謎の協力者『天風嵐』
表向きは冷静さを保ったまま、皮肉とも挑発とも取れる内容の問いかけをする永琳に対し、神奈子は‥
「‥‥だったら、早苗に監視役をつければいいだろう?そちらが信用できる実力と人柄を兼ね備えた‥そうだな‥『天風嵐』はどうだ?彼女ならあたしや早苗も知っているからこちらとしても信用できるし、そちらの監視役としても十分だろう?」
その言葉に永琳を始めとした一同がざわつく。
「天風?‥‥そう‥彼女たちがここに来たのも『あの子』のときと同じ、というわけね‥‥」
「あまかぜらん?聞いたことの無い名ね、誰?何者なの?」
「‥貴女がご存じ無いのも無理ありませんよ。知る人ぞ知る幻想郷の陰の実力者‥とのことですから‥わたしもまだ直接には会ったことはありませんが、幽々子様や紫様から名前を聞いたことがあります‥‥また、お二人がおっしゃるには相当な達人らしいとのことなので、一度手合わせしてみたいと思っていた御方です」
「‥‥‥貴女がそこまで言うほどの相手‥ということ?」
「ええ」
「‥あいつか‥確か妹紅の紹介で会ったな‥‥あいつが関わる、ということは『また』あれをやるんだろうな」
「そう‥彼女、戻ってきていたの‥これは、久しぶりに楽しめそうね。何しろ今の幻想郷で『私』と本気でやりあえるのは彼女くらいのものだし‥」
「‥‥貴女たちもその人物を知っているの?これは‥お嬢様にご報告するべき事のようね」
そんな一同のやり取りを聞きながら永琳は思案を巡らせ‥‥‥そして決断する。
「‥‥いいわ、それで行きましょう」
こうして話はまとまり、そして‥‥「山の神社の巫女が『降り止まぬ雨』の異変の解決へと乗り出した」という話は噂となって瞬く間に幻想郷じゅうに広まった。
こうした経緯によって、東風谷早苗と彼女の手伝い兼監視を任された天風嵐はこの『異変』を解決すべく、降りしきる雨の中その山へと向かう事となったのである。