消えさった、哀しき笑顔
「‥‥‥あれ?」
「エラミー‥‥さん?」
早苗の腕の中には‥何が起きたか分からず、きょとんとした顔でほうけているエラミーの姿があった。
「‥‥あ‥あれ?あたし‥‥‥あれ?」
「え‥え?」
「こ、これって一体‥‥‥」
エラミーも早苗もアスメルも何が起きたかまるで理解できない‥そんな中、真っ先に冷静さを取り戻した嵐は‥‥
「これはもしかして‥‥アスメル、あなた今、無意識の内に何かしたんじゃないの?」
「え?そ、そんな~わたしの能力ではとてもこんな事出来ません~おねぇさんが何かしたんじゃないんですか~?」
唖然としたまま聞き返してくるアスメルの言葉に嵐は首を振る。
「いいえ、あたしだって何も‥‥‥ふぅむ‥では、早苗‥‥‥のわけは無いわね」
その言葉を聞いた早苗は弾かれたように振り向き、涙目で抗議する。
「ひ、ひどいです先輩~!いくらわたしが起こす奇跡がそういう類のものじゃないからって~!」
「はいはい‥‥‥こんな『おとぼけ』、真面目に答えないの」
「あ!‥‥‥‥あ~う~、だって~」
予想通りに自分の冗談を真に受け、肩を落とす後輩に嵐は苦笑する。
「‥‥ま、おふざけはここまで‥‥にしてもこの子、少し雰囲気が変わったわね、それに見た目も‥‥」
「‥‥そうですね‥‥エラミー様は幽霊と妖精の特徴を併せ持つお方。霊体としての部分が意識の大きな変化に伴って外見や人格、あるいは能力にも影響を与えたのかもしれません」
その風の言葉に嵐はうなずく。
「‥‥人は九死に一生を得ると価値観が変わる、というけど、これはそれに近いのかも知れないわね」




