小さき妖精の大きな決意
「‥‥でも‥さっきのあのおねぇちゃんの怒った顔と‥戦って痛い目にあってはっきりわかった!やっぱり‥‥こんな事しちゃいけないんだ!いくら生きるためだからって、誰かを悲しい目に合わせるなんて‥‥‥しちゃいけないことだったんだ!」
エラミーがそう叫んだ時、更に濁流の勢いが激しくなり、上流から大量の水が、大きな流木を伴い、彼女達を飲み込もうと迫ってくる!
「くっ!うぅぅぅぅぅ!」
その勢いを増した濁流によって、エラミーは押し切られそうになる!だが:
「ま、負けるもんかぁぁぁぁぁぁぁ!」
そう叫ぶとエラミーはさらに力を放出し、自分達を飲み込もうと迫る濁流に抗う‥いや、それどころか『押し返そう』としはじめる!
「もう‥‥誰も悲しませたくなんか無い!つらい思いなんてさせたくない!
だから‥だから!あたしはここで力を使い切って消える!あたしがいることで誰かが悲しい思いをするなんて事を‥‥‥‥もう起こさせないために!」
「エ‥エラミーさん!」
「だから早く行って!あたしのことはいいから!もうかまわなくていいから!」
早苗に対し一方的にそう叫ぶとエラミーは‥‥
「うわぁぁぁぁぁ!」
そう絶叫しながら、その小さい体から猛烈な力を発し、激しく迫る濁流の前に立ちはだかり続ける!
「‥‥‥すごい」
その‥とても力強く‥勇ましく‥‥そして‥ひときわ‥‥‥儚げな後ろ姿を早苗は、しばし茫然と眺めていたが‥‥やがて震える手で持っていた大幣をぎゅっと強く握り締めると‥‥




