スペルカード発動!
「ま、また来ましたよ~」
「‥‥ふぅ‥‥これはさすがに‥‥いちいち相手していられないわね‥だったら‥‥」
そう言うと嵐は腰と懐のホルスターに納めていた拳銃、合計六丁を次々と引き抜き、それらを次々宙に向かって放り投げていく。そしてその六丁の拳銃は嵐の周囲に漂うと、その全てが天に向かって銃口を向け‥‥‥‥そして!
『晴天符!照りつける真夏の太陽!』
その嵐の宣言と共にスペルが発動!合計六丁の拳銃にこめられていた彼女自身の力が解放され、まるで真夏の太陽を直に見たかのような眩しさがその場を支配する!
そして六丁の拳銃から放たれた六条の極太のレーザーは周囲の湿気を吹き飛ばしながら殺到する妖精たちを呑み込み‥そして、その光条は更に垂れ込めていた雨雲の一部に突き刺さって切り裂いていく‥‥と、彼女達の前には山に向かって一直線に伸びる日差しの道が出来る。
「‥‥こ、これが先輩のスペルカード‥初めて見ましたけど‥‥すごいです!」
目をきらきらさせ、尊敬の眼差しで嵐を見つめる早苗に対し、彼女は銃を収めながら照れくさそうに頬を掻いてそっぽを向く。
「‥‥ま、こいつは即席で作ったスペルカードだけどね」
「そ、即席?‥あんなにすごいのに?」
「そ。あたしが外の世界に行ってからそう言うルールが幻想郷にできたっていうのは知っていたけど、しばらく戻るつもりが無かったから外にいる間は作らなかった‥‥でも、あんたたちのおかげでこっちに来ることになったから『とりあえず』いくつか作ったのよ‥‥まあ、『霊夢と魔理沙とやった弾幕勝負』でそれが十分使えるってわかったから、しばらくは新しく作る必要はなさそうね。それよりも‥‥やっぱりこの晴天は長く持たないみたいね」
そう言うと嵐は自分のスペルカードで切り裂いた雨雲の切れ間を指差す。と、そこから少しずつではあるが再び雨雲が広がり、青空を覆うとしている。
「‥‥先輩の力でも駄目なんて」
「‥‥まあ、所詮これは『弾幕ごっこ』のための技だしね~」
相手の力におののく早苗に対し、嵐はあっけらかんとしている。
「結局のところ、異変の当事者をどうにかしなければ解決できないって事。急ぐわよ」
「あ‥はい!」
そう言って二人は先へと進もうとするが‥‥