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東方天風譚「裏」風神録編 ~Wind of the guidance and true faith~ 1・21   作者: 新景正虎
第三章 『嘆きと悲しみの幽霊妖精』の決意
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守矢の従者

「従者様。このたびは助けていただき、ありがとうございました」

 そう言うとその農民は嵐に対して深々と頭を下げる。と‥‥

「‥‥じ、従者様~?ち、違います!その方はですね‥‥」

 その農民の言葉を聞きつけた早苗が慌てて訂正しようとするが、嵐はそれをさえぎり‥

「ああ、いいのよ早苗‥じゃないわね‥『よろしいのですよ、東風谷様』」

 そう言うと嵐は被っていた帽子を取り、うやうやしく早苗に対して頭を下げる。

「‥え?‥‥せ、先輩?」

「‥‥わたしなどはまだまだ未熟、しかし‥それでも東風谷様のお務めの役に立てて何よりでございます」

「せ‥先輩‥」

 自分に対し、頭を下げたままの嵐。それを見た早苗は思う。

‥‥自分の方が未熟なのに‥‥助けられてばかりのはずなのに‥‥それなのに、そんな自分に対して深々と頭を下げ、敬う様を見せる嵐。

その言動から早苗は何かを感じ取ると‥‥

「‥‥い‥いえ、よく‥やってくれました。この方たちを無事に救えたのは‥‥『あなた』と‥‥あの妖精や天使のおかげです‥‥」

 と、早苗はまぶたに熱いものを感じつつ『守矢神社の風祝』としての立場で嵐に接する。

 その後、農民たちは降りしきる雨の中、山を下り里へと戻る。早苗達も再び彼らが災害に巻き込まれてもすぐ助けられるよう、安全地帯に着くまで彼らを送る。

 その道中、一行は傘をさした銀髪の少女に出会う。

「妹紅」

「久しぶりね、嵐」

 嵐とその少女は互いの顔を見ると自然に笑みを交し合う。

「ええ。それにしてもあなたが竹林の外にいるなんて珍しいわね」

「‥‥慧音に頼まれてね、彼らを探しに出ていたのよ」

 少女の言葉に嵐は得心がいったのか、頷く。

「ああ、そう言う事。なら‥‥ここからは任せてもいいかしら」

「ええ」

 そう言うと嵐はその少女に助けた農民達を委ねる。

 その農民達は別れ際、早苗達に対して熱心にお礼を言うと、銀髪少女に付き添われ、里へと帰っていく。

 その後姿を彼女達は無事見送っていた‥そんな時‥

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