5話 道中①腹ごしらえと木の精霊王との契約
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森を歩いていると、すぐに3人がその場でうずくまった。
「ど、どうしたの?」
「お…お腹が空いた」
「もう、動けないよ…」
「……(ぐ~…)」
そうか。食事を貰ってなかったんだな。
それじゃあ…。
「総合生産…リンゴ。さあ、これを食べて」
「なんだこれ?果物か?甘酸っぱくて美味しいぞ」
「美味い、美味い」
「ハグハグハグ……」
「果物だけじゃ栄養が足りないよな…」
何か素材と呼べる食べ物は…。
俺は試しに行ってみることにした。
「総合生産…イワナ」
すると、手元に数匹のイワナが生まれる。
やった。成功だ。
「落ち葉と枯れ木を集めないと…」
あとは火をどうするか…。
「…照明魔法が使えるかも…」
俺は枯れ木を束にして置いて、その上に枯葉を乗せる。
「これで良い。あとは…照明魔法!」
手元に光る球体が生まれる。
それを、枯葉に当てると熱によって煙が出始める。
よし!思った通りだ。火が点いたぞ。
「イワナの口に枝を突っ込んで、後は…総合生産…塩」
塩を生み出し、それをイワナに振りかけて焚き火の周りにに置く。
あとは焼けるのを待つだけだ。
「ついでに…総合生産…サツマイモ」
サツマイモを出した俺は焚き火の中に投入した。
本当は銀紙で包みたいがさすがに生産できなかった。
ので、そのまま焼いた。
「イワナの塩焼きができたぞ。ほら、3人も食べて…」
「パク…モグ…おうひい~…」
「ガツガツ…う、うめ~…」
「ハグハグハグ……」
「俺も食べよう。モグモグ…ん。美味い」
塩味が良い具合だ。ちょっと焦げたのがさらに良い。
ん…良い匂いが……あ、サツマイモができたみたいだな。
「アチチチ…フーッ、フーッ。塩を振りかけて…いただきまーす」
口の中に広がる熱気と旨味。ハフハフと思わず熱中して食べてしまった。
それを見ていた3人の子供たちが生唾を飲み込む音が聞こえた。
「食べて良いよ」
そう言うと、3人とも勢いよくサツマイモを口に入れていくのだった。
「咽喉が渇いたなぁ…」
しかし、水が無い。総合生産でも水は作れないし…何か良い方法は…?
「待てよ…。果物が出せるってことは…試してみるか」
俺は総合生産でミカンを大量に出す。ついでに、檜の木を出す。
そして…。
「素材合成錬金…茶碗」
檜が錬金され、茶碗ができる。
後は…。
「素材合成錬金…オレンジジュース」
湧き出る様に生まれたオレンジジュースを茶碗に入れていく。
本当…チートな能力だよなぁ。
作れたら良いなとは思ったがこうも簡単にできると拍子抜けである。
「く~ぅ。美味い!もう一杯!」
「ゴク…美味~い!」
「これは、すっげー美味い!」
「ングングング……」
デリシャス!果汁100%なのにスッキリとした美味しさが何とも言えない。
お腹も満たされ、水分補給もできた。
俺は焚き火を丁寧に消化して、おもむろに立ち上がった。
「さあ、町に行こうか…」
俺は3人の子供を引き連れて、町に向かって歩き出す。
陽はまだ高いがこの後のことを考えると、野宿も考えないといけない。
キリンに言えば町の近くに転移してくれるとは思うが、それは子供が寝静まてからが良いだろう。
しかし、野宿か…どうすればいいか…。
「そう言えばさー…ボクとの契約はどうするの?」
「あ…忘れてた。そうか…木の精霊王と契約すれば新たな能力が貰えるしレベルも上がるかも…」
「じゃあ、契約するね…」
「ぬぅ…左肩が…」
左肩が火照る。確認すると、円の中に菱型の形をした精霊印が刻まれていた。
俺は早速ステータスを確認する。
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―タカアキ フルムラ―
称号:光陰樹の創造主
LV.7
VP:152/152
SP:∞(無限)
AP:82
DP:94
QP:73
RP:95
LP:421
固有能力
天地創造 空間魔法LV.5 転移LV.5 空間無限 千里眼LV.5
清潔浄化 照明魔法 総合生産LV.4 全世界言語スキル 魔洞窟創造
素材錬金魔法LV.5 素材合成錬金LV.5 素材ドロップ率∞(無限) 偽装LV.3
家事スキルLV.3 食材採取LV.3 素材採取LV.3 森林創造 樹林魔法LV.3
