示された道
「‥‥そこまではわかりませんが、そうかもしれません。少なくても先程エラミー様はそれを強く望まれたのは確か。それに対して我ら‥特に東風谷様とアスメル様の強い悲しみの感情を糧に力を取り戻されたエラミー様自身が応えたとしてもおかしくはありません」
「よかったね~エラミーちゃん~!」
「‥‥う、うん‥‥そうだね」
まだ、自分自身の変化に対する実感が無いのか、我が事のように喜ぶアスメルとは反対に戸惑い気味なエラミー。
そんなエラミーに嵐は自分の思い付きを話す。
「‥‥まあ、そうでなくてもわざわざ悲しみの感情を思い起こさせる必要は無いと思うけどね」
「どうしてさ?」
「‥‥墓場とか賭博場、囲碁や将棋の会所に行けばいいのよ。墓場は死者の霊を悼むために行く場所だし、勝ち負けのある勝負の世界なら負けた側は必ず悔しい思いをし、悲しむはず‥‥まあ、後は超ネガティブ思考の人間の近くにでもいれば大丈夫なんじゃない?」
「超ネガティブ思考?」
嵐の言葉に早苗は首をかしげる。
「‥‥‥あんたとは真逆って事よ、早苗。いつも『わたしってば不幸です~』とか言って物事を悲観的にしか考えられないタイプ」
「そ、そんな人いるんですか~?」
「さあ?幻想郷にいるかどうかは知らないけど、あたしの知り合いのそのまた知り合いにそういうヒトが何人かいたらしい‥‥ああ、そういえば神様でなら心当たりあるわね。秋が終わり、冬が近づくとやたら悲観的になる神様が。
‥‥それにまあ、幻想郷にだってお盆になれば墓参りをするヒトが多くなるだろうし、そのときにたっぷりと溜め込んでおけばそれからの一年を生きる分には心配無いんじゃない?」
「先輩~エラミーさんは冬眠前の熊じゃないんですよ~」




