謎の幽霊妖精
ここから、二章となります。
こうして早苗と妖精との弾幕勝負が始まった。二人は互いに光弾を撃ち合い、あるいは相手の攻撃をかわしながら空中を飛び回る。
そんな中、早苗の心は高ぶっていた。しばらくぶりに会った嵐に自分の成長と活躍を見てもらいたい、そんな思いが彼女の心を占めていたからである。
一方、その嵐は風と共に妖精の様子を観察しつつ、その気配の『質』を探る。
「あの子、見た目は妖精みたいだけど‥やはり、どこか違和感があるわね‥それにあの子の回りに漂っているあれは‥霊魂?‥それとこの感じは‥‥そう、魂魄家のものに似ている‥もしかしてあの子は妖精と幽霊の力を合わせ持っているのかしら?」
「幽霊妖精‥‥あるいは外界の西洋民話に登場する死告妖精『バンシー』とでも言うべきでしょうか?‥‥白玉楼を始めとした冥界の辺りならともかく、このあたりにあのような存在がいるとは珍しいですね」
「‥‥問題はあの幽霊妖精に『どんな能力』があるか、ね。そこいらの妖精程度ならともかく、もしバンシー級の能力なら‥‥ちょいと厄介ね‥‥果たして早苗の手に負えるかしら‥‥」
そうして相手を分析する嵐達に対し、早苗は一気に勝負を決めようとスペルカードを発動しようとする‥が、次の瞬間!身の毛もよだつような悲鳴が辺りに響き渡る!
キャァァァァァァァァ!
「な、何ですか!この声は!」
突然辺りに響き渡ったその不気味な悲鳴に早苗は表情をしかめ、思わず耳を押さえようとする:が、その悲鳴と同時に無数の魔力弾が弾幕となって早苗に襲い掛かる!
「くっ!」
聞くもおぞましい悲鳴を聞きながら早苗は何とかその弾幕を回避しようとする。しかし、そんな彼女の耳に突然、聞いた事のある声が聞こえてきた‥‥