天風の思惑
「‥‥まあいいわ、好きにしなさい。それと異変解決の務めの件も神奈子から聞いているわ。どうせ神社の信仰拡大が狙いなんでしょうけど‥‥‥」
そう言いながら嵐は暇さえあれば縁側でお茶をすすり、だらけている霊夢の姿を想像し、苦笑する。
「‥‥そう言うところは少し霊夢も見習うべきかしらね」
その嵐の言葉に早苗は何かを思い出したのか、彼女は瞳を輝かせて嵐にたずねる。
「そうだ!霊夢さんといえば、確か先輩は昔、霊夢さんたちと一緒に異変解決をしていたそうじゃないですか!ぜひそのあたりのこともお聞きしたいです!」
「‥ああ、霊夢たちが『まだ半人前だった』頃の話ね、そういえばあの頃もいろんなところに行ったわね」
「そう、それです!その辺の話をぜひ!」
「‥それは別にいいけど、その話はこの一件を無事解決してからにしましょう」
「はい!先輩!では『わたし達の力』でちゃちゃっと解決してしまいましょう!」
そんなお気楽モードな早苗と話をしながら、同時に嵐は内心で考えを巡らせていた。
‥‥さてと‥問題はいかにして『早苗に』異変を解決させるか、よね‥‥
その内心での問いかけに応えるものがいた。
‥‥ええ、私どもが前に出て事を為せばたやすいですが、それでは『意味』がありません‥‥
この声の主は名を『風』といい、嵐の分身、または使い魔とも言える存在であり、こうした相談や攻撃の支援、あるいは伝令、偵察、見張りなどをこなす。
普段はこうして嵐と一体化しているか、もしくは白頭鷲の姿を取って嵐の肩や刀の柄の上に乗っていることが多い。
‥‥今後、東風谷様がお一人でも異変解決ができるように経験をつませる:それが私どもの目的ですので‥‥
‥‥そうなのよね‥‥かといって、全部早苗に丸投げであたしたちはのんびり高みの見物、というわけにもいかない‥‥
‥‥はい、特に今回の一件、ただ力任せに相手を退治すれば済む、というわけには行きませんので‥‥
‥‥それどころか、力だけでも勝てるかどうか‥‥相手の力も相当増しているみたいだし‥‥さて‥どうするか‥‥
「‥‥先輩?どうかされましたか?‥あ‥もしかして風さんと秘密の打ち合わせですか!」
「‥‥ま、そんなところね」
「いいですよね~ああいうの~風さんを肩に乗せた先輩の姿、とっても格好いいですし、わたしもあんな使い魔とか、式神が欲しいですよ~」




