腐れ縁な旧敵
「‥‥いいじゃないか、一層賑やかになって。わたしらだけで騒いでいた頃に比べれば、な。おかげで毎日楽しく見物させてもらっているよ」
何の前触れも無く、ふわりと宙に現れたその人物に二人は少なからず驚く。
「‥‥魅魔」
「‥‥久しぶり。相変わらずここの居候をしているようね」
現れたのは、かつて霊夢と戦った事もある元悪霊、『魅魔』であった。
「‥‥まあな。それよりも嵐、今宵はいい月だし、再会を祝してここでわたしと弾幕勝負をする‥‥というのはどうだい?」
そう言うと魅魔は手にしている杖をくるくると振り回すと、先端を嵐の鼻先に向かって突きつけてくる。それに対し嵐は‥‥
「‥‥あんたも幽香みたいな事を言うのね。いいわ、そんな事を言うんなら、今すぐこの周りだけ雷雲で覆ってあんたを一瞬で黒焦げにしてあげる」
そう言うと嵐は手にしたお猪口に注がれた酒をぐいっと飲み干すと、魅魔を睨み付ける。
しばしの間睨み合う両者。と、そこに‥‥
「はいはい~あんた達、そういう事はどっか余所でやってよね~まったく」
霊夢が二人の間に割って入り、睨みをきかせる。と、双方共に肩をすくめ、互いに不敵な笑みを浮かべる。
「‥‥だそうだ。では、ここは博麗の巫女殿の顔を立てておとなしく酒宴といこうかね」
「‥‥あたしは初めからそのつもりだったんだけど?」
「おお?そういえばそうだったな~はははっ」
魅魔はそう冗談めかすと、取り出した自分の盃に嵐が持ってきた酒をなみなみと注ぎ、それを一気に飲み干す。
‥‥‥




