだよ~」

「この人が、タカアキお兄ちゃんかい?」

「そうだよ。盗賊から救ってくれたんだ」

「…タカアキ・フルムラです。この世界を旅する放浪者です」

「アタイは、エリーゼ・ヴィンライン。ソロで冒険者をやってるよ。まあ、気軽にエリーと呼んでおくれよ」

「エリー。じゃあ、俺のことはタカアキで良いですよ」

「んー…じゃあ、アキで良い?タカアキって呼びにくいし」


 エリーゼ・ヴィンラインと言う女性。

 エメラルドグリーンの髪を紐で雑にポニーテイルにしており、瞳は燃えるような赤色。

 服装はあまりゴテゴテしていない鎧なのに腰に差しているのはどう見ても刀と言うアンバランス。

 ただ…どうひいき目に見ても整った顔が『麗人』と言う言葉がピッタリの美女である。

 言葉使いが全てを台無しにしていると言うのは言わないでおきたい。

 まあ、この人懐っこさは嫌いじゃないけどね。


「別にいいですよ。それで、エリーは依頼か何かでここに?」

「ああ…。ルザーの町で子供の誘拐があって、盗賊討伐のクエストを受注して来たんだが…先を越されたようだ」

「そう言うことですか…。でも、1人で盗賊討伐ってもしかして名のある冒険者の方で?」


 盗賊討伐と言うクエスト。ゲームで言えば4~5人のパーティで挑むのが定石だ。

 それをソロでこなす…と言うより受注ができると言うことは相当の実力者だと言うことだ。

 もしかしたら…二つ名持ちかもしれない。


「あまり好んでないから言い難いんだが…『聖刀(エクセイヴァー)のエリー』と呼ばれている」

「その武器って…『刀』だよね?エリーって職業は?」

「武士だ。元は侍だったんだが色々あってな…」

「階級的には侍より上なのに嬉しそうじゃないね?」

「人を斬り殺して得た武勲など嬉しくもないさ…」

「だから、冒険者って名乗ったんだね?」

「ああ…。実際、今は国に仕えてないからな」


 つまり…国のやり方についていけなくなったと言うことだろう。

 なら、これ以上は聞くまい。


「じゃあ、この話はここまで。食事の用意をするね」


 子供たちが拾ってきてくれた薪を並べ、周りを大きめの石で囲む。

 つまり、簡易板の(かまど)と言うわけだ。

 これを2つ用意し、1つは飯盒を炊くのに使い、もう1つは鍋でカレーを作る。

 結果から言うとカレールーを出せた。しかも種類別にだ。

 これには思わず小躍りしたくなったよ。まあ…しなかったけど。

 家事スキルのおかげで、飯盒のご飯もカレー完璧な仕上がりだった。

 ついでにサラダやデザートに果物まで付けてしまった。

 ん?精霊獣たちにはどうしたかって?もちろん、隠して渡しましたよ。


「じゃあ、食べよう。いただきます!」

「…なにそれ?いただきますって…」

「えっと…俺の生まれた国での食事を取るときの挨拶だよ」

「じゃあ、アタイらもやろうか。…いただきます」

「「いただきます」」

「…だきます」

「はい。召し上がれ」


 俺の言葉で、みんながカレーにがっつく。

 もちろん、キリンたちもだ。


「うめぇ!」

「辛いけど美味いよ~」

「ハグハグハグハグ……」

「この料理は一体…似た感じの料理を食べたことはあるが、ここまで美味いと思ったことはないぞ」

「俺の国の料理だよ。気に入ってもらえたならよかったよ」


 俺もカレーを食べる。うん。満足のいく味だ。

 鍋一杯に作ったカレーは見事に完食されたのでした。

 お粗末様でした。



◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇◆◆◆◇◇◇



「…どうだい?」

「はい。3人ともグッスリ休んでますよ」

「そうかい。まあ、盗賊に捕まってるときは安心して休めなかっただろうしな」

「そうだね。良かったら、エリーも先に寝ても良いよ」

「ありがたい申し出だな。…分かった。じゃあ、先に休ませてもらうよ」


 俺は火の番をすることにする。

 と言うのは建前で、実は今後のことをキリンたちに相談するためにエリーにも休んでもらったのだ。


「何だ?このフカフカなのは?寝心地が良いぞ」

「…独り言が思いっきりダダ漏れてるよ、エリー……」

「…ぐがーっ」

「寝るの早っ!しかも、イビキがオヤジ入ってる!?」


 何と言うか豪快な女性だな。思わず、ほくそ笑む俺。

 この世界に来て2日目の夜がこうして更けていくのだった。

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