異端の片鱗
ここから第三章となります。
「‥‥さてと‥なんか余計な邪魔が入ったけど、先を急ぎましょうか」
勝負ありとみなした嵐は、早苗にそう言うと爆発に背を向け、その場を去ろうとした‥が。
‥‥主様!あれを!
心中に響いたその風の言葉に嵐は振り返る‥と。
「う‥うぅ‥効いたぁ~」
そううめきながら、あの幽霊妖精が爆発の中からふらふらと現れる。
「うそ‥あの弾幕に耐えるなんて!」
驚愕しながらも相手からの反撃に備えるべく、油断なく大幣を構える早苗。一方の嵐は‥
「‥‥‥手加減したつもりはないけど、まさか一時消滅もしないとはね‥‥」
そう呟く嵐に、一体化したままの風が彼女の内心に語りかけてくる。
‥‥いえ、主様。先程わたくしはあの妖精の周囲に妙な力を感じました‥
‥‥妙な力?‥‥
‥‥はい、それがあの妖精を守り、ダメージを和らげたものと思われます‥
‥‥あの妖精にはまだ仲間がいるって事?‥‥
‥‥恐らく‥‥
「‥‥ふぅむ‥‥それも気になるけど‥‥確かあの妖精、悲しみの感情を食べて生きている、とか言っていたわね。妖精は食事を取る必要が無いはずなのに‥‥やはりあの妖精、普通とは違うみたいね」
「?‥‥普通と違うって‥どういう意味ですか?」
「さあね。ただ、食事をする必要があるという事は、より人に近しい存在という事。つまりあの妖精、他の子と違って消耗しすぎると二度と復活できなくなるかもしれないわね‥‥」
嵐はそう分析しながらも、同時にその様子から相手には戦うだけの意思も力も失われている事も見抜いており、構えを取ろうとはしない。
そんな時‥‥‥




