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聖母か?

市場のシャッターに描かれた 絵それは 認められる物なのか??

その朝 里美は少し早めに 店に着いた 裏口のドアから入り 店を開けた

まず掃除をした そして 市場の通路も掃除をしていると 

呉服店の おかみさん 井川達子がやってきた 里美は

「おはようございます」と挨拶すると 達子も

「おはようございます あんたが掃除してるやなんて 珍しい」と 驚いた様子で言った 里美も

「たまには 掃除させてもらわんとね」と 笑顔で答えた そして 呉服店の店の前のシャッターに書かれた絵を手で示しながら「この絵可愛いですね」と言った すると達子は

「こんなん 書かれましてん よりによって外人の絵やなんて なんでやろ」とため息をつきながら語った 里美は

「おかみさん 奥の絵は 見ましたか?」と尋ねると 達子は

「奥?何ですのん?」と答えた 里美は(やはり 見てないんだ)と思った そして

「ちょっと 来て頂けますか」と達子を 里美の店の前まで連れて行った 里美は一言

「これを見ていただけますか?」と言った 達子は最初は ぽかんとしてかなり驚いた様であったが その内

「綺麗やわ 美しい! 凄いわ!」と 感嘆の言葉を発するようになった 里美は

「おかみさん どう思いますか」と言い 「あかみさん の店のシャッターに絵を描いた子が描いたみたいなんですけど 私はかなり 凄く良いものだと思います」と続けた 達子も

「これは よー出来てますわ うちも感動しましたわ」と言った これは言い感じだと思い 里美は

「これ ちょっと小耳に挟んだんですけど シャッターの落書きを消してほしいって 市役所に連絡された方がいるんだとか でも私は この絵消してほしくないんです おかみさんも そう思いませんか」と 話しかけた すると達子は

「この絵は消すん もったいないです 頼んでもこんなん 描いてくれません」と言った 里美は 

「この絵 消さないように市役所に 頼んでみます 良いですよね」と言った 


その後 里美も達子も 自分のお店に帰った

 

里美は 大型機械の処分のことで 市役所に電話をしたたが 清掃局に相談してくれとか どういったものかなど 説明に意外と時間がかかった 少し疲れて休んでいると 通路の方から 女性数人の声が聞こえてきた 

そして里美の店の前で 「これやわ 凄いわ!」と一人の 女性が言った それに続くように 後の3人も「これ 凄いけど 人が描いたん?」とか「何かほんまに 天使が飛んでるみたいやわ!」とか 口々に 感嘆の言葉を喋っていた そしてその内の一人が

「これ家の 篤子の同級生の子が描いたんやて」と言った 店の中で里美は(昨日来た高校生の 篤子ちゃんの お母さんか)と思った すると又別の誰かが

「あっちゃん 今高校生やったなー」と言った すると篤子の母が「高校2年よ」と答えた すると又別の誰かが

「高校2年の子が これ書いたん!フワ~~凄いわ! 今からその子に絵 描いてもろてサインしといてもらおかな?」とか言っている

そのうち 一人の女性 と目が合った するとその女性は

「いやーお久しぶり!」と店に入ってきた 他の女性は「私買い物行ってくるから じゃー又ね!」と言いながら 帰っていった 里美は(誰だったかしら?)と思いながら その女性の事を思い出そうとしていると 彼女は

「書道教室で一緒だった 中田ですよ!」と気さくに言ってきた 続けて 「山本さん ここでお店やってはってんね それで痩せはった?」とズバット言ってきた 里美は(あっ そうやったわ 書道教室でいつも明るく楽しく 皆と喋ってた人やわ)と思い出した 里美は

「お久しぶりです 何年ぶりですかね?」笑顔でと言った 彼女は

「何年ぶりやろか 懐かしいわ」と言った 里美は

「家の母が入院して 書道教室に行かれなくなってからだから 5年ぶりぐらいかしら」と言った 私は 自分が字があまり綺麗でないので 少しでも綺麗な字が書けたほうが良いとの思いで 書道教室に通ってみたのだが 母が入院する事になり 結局数ヶ月で辞めなければならなくなった そんな数ヶ月だけのお付き合いの 私を覚えてくれてるなんて この人の記憶力は どれだけ凄いんだと思った するとその彼女は

