弾幕展開
「‥‥さっきまでは、相手が早苗だから手荒にしなかっただけ。でも、こんな真似をする相手なら、たとえ妖精一体であっても‥‥遠慮はしないわ!」
「ひ!ひぃぃぃぃっ!」
嵐のその怒気にとうとう恐怖が限界に達したか、幽霊妖精は嵐に背中を向けると一目散にその場から逃げ出そうとする。だが‥‥
「‥‥もう、遅い!」
『雨符!穏やかならぬ晴耕雨読の日々!』
その宣言がされた次の瞬間!嵐の周囲の空中に空を埋め尽くすほどの数の光弾が出現すると、それらはいくつかの塊となり、四方八方から幽霊妖精へと襲い掛かる!
「う!‥うひぃぃぃ!」
それに対し、幽霊妖精は悲鳴を上げながら右へ左へと必死にかわしていく。
しかし‥‥その弾幕は弾の密度こそ圧倒的なものの、その軌道はきわめて単純、動きをよく見ていればかわす事はそう難しくない。
「‥‥は‥はん!何だ、こけおどしか!そ、そんなの‥‥当たるもんか!」
それに気づいた幽霊妖精はぎりぎりではあるが、迫りくる光弾を何とかかわしていく。
「ほ‥ほらほら~どうしたの~?当たらないよ~」
顔を引きつらせたまま何度も回避していくうちに次第に余裕を取り戻したか、そう嵐をあざけり始める幽霊妖精。しかし‥
「‥‥そうね、まだ弾幕もろくに『完成』していないうちにあっさり当たられては興ざめというものよ」
「‥‥え?」
そう嘲り返してきた嵐の言葉に幽霊妖精はふと、周りを見渡し‥‥‥そして愕然となる。
いつの間にか、彼女の周囲には上下左右、おまけに前後も加えた360度すべての空間に光弾が『ある程度の距離』をとりつつも密集滞空し、彼女の動きをその空間内に抑え込んでいた、これでは‥‥逃げ場がない!




