神風の導き
「じゃあ、あたし早速さっき言われたことを試してみるよ」
「あ、待って~エラミーちゃ~ん、わたしも一緒に行くから~」
「あははっ~早く来なよ~アスメル~置いてくよ~」
今までとは違う新しい道を進めるかもしれない事がよほど嬉しいのか、エラミーははしゃぎながら飛んでいく。アスメルもそれを追おうとするが、ふと早苗達のほうへと振り返ると‥‥
「‥‥おねぇさんたち~いろいろどうもありがとうございました~」
そう言って二人に対して頭を下げると、ふわふわエラミーの後を追っていく。
そんな二人を見送る早苗と嵐。と、風が内心で嵐に話しかけてきた。
‥よろしいのですか?博麗神社ではなく、守矢神社で?‥
‥いきなり見知らぬ妖精が神社に押しかけてきたら、霊夢は問答無用でしばき倒しかねないじゃない‥
‥確かに‥‥しかし‥それは妖怪の山も同じでは?‥このままでは門前払いされるのがオチです‥
‥分かってる‥‥後で椛達、哨戒天狗に事情を話しておかないと‥
‥はい‥
そんなやり取りをしているうち、二人の頭上にぽつ、ぽつと『再び』雨粒が落ちてくる。
「?‥先輩‥これは‥‥」
「‥‥なんか、いつの間にか雨が止んでいたみたいね。また降って来たけど」
そう言って暗雲に閉ざされたままの空を仰ぐ嵐。
「‥‥どうしてでしょうか?」
「‥‥あの子の力かもしれないわね」
「え?」
「‥‥雨とは悲しみと嘆きの象徴。ひょっとしたらこの雨に宿っていた時雨子のそうした思いもあの瞬間、エラミーがある程度、吸い取っていたのかもしれないわ」
「‥だから一時的に雨が止んだと?‥‥」
二人がそう話している間にも雨は勢いを増していくので、再び嵐は風の結界を張り、雨から自分たちを守る。
「‥‥そうかもしれないわ。さあ早苗、無駄話はこのくらいにして出発するわよ」
「‥‥はい!」
そうして早苗と嵐は本来の目的地を目指すべく、再び空へと舞い上がる。