「5年も経ってたんやね この頃時間が経つのが早くって」と懐かしむ様に言い 「私も 山本さんが 書道教室辞めはってから 1~2ヶ月後に あそこ辞めたんよ 家の子が 水泳習いたい言いだして 送り迎えしなあかんから 通う時間 無くなってね」と 言った そして「昨日 家の子 ここの前に来たんとちゃうかな?」と聞いてきた 里美は

「あの高校生の女の子たちかしら?」と答えると 彼女は「名前は篤子って言うんやけど」と付け加えた 里美は 

「あの可愛い 篤子ちゃんのお母さんですか!昨日お店に来てくれました お菓子を買って行ってくれて 楽しい話もしてくれて 前の店の絵のことも 話してくれました」と喋った 彼女は前の店の絵を指で指しながら

「あの絵 篤子の友達が描いたみたいやねんけどね 家の主人も凄い綺麗って言ってたから フィットネス仲間誘って 見に来たんよ それにしても ほんま綺麗やわ」と言った 里美は

「篤子ちゃんが言ってたけど お父さんが 市役所の窓口で 絵を描かれたって言う 苦情を受付たんやてね」と言った 彼女は

「そうなんよ 家の主人が 落書きされたって苦情を言われて それで見に来たらしいわ その時にこの絵を発見したらしいわ」 里美は(発見って珍獣?みたい)と心で笑いながらも

「昨日 篤子ちゃんが 言ってたけど 消してほしいってお願いされてるそうやね でも私は消してほしくないって思ってるの」と言った 彼女も

「これは消してほしくないわ 出来たら保存してほしいぐらいやわ」と言った

そして 彼女は「帰ってご飯作らないかんわ」と言い「山本さん 又来るわ!」と言い 里美も

「中田さん又来て下さいね」と言い 思わぬ形で 昔の知り合いに出会えた事 そして楽しい時間を過ごせた事で あの絵に感謝の思いが加わった



一方 達子は里美と 別れた後あの 綺麗な絵が気になっていた そして(あっちの絵は あんなに大きく いろいろ景色まで書かれてるのに こっちのは 外人いや天使一つだけなんやろ)と思っていた

そんな事を思ってると 仕事の問い合わせの電話なんかもあり 伝票の整理などてると お昼になっていた

達子は今日は 内科へ行って 血圧の薬をもらってくる事を思い出した

店を閉めると あの奥に書かれた絵 少し遠めから眺めた 何だか心も落ちつくみたいだ

お昼過ぎに内科に着き 診察をしてもらうと ドクターが

「あれ! 井川さん 血圧落ち着いてますよ このまましばらく落ち着いてくれたら 薬の量なんか 減らしていけるかも知れませんね」と言った 達子は

「そうなったら うれしいんですけどね」と言うと ドクターは

「井川さんの場合 食事だけじゃなくて 精神的ストレスなんかも あるので あまり無理はしないで下さいね ではお大事に」と言った

内科からの帰り 達子は(体の調子は 精神的なものも有るのか 今は精神が良いのか?)と思った

そして 今から市役所に行って シャッターに描いた絵が 精神的にも良いのか?と思った


達子は その足で市役所に行き 市民化の窓口でへ行った そして受付したのは 又 中田だった

「あれ?井川さん 又来られたんですか?」と聞いてみると 達子は

「実は・・・」と言うので 中田は「絵を消すの もうちょっと待って下さい いろいろな事が有りますんで 順番に行っていますのでね」と 言うと 達子は

「いや ちゃうんです 実は あの絵そのままにしてほしいんです」と言った 中田は

「え?? そのままということは 消さないんですね」と確認した 達子は

「はい それで 市場の奥の店のシャッターにも絵が描かれてるの 今朝解りましてん あっちのはえらい綺麗で・・ それで いっそのこと あんな風にできたら思いましてな 消すんも描くんも 同じペンキ使うんやから 思いまして」 中田は あっけにとられながらも

「では 訴え取り下げになりますので この用紙に 名前 住所 電話番号を記入して ここのところに井川さんが 訴えに来られた日にち 10月○日でしたよね その日にちを書き込んで頂 訴え取り下げます の所に丸印をつけて下さい」と説明した 達子は

「又 紙に書き込むんですか! めんどくさい」と言った 中田は(やっぱり大人しく帰る人ではなかった)と思った 

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