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レベルに対して、能力の伸びがおかしい…。
強くなったと言う自覚は全くない。
これは後で確かめるしかないだろう。
それよりも今は能力の確認が先である。
空間魔法LV.5…空間を削り取る魔法や、別空間に閉じ込める魔法や別空間を作り出す魔法や空間を維持し固定する魔法がある。
転移LV.5…一度いった場所をイメージするだけで自分だけでなく50人まで瞬間移動できる能力。
千里眼LV.5…すべてを見通す能力。直進にして3万キロまでの全てを見通す。
総合生産LV.4…知識ある物をSPを消費して作り出すことができる。今作れるのは素材・食材の他に一度でもこの世界で作った物や見た物まで可能である。
素材錬金魔法LV.5…素材を組み合わせて最上位素材や『製品』に作り替える魔法。LV.50までの素材を錬金できる。
素材合成錬金LV.5…素材を2重から5重合成でき、『製品』を作り出す。LV.100までの素材を合成できる。
偽装LV.3…姿・形だけでなく、ステータスも偽装できる。幻惑などではなく、実際の姿を好きな年齢や性別にまで変えられる。
家事スキルLV.3…炊事・洗濯・掃除・裁縫などの家事全般ができる。今のクラスは『主夫並』である。
食材採取LV.3…森に自生する食材や畑などの採取で普通より上質に採取できる程度。
素材採取LV.3…平地・森・鉱山・沼・川・湖海辺・砂漠・魔物から普通より上質な素材をに採取できる。
森林創造…植樹した木々で森を作ることができる。
樹林魔法LV.3…木々や森に自生する食材や素材の成長を促す魔法。
「もう、驚かないつもりだったけど…これなら野宿も簡単にできそうだ」
ただ、聖地に国を造るとなると、まだ足りない物は多い。
特に、最低限でも今は水の精霊王の能力は欲しい。
「後は…やっぱこの姿だと何かと問題があるよな…」
今の俺は小学1年生くらいの姿をしている。
この姿のまま盗賊を引き渡すのは問題がある。
やはりここは…。
「偽装…」
頭の中に今の自分がイメージが浮かび上がる。ついでにステータスも…。
つまり…これを弄って自分の偽装体とステータスを作れってことか。
簡単に言えば、ゲームのキャラメイキングだ。
「性別は男のままで良いよな…。年齢は、死んだときの17歳で…」
性別・年齢・身長・体重・髪の長さに色・目の形に色・花の形と高さ・唇の厚みや形・耳の長さや形・服装などまでかなりの項目と種類が用意されており、俺は地球の頃自分に近い形で少しだけ…ほんのちょっとカッコよくしてみた。
…誇張しすぎてないからな。本当だぞ。
「ステータスも変えておくべきか…」
正直、盗賊を捕縛した…というだけの説得力のあるステータスでありながら、固有能力はおかしくない程度に付けておくべきだろう…。
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―タカアキ フルムラ―
職業:放浪者
LV.17
VP:152/152
SP:127/127
AP:82
DP:94
QP:73
RP:95
LP:99
固有能力
空間魔法LV.3 転移LV.3 空間無限 千里眼
清潔浄化 照明魔法 素材ドロップ率LV.3
家事スキルLV.3 食材採取LV.3 素材採取LV.3
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こんなもんだろう。
全ての偽装を済ますと、俺の身体が輝きだして偽装体になる。
3人の子供たちは驚いて声も出ない。
「盗賊を欺くために子供の姿を装っていたんだ。これが俺の『本来の姿』だ。改めて自己紹介する俺の名前はタカアキ・フルムラだ。よろしくな」
「お兄ちゃん、冒険者なの?」
「いや…俺はタダの放浪者さ…」
「でも、強いよね?」
「世界を旅するには強くないと死んじゃうからな。それなりにって感じさ…」
ベラベラと嘘を重ねていく。
とは言っても、バレない程度にだが…。
「もう少し歩いたら、今日は休もう」
「マーク、頑張って歩こうぜ」
「うん。僕、頑張る」
「ハナコは大丈夫か?」
「大丈夫…」
俺は3人の子供を引き連れて、水分補給を取ながら道なりに歩く。
その道中で、町の様子や知っている情報を聞けるだけ聞いた。
そして気づけば、夕日は沈み始めていた。