プロローグ 後編 復讐の黒き雨雲
一方、そんな彼女たちによって散々に打ち負かされた時雨子がようやく帰りついた自分の家‥‥社もまた、長い年月の末に人々から忘れ去られた事で荒れ果て、無惨な姿を晒していた‥‥‥
それを改めて見た時雨子の心に芽生えたもの、それは人々に忘れられたことで力を失った自分に対する憤り、自分に対する信仰を忘れた幻想郷の住人たちに対する怒り、そして神である自分に屈辱を与えた『早苗とかいう人間』に対する憎しみ。それらが彼女の心の奥底で復讐というどす黒い情念へと変わっていく。
「‥‥あたしに‥‥あたしにもっと力があれば‥あんなよそ者に大きな顔をさせないで済んだのに‥‥‥そうよ、力よ。もっと力を得ればきっとあいつらを‥‥くくくっ‥‥あはははっ‥‥やってやる、どんな手を使ってでも力を得てやる。そして、そして‥‥あの早苗とか言う人間を‥‥必ず地面に這いつくばらせてやる!」
そんな早苗と幻想郷の住人たちに対しての尽きぬ憎しみを募らせる時雨子の情念は、やがて暗雲となって彼女の体から噴き出し‥幻想郷の空を少しずつ、だが確実に蝕んでいった‥‥‥
プロローグはここで終了、次からが本編となります。