一つの終わりと、新たなる始まりの予感
「‥‥まあ、あんたがどこで何をしようと構わないけど、下手に霊夢にちょっかいを出して紫を怒らせないほうがいいわよ。もし、そんな事になってもあたしはあんたに手を貸さないから」
魅魔も加えた三人での酒宴、その最中ふと霊夢が席を外した時、嵐が魅魔にそう釘を刺す。
「‥‥へぇ、あんたの実力ならあのスキマ妖怪も敵じゃないだろうに、そんなにアイツが怖いのか?」
その、探るような魅魔の言葉に嵐は首を振る。
「‥‥これは実力の問題じゃないわ。どれだけ日ごろの言動が胡散臭かろうとも紫の行動原理はこの幻想郷の維持と安定。元悪霊のあんたとは信用の度合いが違うのよ」
その、嵐が発した『元悪霊』という言葉に魅魔はわずかに顔をしかめ‥‥
「‥‥手厳しいねぇ‥‥‥そういえば、今度こそはしばらくいられるんだろう?こっちに」
「‥‥確約は出来ないけど‥‥でも、しばらくは居たいわね」
それを聞いた魅魔は昔を懐かしむような遠い目をすると‥‥
「だったらまたわたしらでつるみたいものだな。霊夢に魔理沙、それと‥幽香も入れてさ」
「‥‥他はともかく、幽香はちょいと勘弁してもらいたいところね」
そう言って肩をすくめる嵐に魅魔は苦笑で応じる。
「東方天風譚『裏』風神録編」
~Wind of the guidance and true faith~
終
あとがき‥‥という名の雑談
出演 天風嵐・霧雨魔理沙
「‥‥というわけで、本編は無事終わりましたが、ここからあとがきとは名ばかりの雑談コーナーとなります。もうしばらくあたし達にお付き合い下さい」
「って、ちょっと待て嵐!もしかして私の出番はここだけか!」
「‥‥‥そうだけど、それがどうかした?」
「そうだけどって‥‥それでいいのか!私は東方の主役!自機だぜ!」
「主役だから、こそよ。あんたにしろ霊夢にしろ、出るとどうしてもあんた達が話の中心になる。でもそうなると他の連中に脚光が浴びない。要するにあんたたちが今回の『主役』である早苗を差し置いて好き勝手に暴れられると面倒だから外れたのよ」
「う‥‥そ‥それにしたって魅魔様まで出たのにどうして私が‥‥」
「魅魔の登場はラストのサプライズ兼、オチみたいなものね。それにただでさえ東方は登場人物が多いんだから、物語のテーマや展開に合わない人物まで出す余裕は無いのよ」
「‥けどなあ」
「それに、こうしてセリフ付きで出番があるだけましよ。描写やセリフのやり取りはあっても名前が一切出てこない、あるいは逆に名前や通称だけの登場なんていう背景的扱いの連中が大半だったんだから」
「う‥‥で、でも何でそんな事を‥‥」
「まあ、要は本家の登場人物を『あえて』出さない、でも何らかの形で関わらせる事で原作とこの物語が同じ世界であるかのように演出し、原作本編の外伝的雰囲気を出そうとしたわけね」
「な、なるほど」
「とりあえずこの『降り止まない雨の異変』をめぐるあたしと早苗の話はこれでおしまい。まあ、続編の構想もあるけどね。すぐは出さないけど」
「そうなのか!では次こそわたしが‥‥」
「それはどうかしらね。書いてはいないけど物語の構想だけは出来ているのよ。実は今回の話のあちこちに伏線がばらまいてあるし」
「マジか」
「そうよ、咲夜がレミリアにあたしのことを報告するとか、あたしと幽香、あるいはチルノとの因縁とか、剣士つながりで妖夢との絡み、妹紅や慧音との過去、神奈子との事とか、エラミーの事ともあるし、後は今回出てこなかった緋想天以降のキャラも出したいそうだしね」
「緋想天‥‥天子か」
「あの子だけじゃないけどね。ほかにもいわゆる旧作を霊夢の修業時代として旧作キャラを出す話や、秘封の二人にあたしが絡む番外編の構想があるらしいわ。ただ作者は次、一次創作を書くから、どれを書くにしてもにその次みたいだけどね」
「うむむむっ」
「とりあえず、あたしか早苗のどちらかは必ず出るらしいわね、そしてそこに別の誰かが主役を張る。一応美鈴、鈴仙、パルスィ辺りを出す予定というのは決まっているわ」
「わたしの出番はどうなっているんだ?」
「さあ?ま、、たまにはあんたも休んだ方がいいんじゃない?って事よ」
「ここで一回休みってか?でも、そのまま永遠に一回休みなんていうのは勘弁して欲しいぜ」
「‥‥ああ、それもいいわね。じゃあもし次があってもあんたの出番はあとがきだけ、ということに決定。んじゃ、次もよろしく~」
「げっ!や、やぶへびかよ~」




