頼れる旧友達との再会
「‥‥ようやく出番か、待ちくたびれたぞ」
「お待たせしました!清く正しい射命丸です!」
その声と共に、いつの間にか場に満ちていた『霧のような何か』が形を取りはじめ、ひょうたんを携えた一人の有角少女へと姿を変える。そして、それと時を同じくして一陣の風が吹き、手帖と写真機を手にした一人の鴉天狗が現れる。
「いいタイミングじゃない。ちっこい鬼とブン屋」
「‥‥わたしはさっきからいたがね‥‥それよりも、誰がちっこいだって?」
嵐の軽口に有角少女の方が噛み付く。しかし嵐は気にする事なく、
「‥‥悔しかったらこの幻想郷よりも大きくなって見せなさい」
そんな嵐の不遜な物言いに対し、有角少女も同じく不遜に言い返す。
「‥‥ほぅ?お前、私の『能力』を忘れたのかい?だったら、お望み通りでかくなって踏み潰してやるよ」
「‥‥『踏む事』は出来ても『潰せる』かどうかはまた別よ。
‥‥鬼もまたいで逃げだす『鬼またの嵐』と言うのも‥‥悪くないわね」
そう言い合いながら嵐は少女を見下ろし、少女は嵐を見上げる。と、そんな二人の視線が重なると‥そこで二人は同時に拳をつき出して互いの拳を軽く叩き合い‥‥
『ふっ‥‥』
と互いに笑みを交わす。
「たははは~相変わらずですね~お二方~」
現れたのは、『伝統の幻想ブン屋』こと射命丸文と、『小さな百鬼夜行』こと伊吹萃香、そして‥‥
「‥‥あたしもいるよ」
「うひゃあ!」
突然後ろから声をかけられ、びっくりした早苗はあわてて振り向く‥と、そこには‥
「‥‥あ、あなたは確か‥山に住む‥‥」
「‥‥河童のにとりだよ、人間‥‥じゃなかった。えっと‥‥早苗?‥だっけ?」
早苗の顔色を伺うように訊ねてきたのは全身青色の装束をまとい、背に大きなリュックを背負った一人の少女。早苗はその少女に見覚えがあった。
「あ‥はい。その節は‥‥いろいろご迷惑をおかけしました」
「いいって、いいって」
彼女は幻想郷のエンジニア、『超妖怪弾頭』こと河童の川城にとり。そして‥‥
「‥‥主様、ただいま戻りました」
ばさり、と翼を羽ばたかせて舞い下りてきた風が嵐の肩に止まる。
「風さん?‥‥そういえばさっきから姿が見えませんでした!てっきり先輩と同化していると思ってましたよ!」




